カーネーションあらすじ 『乙女の真心』 第34回(11月10日放送)

― 夏、糸子の勤める紳士服店『ロイヤル』の休憩中
「わしは言うちゃったんや!いつまでも岸和田で田舎モン相手に服作ってるわけない。そのうち心斎橋か東京にバーンと店出さあてよ!」店主は職人達を集めて熱く語っていた。
「さすが大将!」と職人達は店主をヨイシする。
「そもそもな、わしのお袋は東京生まれなんや」
「そうなんですか?」
「ああ、そ-なんだよ~」店主はわざとらしく“東京弁”を使った。
「せやから大将、ここまで洗練されているんですわ」

糸子は店の裏で手ぬぐいを濡らしていると川本が嬉しそうにやって来た。
「小原さん!小原さん!あんた、ごっつい客連れて来たな!」
川本に店の中に連れていかれると、店主の前に踊り子・サエが立っていた。
「ク…クビですか?」
糸子は先日のダンスホールでの騒ぎをサエが言いに来たと勘違いし、店主に尋ねた。
「え?なんでクビやねん」店主は糸子の反応に面食らった。
「けど…あの…あの…この人、知ってます!」
「そやそやろ。お前から聞いてうちの店わざわざ探して来てくれたらしいど」
「イブニングドレス、作ってほしいんや」サエが糸子に言った。
「いぶにんぐどれす?」糸子は聞き返した。

「うちの一番上等なお客さんがな『岸和田は後れてるよってな、未だにダンスホールの踊り子も着物にエプロンや。けど東京辺りやったらもうイブニングドレスや』て言うんや」
「そらイブニングドレスの方がずーっと見栄えがよろしいがな!」店主が大げさに言った。
「そうなん?うち見た事ないんや」サエは身を乗り出したので店主は続けた。
「なんちゅうかピャーとしたもんですわ。わあーとした。小原、お前作れるな?」
「はあ…イブニングドレス…」糸子は当惑する。
「ああ、こいつはこうみえてっもの心斎橋百貨店の制服作るだけの腕持ってんですわ。
婦人物やったら一通りの事はできるつもりです。イブニングドレスつくれるやろ?」
「…はい。…つくれます」
「ほな、頼むわ。さっきも言うたけど値段は少々高なってもええよってな」

糸子はロイヤルの別室でサエの採寸を測りながら尋ねた。
「勘助のことなんやけど…勘助ともう会うてへんな?」
「会うてないわ。あんな子、支配人のいいつけ破ってまで会わなあかん男ちゃうやん。
あんたは余計なこと考えんとええドレス作ってくれたらそれでええんや。
うちはとにかくそれ着てあのお客さん、ビックリさせちゃりたいんや!
岸和田にかてこんな冴えた踊り子がいてんのかて見返してやりたいんや!あの男!」
サエは目を吊り上げながら言ったので糸子は迫力に負けてしまい
「わかった…」と頷いた。

「ほな10円たしかに」店主はサエから10円を受け取った。
「前金やさかいな。もっとかかったらもっと払うし、とにかくええもん作って」
サエは糸子に向きなおり伝えると颯爽と店を出て行った。
「…あのう大将…ところでイブニングドレスってどんなものですか?」
糸子は大金を手にニンマリ頬が緩んでる店主に尋ねた。
「ああ?知らんのか!?」店主は顔色を変えた。
「知りません。見た事もありません…大将が知ってんのとちゃうんですか?」
「わしが知るか!ワシは紳士服の専門じゃ!自分でどないかせえよ!」

帰宅した糸子はイブニングドレスについて知るために安岡髪結い店を訪れた。
「八重子さん、イブニングドレスって知ってる?」八重子に糸子は尋ねた。
「確か夜の正装のドレスやろ?今度はイブニングドレス作るん?」
「そやねん、ダンスホールの踊り子さんのつくらなあかんねん」
「ダンスホール…こないだ新聞に載っていたと思うからちょとまってや」
八重子が新聞を取りに行くと糸子は玉枝から奈津の話を聞いた。
奈津の父は未だに入院中で結納を済ませた奈津の結婚は延期になったと玉枝は説明した。

「あったあった」八重子が新聞を持ってきて糸子に見せた。
新聞には『婦人の職業』という特集でダンスホールで踊る女性の写真が小さく載っていた。
「普通のドレスやな…やれん事ないな…え?『脚二本で月に三百円稼ぐというダンサー』?」糸子は写真の横に書かれた大きな見出しを見て驚いた。
「…せやからあの子、あんな羽振りよかったんじょ」糸子は納得した。
「そんなええの?」玉枝が尋ねた。
「ごっつで~。若いのに10円ボーン出して『これ前金やさかいええの作ってくれたらもっと払うし』ちゅうて」
「そんなあぶりのええ客、どないして知ったんよ?」
「え?いや…うん…なんでやろな(笑)」勘助のことは言えないので糸子は誤魔化した。

糸子は祖母が持っているイブニングドレスを見せてもらうために神戸に行く事に。
早朝、一階で飲んだまま寝てしまった父・善作を横目にしながら糸子は出発した。
うちが思うに間違いのうお父ちゃんにはガタがきてます。
奈津のおっちゃんも倒れしな、うちの父ちゃんも年取ったんと呉服屋がつぶれかけてんのと期待した娘が今ひとつパッとせえへんのとそらお酒も飲みたなるか知らんけどなあ…

松坂家に着くと祖母・貞子が風邪で寝込んでいると聞いて糸子は心配する。
貞子は咳をしながら糸子に元気そうに振舞うのだったが…
「綺麗やな〜ふーん。そやけどやっぱり難しそうやなあ…」
糸子はテーブルに広げた沢山のドレスを手に取って感心した。
「それも…舶来の生地で…ゴホゴホ、高かったんやで…ウフフフ」
体を起し咳き込みながら貞子は糸子にドレスの説明を嬉しそうにした。
『ただの風邪』と貞子は言っていたが、好きなお菓子もほとんど食べず、会話も少なかった祖母の事を糸子は気がかりだった。
小原呉服店への帰り道、糸子は街を行きかう人を見て思った。
あっこのおじいちゃんかてちょっと前はあっこまで年寄りちゃうかった。
あっこのお姉ちゃんはようみたらおばちゃんや…
うちらが大人になったぶんだけ大人も年取っていくんやな…


【NHK カーネーション第34回 感想・レビュー】

このドラマの凄い好きな所は登場人物が憎めないところだと思います。
団時朗さん演じるロイヤルの店主も最初は紅茶(?)を入れ直せって連呼するし意味がわからんなと思って見ていたんですが、今日なんか「そーなんだよー」と変な東京弁喋っているし(笑)。つーかヒゲつけると岡田真澄さんにソックリ。
今回の依頼人、サエちゃんは踊り子という職業で、先日のお客・駒子(芸妓さん)とはだいぶ雰囲気が違いますね。両名、プロの意識とか凄いですが…
今日のカーネーションのラスト、感慨深いものがありましたけど…当然、何かの前フリというか伏線なんでしょう。
あと糸子のサエちゃんのモノマネが上手くて笑いました(笑)