松坂家から帰宅する時になっても糸子は、パーティでの出来事を思い出しボーっとしていた。帰宅準備をしていた母・千代に祖母・貞子はこっそりお金を渡した。
「さっき大きいお金、借りたとこやし…」千代は遠慮した。
「あれはお父様から。こっちは私からやん。子供達にお団子でも食べさしてやり」
そう言って千代を送り出した。
家に帰った千代は善作に父・清三郎から無事にお金を借りられた事を報告した。
「父が今度ばかりぞと言うてました」
「うむ…ご苦労だった。婆様にぜんざい作らせたかい子供らと一緒に食うたらええ」
「結構ですわ…甘いもの、あっちで山ほど食べましてん」
千代は手で口を押さえて気分悪そうに言った。
「まて!何贅沢な事言うてんのじゃ!わしが食え言うとんのじゃ!
ありがたがって食えわんかい!」善作は怒鳴ったので千代は慌ててゼンザイを探した。
二階の部屋では糸子が外国人に貰ったカーネーションを飾ってボーっとしていた。
『あの綺麗な着物は何やったんやろ?ホンマにこの世のもんやろか?夢とちゃうか?』
糸子は登校中の同級生、吉田奈津を捕まえて興奮しながら正月にみた外国人達が着ていたドレスについて尋ねた。
「ドレス?ドレスって言うんけ?あの綺麗な着物?」
「着物ちゃう、洋服や。外国の着物は洋服っちゅうんや。アンタ何も知らんねんな?」
奈津は呆れた顔で糸子に言い、自慢げに言った。
「ウチの店かて時々来るんやで、異人さん」
「ホンマ!?ドレブ着てる!?」
「ドレブちゃう。ド・レ・ス」奈津が糸子に指摘した。
学校から帰ると糸子は善作から頼まれ和菓子屋に集金に行く事に。
和菓子屋の店内でねばる糸子に和菓子屋主人が言った。
「アンタもそろそろ帰らな。お家の人が心配しとるで」
「お構いのう!集金に来とるって知ってますさかい」
「なんぼ座ってもろてもないもんはないさかい。今日の所は堪忍してもらわなな?」
「けどおっちゃん。ウチも手ぶらで帰る訳にはいきませんねん」
「さよけ」主人はそんな事も気にせず商売に戻った。男性客の相手をしていると勘助と男の子の二人組みが団子を買いにきた。
店主の注意を聞かず、勘助達は団子を1本多めに持って走って逃げた。店主は悔しがったが糸子が取り返してくると走って勘助たちを追いかけた。
川辺で嬉しそうに団子を食べていた勘助の背後から団子を奪った糸子は勘助達の頭を叩き、無事に和菓子屋に多めに持っていかれた団子2本を返した。
「よう懲らしめてやったで!アイツらまた悪さしよったらいつでもウチに言うてや!」
「かなんな嬢ちゃんには。流石のおっちゃんもアンタの顔を立てへん訳にはいかんようになったな」和菓子屋の主人はそういってお金を金庫から取り出し糸子に渡した。
糸子がお金を受け取り家に帰ろうとすると数人の男子が糸子の行く手を塞いだ。
「お前か小原糸子ちゅうのは?ワイの弟がエラい世話になったらしいな」
一番、背の高い男の子が糸子に凄んで言った。
「知らんがな。どれがお前の弟やねん!」
「ワイじゃ」さっき勘助と一緒に団子を取った男子が影から言った。
「なんやお前か?お菓子屋のおっちゃん困らすなよ!」
「舐めとったら承知せんぞ!!顔を貸して貰おうか?」
「すまんなウチは忙しいんや」糸子は相手もせず平然とやり過ごそうとした。
すると男の子の兄が糸子の肩を掴み糸子を睨んだ。
「女やからって大目には見んど?」
「あぁ!?別に女やから逃げるんちゃう!ボケ!離せ!上等や!受けちゃら!案内しいや」
川にやってきた糸子と男の子の兄の一対一の喧嘩が始まった。
糸子より少年の方が身長が高く体格差もあったが、下駄を使って叩いたりする。
少年はたまらず川に逃げ糸子はそれを追って再び川の中で取っ組み合い。
その時、和菓子屋で集金したお金がプカプカと流れていくのを糸子は見た。
「あかん!待って!」
糸子は慌ててお金を追いかけたが、お金は沈んでしまい糸子も流されてしまう。
「糸ー!!」勘助が助けようと川に入るが勘助も流されてしまう。
しかし勘助は少年達が連れてきた警官に助けられる。
勘助の兄・泰蔵も川に飛びこみ糸子を助けた。
ずぶ濡れになった泰蔵と勘助が小原呉服店で頭を下げていた。
「まあ、そら世話かけたよ!こんなずぶ濡れになって、堪忍してや」糸子の祖母・ハルが二人に謝った。
「すんませんでした!うちのが先に…勘助!」泰蔵は勘助の頭を抑えた。
「スミマセンでした」
泰蔵達が帰ろうとするとずぶ濡れの糸子が俯きながら小さい声で父・善作に言った。
「…お金、流れて行ってしまいました…」
「そんなしょうもないケンカ…なんで買うた?」善作は静かに尋ねた。
「女やからって…舐められたなかった」
バシン!!糸子は善作に頬を叩かれて倒れこんだ。
「わかったか!?これが男の力じゃ!お前に出せんのか!?お前はどう足掻いたかて女なんじゃ!女が男に張り合うてどうすんじゃ!?」善作は糸子に怒鳴った。
「すんません!すんません!すみません!」
あまりの迫力に勘助は責任を感じて何度も謝った。
「はよ帰れ!風邪引くど!」善作は勘助と泰蔵に言った。
そんな父・善作を糸子はじっと下から見上げていた。
【NHK カーネーション第4話 感想・レビュー】
昨日は出張で朝から名古屋へ行ってまして…更新遅れました。
なので、とりあえず4話から(5話も後で書きますさかい)
評判とか視聴率とかは、いいとして本当に面白いですよ。
個人的には、このまま子供編を3ヶ月くらい続けて欲しいです(笑)
弟の仇をうとうと兄が出てきますが、一歩も引かない糸子、カッコいいです。
ドレスを見て綺麗~!と女の子らしいかと思えば、5,6人の男子に囲まれても一歩もひかずケンカを買うところ…
勘助も初回は生意気と思いきや、善作が糸子に怒鳴るシーンでは何度も謝ります(笑)
いやーわかるわ。
自分が原因で友達が怒られるとパニックになりますよね。
少年時代を思い出しました。