カーネーション あらすじ 『奇跡』 第141回(3月20日放送)


糸子と奈津は病院のソファに並んで座っていた。
お互いの顔は見ようとはしないまま糸子が口を開いた。
糸子「四国に引越したちゅうて八重子さんから聞いていたけど…」
奈津「そうや…主人の田舎にな。けど主人もとうに亡うなって広い家の掃除ばっかししてんのしんどなったさかいこっち帰って来たんや」
糸子「いつ?」
奈津「10…11年前」
糸子「ほんな前からいてたんけ!何で連絡せえへんねん?」
奈津「ふ、なんでせなあかんねん…」
糸子「ほな今一人で暮らしてんけ?」
奈津「まあな」
糸子「…どこが悪いんよ?…何で入院してんよ!」
奈津「…関係ないやろ?…あんた変わらんなあ…」
糸子「こっちのセリフや!ふん!」
糸子は奈津の態度が頭にきたので立ち上がって病院を後にした。

バブルがはじけた後、岸和田に大きいショッピングセンターが何個も出来、商店街は寂しなっていた。金券屋は閉店し、不動産屋の金ピカ兄ちゃん達も居なくなった。
>金券屋で働いていた兄ちゃんはというと…おっさんになって今うちで働いています
「先生!遅いやないですか!なみはや商事の原田さん今まで待ってくれてたのに!」
元金券屋店主の篠山真が病院から帰宅した糸子に言った。
「あー!そうやった!」
篠山は原田の用事(月間報告と他社のライセンス契約の打ち切り)を報告した。
「ほうけ…厳しいなあ」糸子は薬を飲みながら不景気を嘆いた。
「まあ、そらこの不況ですしね…」
>それだけやない。シルバー市場にもこの頃ええ商品がようさん出てきてる。
>いつまで経ってもいくつになっても商売ちゅうんは甘ないもんです。

― 糸子はその後、すっかり忘れていて毎朝新聞の取材を受ける
「すてきな企画ですね?『オハライトコと88人のボーイフレンド』」
女性記者は糸子と88人の男性が写った記念写真を見ながら言った。
「元は、ちっちゃい集まりやったんですわ…」
糸子は女性記者に妻に先立たれた男性達を招いて食事会を開いた経緯を説明した。
「ほんで気がついたら…」
「88人になっていたんですか!?」女性記者は驚いた。
「ウチの米寿の祝いとかけてくれたんやろと思うけどな…」
「羨ましい。あやかりたいですわ~」
「お宅、年なんぼ?」糸子は女性記者の年齢を尋ねた。
「49です」
「こらからや!!ウチかてこんなん若いころは思てもみんかった!」
「先生は若い頃はどんなんやったんですか?」
「ウチは猿やら豚やら不細工やら…くっそ!アイツにこの写真見せたれんもんかいな!」
糸子は思い出すと急に腹が立って写真をなんとかして奈津に見せてやりたいと思った。

― その晩、糸子は布団の中で奈津との思い出を振り返っていた。
奈津は糸子に罵声を浴びせる思い出ばかりだった。
>ほんでも生きている内にお互いまだボケもせんと会えたんやさかい
>…奇跡やでなあ

― 糸子は再び病院を訪れ、奈津の病室を覗くが奈津に気づかれたので早々に退散する。
その後、院長室に訪れた糸子は院長・龍村から総婦長の相川を紹介された。
「有名な先生にこんな病院のイベントなんかお引き受けいただいてありがたいことです。
仕事の合間のことですから、あくまで無理せず楽しくやらせてもらおう思てます」
相川が真面目に言った。
「いや、けど引き受けたからにはキッチリしたもんやらせてもらいますよって…片手間にやったらええとは思わんといてください」
糸子は満面の笑顔を浮かべながら伝えると相川は事務の香川を睨んだ。
その緊張感に耐えられず
「あ!僕、次あったんだ」
龍村が部屋を出て行こうとするが香川に止められてしまう。

「まず急いで欲しいんはモデルの選出です。
人数は15人、年齢身長体重なんぼでもかまいません」
「は?ホンマにええんですか?」相川と香川は驚いた。
「ただしお願いがあるんです。こないだモデル職員さんから選ぶちゅうて言うてはりましたけど半分を患者さんにして貰えませんか?」
「…そら無理です!患者さんにもしものことがあったら」相川が表情を曇らせる。
「いや、勿論そら無理にとは言いません。患者さんの中にも出てみたいちゅう人も絶対いてる思いますわ…せっかくやったら、ウチもそういう人らに出てもらいたいんです」
その会話の間に院長・瀧村は逃げるように部屋を出て行ってしまう。
「せやから言うたやないですか!院長はどうせ何の責任もとるつもりも無いんです!やっかいな負担は現場にまわってくるだけなんですよ!どないしてくれるんですか!」
相川は残った香川に小さい声で怒りをぶつけた。

「…小原さん、そら有名な先生やさかい、メンツおありやろし、こんな素人相手のイベントでも中途半端な事はでけへんちゅうのもわかります。…けどここは病院です。患者さんに妙な事をさせて“もしもの事”があったら困りますよってそれは無理です。お断りします」
相川が再び糸子の正面に座り丁寧に申し出を断わった。

「…ウチかて子の道の70年のプロなんです。お宅らは医療の力の信じて毎日仕事してはるやろ?ウチは洋服の力を仕事してきましたんや…
洋服には物凄い力があるんですわ。ホンマにええ服には人を慰める事も勇気づけることも元気づける事もでける…うちは自分の洋服でお宅らの力になりたいだけや
患者さんにええ服を着てライト浴びて歩いて欲しい…それを他の患者さんらに見て欲しい。
医療とは何の関係もないと思うかもしれへん…けどほんな事が人に与える力をウチは、よう知ってるんですわ…半分!いや3分の1…いや1人でもええわ!希望する患者さんを参加させちゃあてください…この通りや!」
そう言うと糸子は相川と香川に深く頭を下げるのだった。


【NHK カーネーション第141回 感想・レビュー】

金券屋、バブルのあおりで閉店していたんですね…逆にバブルがはじけた後に流行りそうなもんだけど。まあ、糸子の店に勤める事ができてよかったです。糸子の家で“イワシを炊いた料理”を食べたのはここに繋がっていたわけですね。
まあ、金券屋の兄ちゃんはいいとして、あのヤンキー君はもう出ないのかな?
さてドラマはというと、奈津が出て来て「奈津キター!」状態と思いきやそれほど盛り上がりもなく糸子VS総婦長さんの構図になってしまいます。
興奮する総婦長に対して糸子は余裕の対応。
でも88歳に対してあんな言い方はないなと思う今日この頃です。