カーネーションあらすじ 『私を見て』 第26回(11月01日放送)

「あかんかった?」
安岡八重子が心配して糸子を訪ねて来た。
「けど、一回断られたくらいで諦めへんで!何回でも持って行っちゃる!」」
糸子は百貨店から帰ってきてから書き上げたデザイン画を八重子に見せた。
「ワンピースやねんけど…振り袖になってねん」
「…何でまた振袖?(汗)」八重子は目が点になった。
「普通やって言われたよってどっか変わってた方がええんかなあって…どないしよ~はよ持っていかな。他に先越されてまう!けど考えれば考える程、わからんようになってしもうて!」糸子は倒れるように横になった。
「そないビックリするぐらい変わってへんでええんとちゃうん?」
八重子は難しい顔をしている糸子に言った。
「だって百貨店の店員さんがそんなビックリするくらい変わっている服着てたら安心して買い物できへんわ」
「支配人は制服は百貨店の顔やって言うちゃったわ。そら顔て考えたらあんまし変わっちゃってもまずいかもしれへんなあ…」糸子は花村の言っている事を思い出した。
「百貨店ちゅうたらやっぱり色んな格好のお客さんがいてるやろ?
その中でこうぱっとめについてこの人に案内してもろたら嬉しいな。
この人から買いたいな、何かそういう顔、そういう服っちゅうのがあるんとちゃうんかな」
八重子に言われた事で、糸子は百貨店の店員の制服を思い出した。

そういえばうち昨日店員さんのことを正直そないええとこに連れて行って貰えそうな気はせへえんかった…
そして糸子は自分が思い描く理想の店員の後姿をイメージして思った。
どないしたら気に入られるやろか考えてたからしんどかったんです。
ウチが嬉しなる服を描こう。
見てるだけで楽しなって話しかけたなる、ついて行きたなる…そんな服を描こう!
糸子はひたすら机に向かってデザインを行った。

「出来たんか?」作業が終わった明け方、父・善作が部屋に入ってきた。
「でけた。今から持って行く。…で、ちょっとでも気に入ってくれたら見本作らせてもらうとこまで持ち込んでみる!」
「お前が描いたもんワシ見せてみい」
「え?けど洋服やで?」糸子は不安そうな目で善作を見た。
「ワシが見せてみいちゅうてんじゃ!黙って見せんかい!」
糸子は仕方なくデザインを描いた紙を渡した。
「お前、ワシに洋服は分からん思うてるやろ?へへへ…それがわかるんじゃ!同じ糸のもんやさかいな」
善作は不適な笑みを浮かべて言ったが、実際に糸子が描いた紙を見ると「ふーん…」と答えるのが精一杯だった。
「しかし何や、かったるい話やな。さっさと見本作ったったらええやないけ?こんなチョロチョロした絵を見せられるより現物をやな?『これです!』っちゅうてバーンと見せられて方がよっぽどオモロイで?」善作はデザイン画を糸子に返しながら言った。
「…ホンマやな。ばーんとな。そっちの方がオモロイわ!…けど、ちょっと待って。
作んのにな生地代かかるしな時間もかかってアカンかったら丸損やで?賭けやな…」
「…けどそっちのほうがオモロイで?」善作は繰り返した。
「…お父ちゃん、生地代ある?」糸子は決心し、善作に尋ねた。
「(ニヤリ)…ない!」

糸子は小原家が“神戸箱”と呼んでいる箱を出した。神戸の祖母からの使い道のない贈り物が沢山入った箱の中身は大概は糸子の妹達の文房具運動靴に化けたりするものだった。
糸子は心斎橋の道具屋を二件、質屋二件周り、それらを売って生地代を浮かせた。
その後、生地屋を10件くらい回って上から3番目くらいに良い生地を購入した。

制服を作る作業は翌朝までかかり、糸子は丸二日寝てないことになっていた。
「ええんちゃう?」翌朝、完成した制服(見本)を着た糸子は満足そうに鏡の前に立った。
糸子は制服を着たまま、朝食を食べている家族の下に行った。
「なあ、見て見て!ええやろ?ええなあ、これ…なあ?後も見て!
こんな人百貨店にいちゃったらなんや話したなるやろ?ついて来たなるやろ?」
「なるなる!」妹達は歓声をあげ姉の服を褒めた。
「お父ちゃん!どない?」糸子はアイディアを出してくれた善作に感想を聞いた。
「お前な!それそのまま着ていけ!その支配人か?待ち伏せして頭下げて、
風呂敷を広げて見てもらうやらそんなかったるいことせんとやな
そのおっさんの前にそれ着てばーん出てってやな『これです!』言うちゃれ!
その方が話早い!…ほんでオモロい!」善作は嬉しそうに糸子に言った。

「うん!そやな!」糸子は善作のアイディアにまたも納得した。
さえてる!冴えてるわ!お父ちゃん!案外洋服屋のんがむいてんちゃうんやろか?
糸子はそのまま隣近所の木岡履物店に行き、靴を“つけ”で購入し心斎橋へ向かった。
制服を着て岸和田を歩いている糸子を通行人達は注目するが糸子は根岸の言葉を思い出して胸を張って歩いた。

糸子は心斎橋の百貨店に到着すると案内係の女性に自分の着ている制服を見せた。
「どないですか?お宅らの制服に」
「うちらの?…ええわあ。ウチも着たいです」女性は糸子の着ている制服を褒めた。
「おおきに!よっしゃ!ほな行ってきます!」糸子は支配人の待ち伏せ場所に向かった。

あかん緊張して来た…せっかく作った見本や。
一番格好良う見せな着てるウチがしみったれちゃったら元も子もあらへん。
胸はって…アカンかったらどないしよう…
支配人を待ち伏せしている間、糸子は柱の影に隠れながら緊張をしていた。

支配人・花村が通ったので糸子は慌てて追いかけ後ろから声をかけた。
「あ!…こんにちわ!小原でございます!」緊張で糸子の声は裏返った。
「ああ」花村は大して驚かず糸子を見た。
「見本作って来ました!どないですか?」糸子は着ている制服を見せた。
「うん…」花村はジーッと糸子の服に注目するのだった。


【NHK カーネーション第26回 感想・レビュー】

父・善作の機転によって糸子のプレゼンは成功しそうですね。
先日(先週?)まで洋服作りに反対していた善作氏、根岸先生に「娘を応援する側にまわる」宣言をしてから2年で本当に丸くなりました。まさか洋服のデザインを見せろというとは。
「洋服かて同じ糸のもんやからわかるんじゃい!フッフッフ」→全く理解できず、善作の目が点に(笑)。糸子も『なんじゃそら!』って目で善作を見てましたね(笑)この親子のかけあい、本当に毎日笑わせてくれます。
昨日に引き続き、幼い糸子に善作が『お前が男やったら二人で店やって。オモロかったのに…』って言うシーンを思い出します。
善作は「女性だから」という事を考え直して、糸子と共に商売する「オモロさ」に気づいた思います。今日も良い話でした。