カーネーション あらすじ 『奇跡』 第143回(3月22日放送)
糸子が奈津の病室の前で嘆き悲しんでいると通りがかりの看護婦が声をかけた。
「どないしました?」
「…ここにいちゃあった桜井奈津ちゅうんは?」
「桜井さん?…ああ!退院されましたわ、一昨日」看護婦は糸子に伝えると去って行った。
「はあ…よかったあ。…もう死んだかと思った!」糸子は安堵の表情を浮かべた。
>せやけど
「はあ…どこにいてるんやろな…今」
オハラ洋装店のテーブルで糸子は、大きくため息をついた。
「お一人暮らしなんですか?」孝枝が心配そうにしている糸子に尋ねる。
「身寄りはないよって、そやろな…なんぼ退院でけたちゅうていうたかて弱わった体の年寄り1人てやっていけてんやろか…」
「…老人の孤独死ってこの頃良く聞きますよね?」
元・金券屋の兄ちゃん、篠山真が言ったので孝枝は慌てた。
「まこちゃん!そんな事言うたらまた先生が!」
糸子は突然、立ち上がって店を飛び出そうとする。
「先生!どこいくつもりですか!?」一斉に従業員が糸子の体を抑えた。
「病院!奈津の住所聞いて来る!」
「あきません!『今から取材や』言うてるやないですか!」
「けど、こないしてる間に孤独死してもたら…」
「しませんて!そんなすぐ!」
浩二が代わりに病院に住所を聞きに行ったので糸子は落ち着きを取り戻した。
>ウチは奈津の顔を見てへんかったけど
>奈津の方はウチの顔を見てたんかもしれんねやな…
取材終わると糸子は戻った浩二に詰め寄った。
「分かったか!?奈津の住所!」
「それが…すいません!『教えられへん』言われてしまいまして…」
「は!?なんで!?」
「個人情報やさかいアカンて…」
「なんでや!?アンタまたちっちゃい声でボソボソ聞いたんやろ!?」
「個人情報ちゅうのは簡単に教えられへんもんなんです」
篠山真が糸子に声の大小は関係ないと補足した。
― 糸子は病院に行き、院長・龍村とともに受付を訪ねた。
「いや~嬉しいわ。やっぱし頼んでみるもんやな」糸子は満足そうに龍村をみた。
「糸子先生のためならお安いモンです」
「あの~すんません、桜井奈津さんの住所なんですけどお教えできません」
受付にいた看護婦は申し訳なさそうな顔で糸子達に伝えた。
「…なんで?」糸子は看護婦に理由を尋ねる。
龍村は総婦長・相川がやってくるのが見えたので慌てて逃げ出した。
「当たり前です!病院が患者さんの個人情報を漏らすわけにいきますかいな!」
やってきた相川が糸子に大きな声で言った。
「…けど、あの子の古い友達で様子が心配やよって知りたいだけで…」
「いかなる理由があろうとお断りします!」
「何でや!教えてくれてもええろ!ケチ!」
「なんとでも言うてください!あかんもんはあきません!!」
「怖~」2人のやりとりを龍村は脅えながら観葉植物の影からみていた。
>何や…個人情報て…たかが奈津の住所が小難しいもんになりよって
>はあ…世の中、なんでもえらい小難しくなってさっぱりわからん…
糸子は病院の椅子に座りながら女子高生のルーズソックスを見ていた。
>あの靴下は何をどないしたいんや?
続いて隣に座っている女性(ヘソを出した服装)を見た。
>この子の服は一体なんて言うてんや? …さっぱりわからん。
糸子は順番が来たので立ち上がると隣の女性に一言伝える。
「あんなぁ…アンタ、女の子がそないお腹出して冷やしたらアカンで?」
― 昭和13年(2001年)9月16日
>ほんでも、うちにはまだ祭りがあります
>世の中が小難しなったかて祭だけは何も変わらん、昔のまんま…ゴロっと熱て
「ええなあ!!」糸子はだんじりを見ながら嬉しそうに声に出した。
>けどお客さんの顔ぶれは随分変わりました。
>近所のおっちゃんらが減ってしもた代わりに遠くからのお客さんが増えて
>娘らも年食うた分、お客さんもこの頃はどこぞのエラいさんばっかしらしいんやけど
>よう覚えられるんよって…とにかく飲んでもろて食べてもらう、楽しんでもらう。
「先生!珍しい奴連れて来ましたで!」譲と栄之助が高山守を連れて店を訪れる
「はれ!守やないか!あんた出世したんやて?今どこにいてんの?」
「東京本社です~」守が嬉しそうに答えた。
>譲も栄之助も守もすっかり一丁前の男になりました
― 夜、糸子は二階で景色を見ながら直子と里恵と酒を飲んでいた。
糸子は直子に病院でファッションショーを行うのでモデルとしての歩き方を指導できる人間を紹介して欲しいと頼んだ。
― その頃、糸子の孫・里香は神山正志と並んで店の前のベンチに座っていた。
「…まだ東京いてんの?」
「うん、相変わらず母の会社手伝ってる」神山の質問に里香が答える。
「大阪に転勤とかないの?」
「まあ…ないね(笑)」
「俺も東京転勤とかない絶対ないけどな(笑)」
すると2人の子供が神山に駆け寄ってくる。
「パパー!」
「ほな、また来年もくるやろ?」
「うん!」里香は笑顔で応える。
「ほなまた来年な!」神山は2人の子供と共に祭りに戻って行った。
すると二階の窓から女の子が里香を呼んだ。
「ママー!おばあちゃんが呼んでるよお願い事あるんだって!」
― 朝、糸子は病院に行く準備していた。
机の上にあるデザイン画をみつめていると浩二が糸子を呼びに来た。
「お待たせしました先生。ほな、行きましょう」
「浩ちゃん、一応、これも入れといてや。頼むて。万が一の事もあるかもしれんよって」
糸子に言われて浩二はカバンにデザイン画を入れた。
― 病院の一室で糸子達はモデルとなる女性達にコメント、チャームポイント、自己紹介といったアンケートを書かせた。
そして糸子は一人一人、丁寧に服の打ち合せをしていくのだった。
【NHK カーネーション第143回 感想・レビュー】
奈津の退院は、まあ予想できたとして、里香と神山君に最も驚きました。
祭の夜、2人で「転勤とかない?」とか言っていたので「まだそんな関係かい!」と思っていたら…まさかの互いに家庭持ち!(笑)
いや、だとしたら、あの会話は非常にまずいのでは…。
それにしても糸子が奈津を想う気持ちがなんとも言えず切ないです。
奈津が安岡美容院で働き出してからは糸子と笑いあえる関係になったと思っていたので、今の奈津(態度や何も言わず退院してしまうところ等)不思議ですが…
あと、身寄りがないって糸子が言ってましたけど…子供は?って思ってしまいます。
まあ、それはそれで、奈津はショーに関わってくるかが見ものですね。