カーネーション あらすじ 『奇跡』 第142回(3月21日放送)


― 昼休み、糸子はオハラ洋装店の従業員と共にとそうめん食べていた。
「また、ほんなドス利かせたはったんですか?」孝枝が糸子に尋ねた。
「別にドスとちゃう…ちょっと腹に力入れて声出しただけや」
「…それがドスなんやんか」
孝枝は苦笑した。
「いっぺん総婦長見てみ?ウチのドスにビビるたまちゃうで?ホンマ、怖い女ちゅうのは何であんな怖いんやろなあ…」

― 数日後、糸子は病院を訪れ、奈津の病室を覗いてみるが奈津のベッドは空だった。
その頃、奈津は病院の壁に貼られたファッションショーの募集の紙を見ていた。

― 糸子は病院内を歩いている奈津を見つけると何も言わず奈津を後ろから追い越した。
奈津も糸子に気が着くと意地になって再び追い越す。
2人が早歩きで病院の廊下を競っていると院長・龍村が声をかけてきた。
「糸子先生!…あれ、桜井さんと?」
「こんにちわ」奈津が笑顔で丁寧に龍村に挨拶をしたので糸子は怪訝な顔をした。
「これはこれは、かつてのご学友がお揃いで、素敵やないですか」
そして龍村は奈津に挨拶をして、糸子と共に打ち合せの為、院長室へ向かう。
「桜井さんて何か独特の雰囲気ありますね?モテたでしょう…あの気高さは(笑)」
「まあ…気高いも変わってませんけど男の趣味も変わってませんわ」

「こんにちは」
糸子は院長室で先に待っていた香川と総婦長・相川にニコリと挨拶をした。
「…ほな、後はよろしゅう頼むで!僕はちょっとアレやんか…」
龍村は糸子を院長室に連れて来ると言葉を濁して部屋を出て行った。

― 糸子、香川、相川はソファに座ってファッションショーについての打ち合せをはじめる。
「糸子先生があっこまで言うてくれたよってとりあえず試しに患者さんも含めて希望者を募ってみようかちゅうことになりました。とりあえず2週間この貼り紙を貼ってみたんです…ほしたらきましたきました合計54名!」
香川は通院患者、入院患者が41名、13名は職員だと説明した。
「病状の軽い患者さんに出て貰う事にしたら問題もないんやないかちゅう事で…ね?」
「…ええ」香川の隣座る相川がうなずいた。
糸子はテーブルに出されたリストに貼ってある付箋に気がついた。
「この赤い人程悪いちゅうことですか?」
「そうです」相川が返答する。
「ほな…この人らでいきましょう!いかせてください」
「は?この人らは病状がより重いんです!」相川が険しい顔をした。
「せやからこそです。重い人から叶えちゃりましょう!」
「そんな事できますかいな!この人らは危ないちゅうてるんです!」

「…考えてみてください。病気の重い人らが10月のショーに出てみたいと夢を持った。
その夢を病気が重いからちゅう理由で奪う…そら、ひどないか?」
「…それを論ずべきではありません。病院は患者さんが治療に専念する場所です。我々の仕事はその環境を守ることです。責任を放棄せなあかんイベントなんかできません!」
相川がハッキリとした口調で糸子に考えを述べた。
「せらせや…」
糸子は腕を組んでソファに寄りかかった。
「…わかった、…むちゃ言うたな。ほなどうしようか?」
>結局、職員から7人、入院患者、通院患者のうち病状の軽い人を
>それぞれ4人ずつ選ぶ事になりました。
>当たり前ちゅうたら当たり前やけど…奈津の名前はありませんでいた

― 店に戻った糸子はデザイン画をしながら従業員の浩二に言った。
「…けどなあ、一応こさえるんはこさえておこう思てんや」
「何をですか?」
「その奈津ちゅう子の服も…ウチと…揃いにしてなあ~」
>うちが赤で奈津が白…一番最後にな
「揃いの赤と白…正月の漫才師みたいな感じですか?」
糸子は浩二にムッとした。

夜、糸子は1人デザイン画を描いていた。
ファッションショーで糸子と奈津が赤と白の服を着ているところを想像していた。
>また鼻で笑うやろか?…せやけど長い長い腐れ縁の果てに…
>ほんな事があったかてええやないか
完成したスケッチを笑顔でみた。
絵には仲良く並ぶ赤い服と白い服を着た女性が描かれていた。

― 平成13年8月、病院の一室で糸子は大勢の人間の前に立っていた。
「皆さん初めまして小原糸子でございます。10月に皆さんと一緒にファッションショーをやらせてもらうことになりました。私もこちらに通わせてせてもろてる1人です。88歳…せやけどやるとなったら手抜きはしません。立派なショーにしたいと思っております。まず、皆さんにお願いしたい事は今日からとにかく美しくなってもらいたいちゅう事です」
糸子の挨拶に集まった人々はざわついた。

「そらそうです!このショーは皆さんがキラキラ輝いてはじめて見る価値が出るんです。
絶対自分は輝くやと信じて努力してください!自分が輝く事が人に与える力を信じてください。必ずええもんにしましょ。よろしくお願いします」
糸子が頭を下げると集まった患者や看護婦から拍手が起こる

― その後、糸子や孝枝達は集まったモデル候補のサイズを測ったり、服の好みなどを聞いたりしてファッションショーの準備にとりかかった。
「80歳?まだまだ女学生みたいなもんやな(笑)」
糸子は患者で高齢な女性と並んで座っていた。
「それ先生に言われたらかなんわ(笑)」
「ウチかてやっとこの頃どないか一丁前になれてきたかなちゅうくらいやで(笑)」
女性と糸子が話す光景を1人の帽子をかぶったパジャマ姿の女性がジーッと見ていた。

― 夕方、片付けが終わると糸子は“赤と白の服のデザイン画”を持って奈津のいた病室を訪れる。しかし、奈津のベッドは布団が無くなり空き状態になっていた。
「・・・・・・」
動揺して、手に持っていたデザイン画が床に落ちてしまう。
入り口の看板を見ると前まであった桜井奈津のネームプレートは外されていた。


【NHK カーネーション第142回 感想・レビュー】

孝枝さんの設定(キャラクター)が徐々に崩れている様な気がしますが…あんなにズケズケ言うようになったのは、商社マン・高山が原因かしら?
高山もそうでしたが、ようやく奈津や総婦長といった濃いキャラが出て来て面白くなって来た感じがします。
総婦長の反論にあっさり納得する糸子、凄い立派。責任感が強い総婦長に相反する院長・龍村のキャラもよい味がでてます。いちいちハーブティを運ばせてるし(笑)
糸子が奈津と一緒に紅白のドレスを着るシーンを想像・妄想してるところにジーンときました。そういえば奈津のためにきちんと服を作ってあげたことってなかったような…。
にしても…退院ですよね?…まあ88歳という高齢は心配ですが、糸子と病院を競歩できるくらいなんだから…。