カーネーションあらすじ 『運命を開く』 第9回(10月12日放送)

「小原さんのとこですが…こない言うたらあれやけど、あっこの呉服屋、たいした事無いですわ~この頃は品揃えもエラい悪いですし…やっぱり着物は心斎橋辺りの店の方がよっぽどエエもん揃えてますわ」
料亭・吉田屋の一室で岸和田の大地主・神宮地源蔵をもてなしていた店主・吉田克一が言った。糸子の父・善作は偶然にもその会話を廊下で聞いてしまう。
「ま、せやけどな。これまでの付き合いっちゅうもんもあるさかいの」源蔵が言った。「旦那さんみたいな懐深いお人はそない思うんですやろなぁ。ワシらみたいな器のこんまいもんはあんな店で買い物したら損した気になりますわ。あっっはっは」

「こんばんわー小原でございます!呼んでもろうたのに遅れてすんません!」
会話が終わったのを見計らって善作は到着したばかりのように装った。
「ようおこし!どうぞどうぞ!」吉田克一は笑顔で善作を招きいれ部屋を後にした。
「今日は縁起がよろしいわ!神宮寺の旦那のお座敷に呼ばれるやら!(笑)」
「呼び出したのは他でもないんや。実はウチの娘の縁談が急に決まったんや…」
「ありゃ!それはおめでとうございます!」
「そんでな、揃えちゃって欲しいんや…振り袖と訪問着、あと向こうで着るもの。とにかく嫁入り一式!揃えちゃってくれ!!」
「おおきに!任せて下さい!何処へ出しても恥ずかしない上物を揃えるさかい!」
「…これで気、楽になった。この前、せがれのとき、悪い事したさかいな~」
源蔵は燕尾服を着る事になった息子の結婚式の事を詫びた。
「かなんな~そんな事気にして貰うてたんですか?大した事おまへんがな!」
「せやけどな…アンタとこかて娘4人いてるやろ?」
「…へい…すんまへん…おおきに…おおきに」
それまで調子よく喋っていた善作だったが源蔵の優しさに涙を浮かべてしまう。

― ある日、買い物を済ませた次女・静子が帰宅したばかりの糸子に小声で尋ねた。
「…姉ちゃん、パッチ屋で働いているってホンマ?」
慌てて糸子は静子の口を手で塞ぎ、建物の陰に連れて行った。
「…誰に聞いた?」
「卵屋のおばちゃんや。変な噂が立つよって気つけやって言われた。小原呉服店は娘働きに出さなあかんほどお金に困っているらしいって…」
「は?働いてへん。ちょっこと手伝っているだけや」
「なんでパッチ屋なんか手伝うん?父ちゃんに怒られるで?」静子が忠告した。
「うるさい!桝谷パッチ店はええ店や。ウチはなーんも悪い事してへんで!!」

― その後日、糸子はいつものように学校帰りに桝谷パッチ店によって仕事を手伝っていた。すると桝谷パッチ店の店主・桝谷幸吉に話があるといわれ幸吉の部屋に糸子は呼ばれた。幸吉は糸子から現在、女学校2年生と聞くと
「こんな事言うて悪いと思うんやけどな。あんた、ウチへけえへんか?
今すぐちゃうで、卒業したらの話や」と切り出した。
「…つまり…ウチに嫁に来いっちゅうこと?」
ブシューっと幸吉は飲んでいたお茶を口から出してしまう。
「なんでやねん。ウチにはあの肥えたオバハンいてるやんけ。そやのうて、ウチの店で働けへんか?っちゅうことや」
「え?ウチ雇うてくれるん?」
「うん。アンタ、この仕事好きやろ?」
「好きや!そら好きや!けどええん?…ウチ、女やで!」
「構へん!男やろうが女やろうがやる気があるんやったらワシは気にせん!」
「働きたい!ウチ、ここで働けたらそらそんなに嬉しことあらへん!ウチ、ミシンかて桝谷パッチ店かてごっつい好きなんや!」糸子は嬉しそうに幸吉に言った。
「はっはっはせやな!」幸吉は嬉しそうに笑った。

糸子は自宅に帰ろうとすると幼なじみ安岡勘助に呼び止められる。お菓子に釣られて勘助の家に上がると勘助の母・玉枝が同級生の吉田奈津の髪を結っていた。
「奈津?アンタ、おばちゃんに髪結うてもろてんの?贅沢やな芸子さんみたいやん!」「アンタとウチは女としての値打ちがちゃうねん、比べんとって」
嫌味を言われた糸子だったが玉枝の仕事の邪魔にならないよう勘助の部屋へ行った。
糸子は女学校を辞めて桝谷パッチ店で働こうと考えている事を勘助に言った。
「パッチ屋で働くんか!?ええな~俺も辞めちゃろかな…学校」勘助が言った。
「アホか!お前は学校くらい出んでどないすんねん!」糸子は勘助の頭を叩いた。
「おばちゃんは女手一つで行かせてくれてやん!辞めたらウチが承知せえへんで!」
「そやな…辞めたらあかんやん」
「学校で嫌な事あんのか?いじめられてんか?」糸子が勘助をジーと見た。
「なんでやねん!俺がいじめられるわけないっちゅうねん!」勘助は目を逸らした。
糸子はいじめられたら仕返しをしてやると勘助に言うのだった。

勘助が一階に降りると吉田奈津が新聞を読んでいた。
「おろ?今までおったん?」勘助が奈津に声をかけた。
「…おったら悪いか?」奈津は勘助を睨んだ。
「悪いことないけど。なにしてんの?」
「別に…アンタの兄ちゃん帰り遅いんけ?」
「なんで?」
「なんでって…なんででもええやろ?」
そんな会話をしていると勘助の兄・泰蔵が帰ってきた。泰蔵は客に挨拶すると足を拭くため玄関わきに行った。
「兄ちゃんやで?」勘助は奈津に確認した。
「し!うるさい!…おばちゃん、そんなら失礼します。おおきに」
そう言って奈津は帰ろうとしたが、玄関で泰蔵と目があってしまう。しかし奈津はなにも言わずに帰っていくのだった。

― 糸子の祖父、松坂清三郎の仕事を手伝っている叔父・正一が小原呉服店にやってきた。岸和田で仕事があると必ず小原呉服店を訪ねる正一だったが糸子の父・善作はこの正一が苦手だった。善作は正一が来ると判ると店の裏口から逃げていった。


【NHK カーネーション第9回 感想・レビュー】

善作の小物さが凄い出ていて良い回でした。いますよね?こういう人…私は、どこか憎めなくて好きなキャラクターです。善作も良いですが、岸和田の大地主さん、粋なことしますね。なんか今回の連続テレビ小説『カーネーション』は、とにかく登場人物がいいの一言につきます。もちろん物語りも面白いんですが。
桝谷パッチ店の面々もとてもいい味がありますし(笑)