カーネーション あらすじ 『悔いなき青春』 第127回(3月3日放送)

昭和48年9月14日
>今年も祭りがやってきました。
>直子と優子はどっちも前の日から休みを取って帰ってきました。
>去年、だんじり祭りがTVで全国に大々的に紹介されたせいで今年から
>他所からもお客さんがようさん来るようになって女らはこれまで以上に大忙しです。
>いつもの年寄り組(木岡と木之元)は神社でお参りを済ませたら
>善ちゃんに報告に来て、そのまま居ついて飲みだします
>ほんで、まあだいたいその頃に、いつの間にか北村が座ってます。


糸子は、娘達と食事の支度をしていると…
「おはようさん!」八重子と息子・太郎が小原家の裏口にやってきた。
「くるみ餅もってきたで」すっかり大人になった太郎は紙袋を糸子に見せた。
「あれ!誰やこの子」糸子は八重子が抱いている赤ん坊を見た。
「三郎の子やし」八重子は幸せそうに答えた。
>チビはもう増えすぎてどれが誰の子かようわかりません。

だんじり祭当日で人ごみの中で松田恵は三浦を見つける。
「組合長、ご無沙汰してます~」
「これから店か?」
「なんや今年はお客が多いよって手伝うてくれちゅうて言われて」
「ほな…わし邪魔やな」
「とんでもない先生、喜びます」

>東京からのお客さんは昼過ぎた頃に次々とやってきました。
>ジョニーはシークレットブーツ無しやと誰にも気付れんそうです。
>案外この頃テレビで人気がでてきた白川ナナコの方が大変やったそうです。

「こんにちわ~」サエが裏口から現れ糸子に挨拶をした。
「はれ?どないしたん?あんた家の方手伝わんでええんかいな」
「それがな、この子らがどないしてもジョニー見たいちゅうよって」
サエの後ろにはジョニー目当ての若い女性が3人見えた。

更にオハラ洋装店には、優子、直子の洋裁の教師・原口や直子の同級生、小沢、吉村が来ていたがそこにパリから斉藤源太が到着する。
オハラ洋装店は大勢の客でごった返していた。

― 「お母ちゃん!お母ちゃーん!」
糸子は裏通りで姿が見えなくなってしまった千代を探していた。
「いてません!」探しまわっていた昌子が息を切らして糸子に言った。
2人は心配そうに見回していると恵が千代の手を引いて戻ってくる。
「お母ちゃん!もうどこ行っちゃあったんよ!」糸子は千代に向かって怒鳴った。
「…ようさん、お客さんいてんのにお父ちゃんおらんよってどこ行ってしもたんやろ…」
「お母ちゃん!お父ちゃんもうとっくになあ…!!」
「先生!」恵は糸子を止めた。そして優しい口調で千代に伝える。
「お父ちゃん『どこぞに挨拶しにいく』ちゅうてましたで」
「はあ…」千代は恵の言った事に納得し昌子に連れられて家の中に入っていった。
「…怒ったったらあきません。うちの母もああでした。適当に合わせたったらエエんです」
恵は穏やかな口調で糸子に伝えた。
「うん…」
するとそこへ血相を変えてサエが現れる。
「ちょっとちょっと!恵さん!冬蔵さんが来てんやて!」
「いやー!!」
恵とサヤは、そのまま興奮して走って行ってしまうのだった。

― 夜、2階のベランダから祭を見下ろしながら酒を片手に糸子が呟いた。
「極楽やなこの世の」
そして部屋のすぐそこで飲んでいる北村に言う。
「言うてくれちゃった話な…うちを東京の会社に誘てくれた話…断ってええか?」
「…長崎行くんか?」
「行かへんわ…しつこいな」

「…考えたんやけどな…やっぱしうちの土俵は東京ちゃう…ここや。
極楽も地獄もこの窓から見て来た。ウチの宝は全部ここにある」
「お前も大概年やど…お互いこの先、無くしてばっかしじゃ!お前が言うちゃあた宝かてどうせ一個ずつ消えて行く…人かて皆しんでいくんじゃ…
ここにいちゃあったら、1人でそれに耐えていかなあかんねん。しんどいど…ほんなもん」

「はっ!へたれが(笑)」糸子は鼻で笑った。
「ほんなもんわからへんやろ?そもそもやな『無くす無くす』て何無くすねん?
…ウチは無くさへん。相手がしんだだけで何もなくさへん。…決めたもん勝ちや!
「何言うてんねん…」
「へたれはへたれて泣いとれ…ウチは宝抱えて生きていくよって」

― 2階でしんみりと飲む糸子と北村とは対照的に一階では大人数が盛り上がっていた。
千代は大勢の客が飲んでいる姿の中に善作の幻を見る。
善作の傍に行くと千代は酒を注ぐ真似をすると善作は満足そうに飲み干すのだった。

― 深夜、糸子はベランダから1人で静かになった五軒街を幸せそうに眺めていた。



― 昭和60年10月早朝
朝帰りをした優子の次女・里香(15歳)が寝ている糸子に声をかけた。
「ばあちゃん、朝」
里香はそう言うと糸子の部屋を早々に出て行く。
「うーん…うーん!」
布団の中で糸子は手を伸ばした。

>おはようございます。…年をとりました。
糸子は72歳になっていた。


【NHK カーネーション第127回 感想・レビュー】

今までのカーネーションの中で最高に泣きそうでした。
ええ、千代と善作のシーンです。あの2人の表情がヤバかったです。
糸子がほっしゃんに「亡くなっただけで無くしてはない」という台詞と千代が『祭で盛り上がるお客達』と善作を愛おしそうに見てたシーンに被せるあたり、さすが主人公交代の回です。そこで思ったのが千代はボケてしまったが、善作の幻をちゃんと幻として受け入れていて、ひょっとしたら昼間、善作を探しに言っていたのは、千代には見えていた善作の幽霊?を探しにいったのかもしれないという事です。(恵や糸子には見えないからボケたと思ってる)
本当に最終回にしても納得できるような良い回でした。
さて、来週からは3代目糸子の活躍です。
最初は違和感がありますが、慣れたら平気でしょう。