カーネーションあらすじ 『私を見て』 第30回(11月05日放送)

晩ご飯を食べている家族に背を向け、糸子は黙々とミシンでパッチを縫っていた。
家族の視線やミシンの音が気になり、善作はラジオをつけ歌い始める。
糸子は後ろから善作の歌声を聴きながら思った。
お父ちゃんの言う事はもっともです。けどうちも間違うてません。
そやからええんです。家族に迷惑かけんとパッチ100枚仕上げちゃります!

晩御飯も終わり、夜もだいぶ更けるが善作は新聞を読んでいて寝ようとしない。
そんな善作を祖母・ハルは苦々しく思い台所の千代にボヤく。
「はよ寝りゃええのにな…そんなら手伝うちゃれんのに」
「おにぎり…」千代は糸子のために握っていたオニギリをハルに見せた。
「はよ持っていっちゃり」
「お父ちゃん怒らへんやろか?」
「怒ったかてかまへん!」
千代は善作に見られないようおにぎりを体で隠しながら糸子の所まで運んだ。
「こっちは縫えた分か?畳んどいたろか?」積まれた布の山を見て千代が尋ねた。
「まだアイロンかけんとあかんさかい」
「ほな上へ持ってってかけといたろ?」
「こら!余計な事すな!」善作が千代を叱った。

2階では静子が泣いていた。
「ウチのせいや…ウチがあんな仕事取ってきてもうたんが悪いねん…」
「泣きなや」千代が静子を慰めた。
「せやけどな、うちもほんまに糸子の姉ちゃんの洋裁の仕事手伝いたいんや。百貨店でうちらが作った服を店員さんらが嬉しそうに着てホンマにええ仕事やなって」
「うちも!」静子より下の妹・清子と光子も同意した。
「あんたらも覚えておきや。世の中には洋服を着る人は少ないんや。せやからもっと世の中の人が洋服を着てくれる様にならんとあかんねん。…お母ちゃんちゃん、どないしたらええ?」「なあ?どないしたらええんやろな…」千代は難しい静子の問いに困惑するのだった。
その頃、一階では壮絶な戦いが繰り広げられていた。
パッチ縫っている糸子、手伝ってやりたい祖母・ハル、そうはさせんと見張る善作。

…午前一時、祖母・ハルあっさり敗退。その力尽きて寝てしまったハルを見て、善作はニヤリと笑うが、振り返ると見張っていた糸子も寝てしまっているので善作は慌てた。
「…糸子糸子!糸子!」ハルが起きないように小声で呼ぶが糸子は起きない。
善作は煙管の灰吹きのふちを“カタン”と叩いくと糸子は目を覚ましミシンを再開させた。
安心して煙管に火を入れ煙をふかそうとすると糸子がまた寝ている事に気づき、善作は再び灰吹きのふちを叩くが、灰が足にかかってしまう。
「熱っ!あちちちち!」

夜が明ける頃、糸子はパッチを100枚完成させた。
一人で100枚縫い上げた事と善作が先に寝たことで糸子は思った。
これでこの勝負おあいこちゅうことで(笑)
糸子に起された善作は完成したパッチを手にとって見た。
「…お前、細いのちゃうか?」
「え!?そんなこと!」
「脚、出んやないか!!」善作は履こうとしたが足が通らない。
「あ!嫌ー!どないしよ!?どないしよ!?」
「どないした!?」台所で寝ていた祖母・ハルが騒ぎに目を覚ました。
「『どないしよ?』やあるかいお前!作り直すしかないやろ!ばあさん!千代と子供ら起こしてくれ!!」
結局、飛び起きてきた母と妹、父、祖母・ハルが細すぎる箇所を解いて糸子が縫い直してどうにか納品に間に合わせたのだった。

「おおきに。よう間に合わせてくれたな。お宅、若いのになんちゅうええ職人や!
さぞかしこの店、これから繁盛するで!」
朝、パッチを受け取りに店に来た依頼主の男性が満足そうに言った。
「いやいやうちはまだ半人前です」
善作はその会話を新聞を読みながら聞いていた。

「ほんならこれお代、確かめてよ?」
「おおきに。ほな失礼します。…は?これ何かの間違いちゃいますか?」
糸子は手渡された封筒の中身を確認して驚いた。
「は?約束した分やで?…代金は倍払うって」
「倍!?」
「ひょっとして慌てちょって初めに言うの忘れちゃったかもしれんなあ(笑)」
「はあ、うちも代金のことなんて今の今まで頭から飛んでましたわ」
「ホンマか?こっちもはじめからそのつもりで頼んどっちゃさかい。その金額で(笑)」
「おおきに、こないようさんおおきに」糸子は依頼人に礼を言った。
その様子を鼻の下を伸ばしながら善作は横目で見るのだった。

糸子はお金が入った封筒を善作に提出すると善作は“孫の手”で糸子の頭を軽く叩いた。
「アホか!代金も聞かんと仕事受けるちゅうどういうこっちゃ!まだまだ甘っちょろい!半人前の商売人やのう」
そして封筒から一枚のお札を取り出すと『ふん』と言って糸子に渡した(封筒は懐に)

― 糸子と妹3人は勘助が働くお菓子屋へやってきたので店番をしていた勘助は驚いた。
「どないしてん?めずらしいやんけ4人揃って」
「お父ちゃんがお駄賃くれたんよって」糸子が説明した。

― 4月になって静子は会社に勤め始めた。
結局、働きたがっていた妹を雇う事が出来ずに糸子は心が痛んだ。
うちもお父ちゃんもまだまだどっぷり負け試合中です。
ますます何屋か分からない店の状態を見て糸子は思うのだった。


【NHK カーネーション第30回 感想・レビュー】

結局、家族総出でやることになってしまいましたが、間に合って良かったです。
昨日、今日と深い良い話でした。善作は商売の厳しさを糸子が静子に教えたように糸子に身をもって教えたんですね。
まあ、善作の狙い通りに糸子は学んだんでしょうが、結局、明け方に起された妹達にすれば、だったら最初から手伝わせろと(笑)
桝谷パッチ店を辞めてから2年が経過してますが“目打ちの小原”健在でしたね。
善作、糸子、静子の細かい表情の表現が今日はとても印象的でした。
来週も楽しみです。