カーネーションあらすじ 『運命を開く』 第8回(10月11日放送)

「布を縫う“だんじり”みたいなやつの名前はなんて言うんですか?」
翌日、授業が始まるやいなや糸子は昨日見た機械について質問した。
「布を縫う“だんじり”?」教師は目を細めた。
「コマをキュッと回して、バタバタって踏んだらダーッと縫えるやつです!」
「キュッやらダーばっかりで全くわかりません」教師が答えた。
「先生、ミシンの事やないですか?」ある生徒が言った。
「あぁ、ミシンのことですか」教師は納得した。
「ミシン言うんですかアレ?」
「アレがどれかわかりませんが布を縫う機械のことやったらミシンです」
「ありがとうございます!」糸子は大満足して着席した。

糸子はに毎日、雨の日も風の日も学校帰りにミシンが置いてある桝谷パッチ店に寄り暗くなるまでミシンを見る様になっていた。

― 季節は夏になり、糸子は裁縫しながら自分の縫うスピードにため息をついていた。
すると泣いている次女・静子を連れて母・千代が部屋に入ってきた。
「糸子、お父ちゃんがなもうアッパッパは着たらあかんて」
「はぁ?なんで?」
「呉服屋の家のもんが洋服なんか着るのはおかしいさかいな?」

糸子はたまらず一階の父・善作に詰め寄った。
「お父ちゃん!なんで?なんでアッパッパ着たらあかんねん!」
「なんでもじゃ」
「着てもええやんか!呉服屋の娘かてアッパッパ、着てもええやんか!」
「じゃかましい!ワシがあかんいうたらあかんのじゃ!
お前、二度とあんなもん縫うたら承知せんぞ!」善作は声を荒げて糸子に言った。

糸子はとうもろこしを食べながら祖母・ハルに事情を聞いた。
実は岸和田の大地主である神宮司源蔵の息子が結婚することになり、善作は豪華な着物が売れると思っていた。しかし源蔵は世界を相手にするには洋服も着れなくてはいけないと息子が燕尾服を着る事に賛成し、着物が売れなかった。
それが善作の不機嫌の原因と知り、糸子は理不尽だと腹を立てた。
「洋服を着るもんが増えたら父ちゃん、商売あがったりや!」ハルは糸子に言った。
「わかってるけど…」糸子は面白くなさそうにとうもろこしをかじった。

アッパッパが縫えんでもウチにはミシンがある。
ミシン見てたら嫌なことすぐ忘れられます。

その日も糸子はミシンが置いてある枡谷パッチ店の窓からミシンを覗いていた。
「嬢ちゃんよ」後ろから糸子は声をかけられた。
「え?…うわ!大将や!」声の主が店主・桝谷幸吉がだったので糸子は驚いた。
「ワシが大将ってなんで知ってんやん?」
「そりゃ、毎日、見てるさかい」
「はっはっは!そうか!」桝谷は豪快に笑った。
「他の人の名前も全部言えんで。田中さん、昨日休んでたやろ?」
「そうや風邪や。毎日ウチの店で何の用や?何をそんなにへばりついて見てんのや?」「ミシン」糸子は短く答えた。
「ミシン!?はぁー!ミシンか!いやな、そない男前もいてへんのにあの子は一体何を見てるんやろと思っちゃったんや」枡谷は納得した。
「大将、桝谷パッチ店はごっつい店やな?…なかなか無いでミシン置いてるとこ」
「そらおおきに!」
「礼はええねん。お世辞ちゃうさかい…」糸子は相変わらずミシンを見ながら桝谷に言った。
「…嬢ちゃん、名前なんちゅうんじゃ?」
「小原糸子や」
「糸子?縫う糸か?」桝谷の質問に糸子はミシンを見ながら頷いた。
「そんなとこ立たれたら商売の邪魔や!見るんやったらな!中で見ぃ!」
「ええの!?おおきに!」

「ちょいちょいちょい…ほんで…よし!」
男性作業員が糸子の前でミシンを扱って丁寧に説明した。
「おおー!!」糸子は間近で見るミシンの動きに感動した。

それから糸子は枡谷パッチ店に通ってはミシンの練習をさせてもらうようになった。
そして糸子は一枚の布着れをミシンで編む事ができた。
「なかなか筋ええがな!最初は皆そない上手い事いかへんもんやで?」
枡谷パッチ店の店主が糸子を褒めた。
「縫えた!ミシンで縫えた!」糸子は縫った生地を嬉しそうに何度も見るのだった。

「良かったな糸ちゃん。置いとくで」男性作業員がお茶を机に置いた。
「ウチやる!やらせて!はい、お疲れさんです!」
糸子は男性作業員からお茶とお盆を奪うと店の作業員達にお茶を配り始めた。
そうして糸子はいつしか枡谷パッチ店の手伝いまでするようになっていた。

働くっちゅうんはなんてオモロいことなんでしょうか

「お母ちゃん、ウチが皿洗うさかいな」夕食後に糸子が言った。
「どないしたん?珍しい事言うよって」母・千代は驚いて尋ねた。
「当たり前のことや!ウチはもう子供ちゃうしな」

ウチが一個働いたら、周りが一個喜ぶ、ほんでその度にウチは一個大人になれるような気がします。どないしょ?ウチ、どんどん大人になってるやん!

糸子は仕事帳と書かれたノートに「家族全員の布団を敷いた」という一文を書いた。
明日もがんばろ!ウチはもうごっつい大人や。


【NHK カーネーション第8回 感想・レビュー】

昨日、ミシン見て「おほぉー!!」とか言って“ミシン型のだんじり”に乗る妄想をしていたのに、ミシンでもう縫っちゃってましたね。
予想以上に速いミシンデビューですが気になりません。
偉そうな事を書かせてもらうなら「テンポが心地良い」です。

今週からっていうか昨日から、主役になった糸子役の尾野真千子さんの演技がこれまた良いです。演技っていうかキャラって言うか…なんか笑っちゃいます(笑)
桝谷パッチ店でお手伝いしている際、お茶の葉っぱを入れすぎるシーンとか、ドジなんしちゃうけど誤魔化そうって一面も垣間見えて可笑しいです。
寝坊したシーンでも味噌汁(?)をお玉でそのまま飲もうとするシーンがありましたけど、なんでしょうか?この安心感。某大手の掲示板では味噌汁をお玉で飲んだことについて賛否両論が書いてありましたが私的には全然アリです(笑)

最後のシーンでも仕事帳なるものをつけてるのも可笑しかったです。
「家族全員の布団を敷く」の隣に「妹の宿題をやってあげた」と書いてましたがそれは仕事ちゃうやろ!とツッコミどころがあるのもこのドラマの魅力ですね(笑)