カーネーションあらすじ 『乙女の真心』 第32回(11月08日放送)

糸子は勘助が働いていた菓子屋で奈津に持っていく饅頭を選んでいた。
「けど、そんなん辞めといた方がええんちゃうけ?」店の仕事をしながら勘助が言った。
「なんで?」
「奈津のこっちゃ、糸やんから饅頭なんか貰いたないやろ。あいつ昔から糸やんとごっつ張り合うてるやんけ?饅頭なんか持ってったら『小原の猿がウチの事哀れみよった、ウチは終いや』ちゅうて余計落ち込むで?」
「ほな、あんた持ってっちゃってよ。はい、金やるさかい」糸子は小銭を勘助に渡した。
「は?こんなん饅頭一個しか買えんで?」
「今、ホンマないねん。あとアンタ足しといて」糸子は足早にお菓子屋を後にした。
「いやいやいや糸やん!」

糸子はミシンをしながら勘助が言った事に納得していた。
奈津には奈津の意地があるやろ
ウチがヘタに心配なんかせん方がええかもしれへん…

「こんにちわ。回転焼き買うてきてん。一緒に食べよ思って」
駒子が仮縫いのために小原呉服店を訪れた。
糸子は生地選び、仮縫いと自ら足を運ぶ駒子と友達のように仲良くなった。

「いくで…はい!」糸子は全身鏡に掛かっていた布を一気にめくった。
鏡には白丸い襟、全身はピンクの洋服を着た駒子が映っていた。
「うわ!全然ちゃうわ!前のんと!」駒子は鏡に映る自分の姿に驚いた。
「形はよう似てんのにこっちのんがずっとええわ。顔もずっと明るみえるし腰も細見える。
ほんで脚も長見える!」
「嬉しいわ、そんな喜んでもうて」駒子の反応に糸子も喜んだ。
「そら嬉しいわ。糸ちゃん。おおきに。…ほんま、おおきにな(泣)」駒子が泣き出した。
「駒ちゃん…泣かんかって」
「けどな…ホンマに嬉しいねん。ウチは芸妓やろ?器量の善し悪しで全部値打ち決められてしまうよってな。どんだけ芸磨こうが本読んで勉強しようが別嬪やなかったらバカにされても文句言われへん…そういう仕事やさかい。こんな別嬪に見える洋服作ってくれたんがホンマに嬉しいねん。これ着てしょっちゅう街、歩くわ!お客さんに会うたらなんて言われるやろ?」
「そら『あいつ洋服よう似合うてて見違えたわ。あんな別嬪やんけ』って言われるわ!」

糸子は『このまま街を歩こう』と嫌がる駒子を言いくるめて外に連れ出した。
洋服を着て歩く駒子に街中の人が注目し、彼らの口から『キレイ』『美人やわ』と賞賛の声が聞こえてきた。その街の反応に糸子は満足そうに思った。
おじちゃん、おばちゃん、この別嬪が着てる洋服はウチが作ったんやで

糸子は駒子を橋のたもとまで見送った。
「ようゆわんわ。お金払うてへんやん。なんぼ?」駒子は慌てて鞄から財布を取り出した。
「ええわ。また次、作りに来てくれるちゅうたやろ?」糸子はニッコリと笑った。
「…そら言うたけど…けど、あかんってそんなん」
「ええねん!ホンマに。ウチ駒ちゃんが最初のお客さんでホンマ良かった。
どんなもん作ったらお客さんが喜んでくれるか、お客さんが喜んでくれるちゅうんがどういうことかごっつ勉強になった…あとは駒ちゃん、その服着てどんどん出歩いて。
心斎橋でも新地でも絶対恥ずかしないよって。
ほんで小原洋裁店どんどん宣伝してくれたらウチそれで十分や」
「…分かった。けど覚えててや。ウチかて借りは返すよってな」
「おおきに」
「こっちがおおきにや」駒子は涙目で礼を糸子に言うと歩いて行った。
糸子は駒子の後姿を見ながら思った。
ごっつええ気分でした。
ウチは大物やと思いました。器ので会場の深い一流の人間やと思いました。

糸子が小原呉服店に帰ると善作の謡のお弟子さんの山本という人物が来ていた。
山本の娘が洋服が欲しいと言い出し、先日チラシを見てやって来たと説明した。
「おい!調子ええな!」山本が帰ると善作は糸子に機嫌よく言った。
「チラシちゅうんはバカにでけへんなあ」糸子はチラシを嬉しそうに見た。
「こら思たより物になるかもしれんのう…で、お前、結局、なんぼ集金して来たんや?」
「え?」糸子は集金していない事を思い出した。
「今日もろた内、2円50銭が生地代、言うタラこれは元手や。残りの金で次の生地買わんならん。残ったんがお前の縫い賃や…それをどんくらいにんするんか、ここはよう考えにゃならんのう…お前なんぼ集金したんや?…なんぼやねん?(笑)」
善作は終始にやけながらソロバンをはじいて計算している。
「…堪忍!もうてへんねん」糸子は善作に背を向け小さい声で言った。
「へ?」

― その後、善作に殴られた(?)糸子はミシンの横で倒れて泣いていた。
祖母・ハルと母・千代は心配して糸子に駆け寄った。

― 夜、糸子は寝ながら善作に言われた事を思い出していた。
『お前どんだけアホなんじゃ。慈善事業でもやってるつもりか情けない情けない』
すると咽び泣く声が聞こえてきたので糸子は起きて襖をそっと開けた。
糸子はその声が父・善作と母・千代のものであると気づいた。

「まあ糸子かてまだほんの19やさかい」泣いている善作を千代が慰めていた。
「ううっ…あ、あほか。歳なんぞ関係あるか!半人前がやっとものになったと思たら、この様や!情けない!(泣)」善作は“わー!”と千代に泣きついてしまう。

糸子は善作が自分のことで大泣きしている事に驚いた。
「泣くて…」


【NHK カーネーション第32回 感想・レビュー】

奈津の父親、どうなったんでしょうか?
生地合わせ→仮縫い→本縫い→完成で倒れてからだいぶ経っていると思うんですが…全く触れられてませんでしたね。
ま、糸子もだいぶ浮かれてましたしね…あれは問題でしょ。
友達の客からってお金取りにくいですもんね。善作も集金苦手だったけど、それと糸子のとった行動は別ですから、そりゃ善作も泣いてしまいますよ。
明日からどういう展開なるかは分かりませんが、糸子は善作が泣いているのを見て、自分が何をしでかしたかを理解した感じでしたね。
それと、駒ちゃんですが…別れ際、キリリっと「借りは返す」って言ってましたが、なんか物凄い返してくれそう(笑)