カーネーション あらすじ 『奇跡』 第140回(3月19日放送)


平成13年7月、孝枝がスーツの男性2人を従えながら携帯電話で話していた。
「浩ちゃん?これから店にお連れするから。先生にそない言うといてや」
孝枝は電話を切ると後の2人に謝った。
「ホンマ遅なってごめんなさいね~」
「いえいえ!やっぱり先生お忙しいやな…」男性が答えた。
「大変ですわ~仕事でも遊びでもセーブするっちゅうことを知らん人やさかい」
「あ!こないだテレビで見ましたよ」
「テレビもラジオも講演もどんどん受けてしまうんですわ~」
孝枝は嬉しそうに2人に言った。

― 孝枝達が店に到着すると88歳になった糸子が男性達を出迎えた。
「いらっしゃい、悪かったな待たせて」
「先生!お久しぶりです!」
糸子が男性を中に招こうとすると孝枝が割って入った。
「すんませんけど…先生、この次、また4時にはここを出んとあかんので」
孝枝が男性達に忠告すると糸子はジロリと睨んだ。
「またそんな…。急かしな!失礼やろ?たった今ついたお客に…」
「いーえ!きっちり言うとかんと…またどんどん遅なるんですから!3時50分までにお話、終わらせてください…はあ忙しい忙しい」

― 店に訪れた二人の男性と糸子は話が盛り上がっていた。
「もうウチも88歳やよって…歳取るんも85くらいまでは嫌やったけど…それ超えたらもうのうなってしもてな」
「はあ!そんなもんですか?」
「それより死んでしもたらできんこっちゃろ?今まで興味なかったことでもとりあえずやっとかな思うし…一生懸命やるやんか、そしたら楽しいでなあ!ハハハハ」
糸子達が楽しく会話をしているとドアが勢いよく開いて孝枝が大きな声を出した。
「3時50分です!!」
「…ほんじゃ、失礼します」気まずそうに男性達は帰る準備をするのだった。

― その後、糸子は孝枝からびっしりと埋まったスケジュールを聞かされる。
「…ほんで土曜日、心斎橋百貨店の会長からお相撲誘われてますけど、どないします?」
「は~あ…忙しなあ…」
「全部、先生がいれたんですからね」
「うーん…行くわ」
「行くんですか!?お相撲!?」
「そら相撲は水戸かな!な?」
糸子が後ろにいる浩二に言うと浩二は笑顔でうなづいた。
「…働くわ遊ぶわ…」孝枝がブツブツと言う。
「結構なこっちゃんか。な?」糸子は再び浩二に相槌を求めた。
>この頃のうちの一週間は仕事と仕事、遊びと仕事…それから病気
岸和田中央病を糸子は杖をつきながら訪れる。
>四年前からヘルペスちゅうのができるようになってこの痛みが悩みの種…
「体に負担をかけんと仕事もお酒もほどほどに」
糸子の診察を終えた医者が糸子に忠告した。
「じっとしたら痛みが忘れられへんさかいつい何やかんやしてしまうんですわ~」
>毎回同じ事いうて…その後、整形外科に回って
「まあ、膝に負担をかけることはせんことですよ」
「じっとしてたら痛みが忘れられへんさかい…」
>こっちでも同じ事言うて…そら治らんわな

糸子が薬の処方を待合所で待っていると病院の事務員・香川が話しかけてきた。
「実は先生のお店、寄らせてもらおうかと思てたんですわ」
「うちの店…なんでまた?」
「実はその…相談したい事がありまして…先生、今お時間ありますか?」
薬は帰りに渡すと伝えると香川は強引に糸子の手を引いて院長室へ向かった。

― 香川に連れられて院長室に入ると院長・龍村が挨拶をしてきた。
「どうもどうも!院長の龍村です。すんませんお忙しい所お呼び止めしまして」
龍村は糸子をソファへ案内すると内線でハーブティを持ってくるように注文した。

「ご活躍は良く存じ上げております。でもねパーティとかでおみかけしてるんですよ
確か難波のプラザホールの竣工記念パーティとか」
「ああ、去年の」
龍村は糸子に忙しい中、呼び止めた事を謝ると本題に入る。
「実はうちの病院で毎年、患者さん向けのイベントをやっているんですよ。例えば音楽のコンサートやら講演やらやるんですけど、うちの事務長の香川がね『ファッションショーなんかどうですやろ』ちゅう提案がありまして」
龍村は横に立っていた香川に座わるように注意する。
「先生をうちの病院でちょくちょくおみかけしてたよって、いつかそんなんできたらな~思て院長に言うてみたんですわ」
「けど僕も確かに面白いな~思いまして、ひょっとしたら興味持ってもらえるかもしれへんと思いましてダメもとで言うてみようかちゅうて(笑)」
「つまりウチがショーをやって患者らがそれを見るちゅうことですか?」
糸子が龍村と香川にファッションショーについての質問をする。
「いや、僕が思ったのがうちの職員らがモデルになったらええんちゃうかなって」
香川が答えた。
「職員?看護婦さんらちゅうことですか?」
「はあ。実は僕の死んだおふくろが昔、先生のお店のショーをよう見に行ってたんですわ。
誰々がどんな服着てたやら嬉しそうによう言うてて子供心に女ちゅうのはこんなんがよっぽど好きなんやなあ思たんです。患者さんらもなじみの看護婦なんかが綺麗にして歩いたら楽しんでくれるんやないかと思て」
「なるほど」糸子は納得した。
「どうですやろ?もちろん予算やら…」
「いや、やりますわ!」
糸子は龍村が言い終える前に結論を出した。
「え?そらまあスケージュールやら予算のご都合も…」龍村はもう一度言おうとするが
「そらあります。けど、やらせてもらいます」
糸子の返答に龍村と香川は胸を撫で下ろす。

そこにハーブティが届く。
「そうそう桜井さんてご存知ですか?うちの内科に入院している患者さんなんですけど…桜井…なんやったかな?」
ハーブティを口にした龍村が糸子に尋ねた。
「桜井…どこの桜井さんやろ?」
「糸子先生の同級生やったいう話を聞きまして」
「さあ?…女学校を途中で辞めたよって同級生の名前も顔もよう覚えてないんですわ」
「僕もよう聞きますわ。先生と同級生やったとかチビの頃、掃除のおっちゃんに頭突きして気絶させたとか」
「ホンマですか!?ハハハハ!」

― ハーブティを飲み終えて糸子が院長室を後にしようとすると龍村が言った。
「あ、奈津さんや!…思い出しました…桜井奈津さんです」

― 糸子は、桜井奈津のネームプレートがある病室を見つけ中の様子を伺う。
奈津は窓際のベッドで本を読んでいたが、入り口に現れた糸子の存在に気がつく。
「…何や…何か用け?」


【NHK カーネーション第140回 感想・レビュー】

88歳…平成13年って、10年前の話ですね。つい最近のことで、まず1ビックリですわ。
とりあえず、前回の話の展開から15年ほど経過しているんですね…ちょっと特殊メイク?
それはそうと、糸子の『生と死』の捉え方が悟りの域に達してるのかもしれません。
晩年編になってから本当にメッセージ性というか考えさせられるセリフが多いです。
そんな中、遂に幼馴染でライバル(?)の奈津との再会。
江波杏子さん演じる奈津…なんか『これぞ奈津!』って感じがしました。
いやいや、最初の「何や?」に鳥肌立ちましたよ…