カーネーションあらすじ 『運命を開く』 第12回(10月15日放送)

新しく開店した木之元電気屋に子供達が集まっていた。
「電気っちゅうのはな…手品みたいなもんや。
これからは洗濯かて掃除勝て電気がするようになんねん」
木乃元栄作は得意げに子供達に話していた。
「あのなぁ、一番ごっついのはなラジオっちゅう箱や!」
「ウチ、知ってんでラジオ!」糸子が手を挙げた。
「どんな箱や思う?」栄作は子供達に質問してみた。
子供達は天狗の団扇や飴、雲が入っていると各々口にする。

「あのな、答えはな…人の声や音が聴こえんねん!中に人も楽器も入ってへんでぇ?
せやのに人の声やら音楽が聴こえるんや!」
栄作は興奮して話すが子供達は『なんやようわからん』と言い店を出て行った。

糸子の父・善作は番台から木乃元電気店のチンドン屋をぼーっと眺めていた。
「お父ちゃん!お薬、買うて来ました。お腹の虫くだすやつ。飲んで下さい」
買い物から帰ってきた妻・千代が薬を善作に手渡した。
「…なんでこんなもん飲まなあかんねん」

善作は大地主の神宮寺源蔵の屋敷に赴き、婚礼道具を揃えられないことを詫びた。
「ハッハッハ…どうっちゅうことないわ。別の店に頼んだら終いや。
それよりもアンタ、どないすんねん?店たたむんか?」
源蔵は土下座している善作を心配して尋ねた。
「…お恥ずかしい話ですけどまだ迷てます」
「そらわかる!けどな…辞めるんやったら早いうちやで?商売っちゅうのはいったんつまづいたらどん底まであっちゅうまや!」源蔵は身を乗り出して善作に言った。

新学期が始まり、糸子は久しぶりに桝谷パッチ店を覗いた。
従業員の声やミシンの音を糸子は心地良さそうに聴いていた。
その帰り道、幼なじみ安岡勘助が同級生2人に絡まれている場面に遭遇する。
「…けど俺、やっぱし嫌や」勘助は震えながら断っていた。
「おんどりゃーまたこの前みたいな目にあわされたいんけ?」
男が勘助の胸ぐらを掴んだのをみた糸子は草履を脱ぎ、男に飛びケリを浴びせた。
「なんじゃお前!」糸子に転ばされた男子学生が糸子に言った。
「小原糸子じゃ!ここのヘタレの連れじゃ!おのれらこのヘタレいびって強うなったつもりか!なんちゅう腐れ根性しとるんじゃ!」
糸子は草履で叩いたが結局、腹を思いっきり蹴られ倒れこんだ。
「ぼけ!くされはおのれじゃ!」そう言って男子学生は帰ろうとした。
「うわー!!!わー!!あー!!」
腹を苦しそうに押さえていた糸子を見た勘助は逆上し男子学生二人を追いかけた。

顔中痣だらけになった勘助は糸子をおぶって小原呉服店に帰宅する。
「女学生にもなって何すんや!」事情を聞いたハルが驚いた。
「怒っちゃらんといて!俺が学校の奴らにいじめられてんのを糸やん庇うて…」
「うっさい!!帰れ!勘助のアホ!帰れ!!」糸子は勘助に鞄を投げつけた。

― ハルは布団を頭から被っている糸子にお粥を持ってきた。
「未だ痛いんか?女子が腹蹴られるとはどういうこっちゃ」ハルが呆れて言った。
「放っといて!蹴られとうて蹴られたんちゃうわ!」
その様子を階段の影から善作がこっそり見に来ていた。

「…アンタ、泣いてんけ?そんなに痛いんけ?」
「痛ない!悔しいんや!勘助に助けられる様になったらもう終いや!
あんなヘタレかて男やっちゅうだけでウチより強なってまいよった!」
「ヘタレが強なったんや結構なこっちゃないか?」
「結構な事ない!なんも結構な事ないわ!知らん間に男らだけがどんどん強うなっていきよって…ウチ、置いてけぼりや!あんなヘタレに勝てん。一生勝たれへんのや」
「アンタは女子や。女子は女子のやることがあらしな!裁縫したらええわし!」
「お父ちゃんがアカンちゅうた!アッパッパ縫うたらあかんって!」
「ほんなら他のもん縫うたら…」
「嫌や!!ウチ、アッパッパが縫いたいんや!桝谷パッチ店で働きたいんや!ミシンはウチのだんじりなんや!!」
「なんやウチのだんじりて?」
「ウチはだんじりにも乗られへん!ドレスも着られへん!…ミシンも使えんで…勘助まで負けてしもうたんや…もう終いや!うわーー!!」

次の朝、糸子が居間に呼び出されると善作が座っていた。
「だんじりが終わったら女学校を辞めさしちゃら!その…何ちゃらパッチ店へ行け!」
「…ホンマ?ホンマ?ホンマ?」糸子は耳を疑い何度も確認した。
「ただし!…働きにいくと思うな!勉強…」
「嬉しい!!!あー!どないしよう!」糸子が喜びを爆発させた。
「聞けー!勉強や!お前みたいなガキが働くなんて百年早い!勉強しに行くと思え」
お父ちゃんはとにかく勉強勉強を繰り返してました。
けどそんときウチはまだ何もその意味を分かっていませんでした。

そして“だんじり”当日、糸子達は屋根で躍動する大工方の泰蔵を見ていた。

泰蔵兄ちゃん、あんな、ウチもウチのだんじり乗れる事になってん!
覚えてるか?ミシンちゅうんやで。

【NHK カーネーション第12回 感想・レビュー】

今日はカーネーション12回の中で一番見ごたえがあったんじゃないでしょうか?
深読みし過ぎかもしれませんが、善作は女性である限界について祖母・ハルに泣いて悔しがっていた糸子と小さな呉服屋で商売の才がない自分を重ねていたんでしょうかね。それにしても、糸子役の尾野真千子さんの演技、ハンパやないです。
恐らく、カーネーションに関する色々なネットの掲示板やブログでも今日の回の演技は相当評判が良いと思います。
尾野真千子さん、近いところで杏主演の『名前をなくした女神』というお受験をめぐるママ同士の葛藤を描いたドラマで暗い役をしていたんですが…なんつーか今日の糸子の演技、圧倒されましたよ。子供の時、おお泣きするとこうなりますもんね。
あと、感想でも何でもないかもしれませんが糸子の最後のセリフ「ミシンちゅうんやで」って言い方が可愛かったです(笑)