「糸子！糸子！」小原呉服店に帰ってきた糸子を母・千代は店頭で待っていた。
「どないしたんお母ちゃん？」糸子は興奮気味の千代に尋ねた。
「あんた、男の人が訪ねて来てんで！」
「…あ、山口さん？」糸子は以前に尋ねてきた桝谷パッチ店の店員の名前を出した。
「山口さんって誰やぁ～！？」千代の興奮は更にUPした。
糸子は桝谷パッチ店の店員で以前来たことがあると説明した。
「ちゃうちゃう、あの人ちゃう…あんたそういう人なんか？いやぁ～！」
「…残念やけどな万が一にもお母ちゃんが思てる人ちゃうで」
千代の興奮に糸子は引きつつ、店の中を覗いた。
「川本さん！」
「おう！」川本がにこやかに挨拶をした。
「どないしたんですか？」
「ま、顔を見に来ただけや！」
「えぇーーー！！？（恥）」千代が興奮のあまり窓に額をぶつけた。
「よう家わかりましたね？」糸子が川本に尋ねた。
「うん、そら岸和田商店街で小原呉服店っていうたら一軒しかないさかい」
「近くになんか用事でもあったんですか？
「そやから顔を見に来ただけや」」
「ひゃー！はっはっは」千代はまだ横で照れていた。
「…どないしたんお母ちゃん？」
2人は岸和田にできた喫茶店に行った。
「残念やけどな。あんたが思てる程オモロい話ちゃうで？
この人はな、うちが前に勤めていた所の兄弟子や」糸子は店員（勘助の親友）に話した。
糸子は“ぜんざい”、川本はコーヒーを注文した。
「せやけど何しに来たんですか？」糸子は再びお暗示質問をした。
「そやから顔を見に来たんや」川本は同じように笑顔で答えた。
「…なんで？」
「見に来たかったからや」
「ふーん。」
川本は糸子が辞めた後、婦人服専門の洋裁師を雇ったと話した。その洋裁師が糸子が受けた洋服の注文を受けていると説明した。
「そんな簡単にうちの代わりが見つかるなら、あんな怒られる筋合いなかったのにな」
「そやけどワシが見る限り、あいつあんた程の腕ないわ。きっちり仕事するさかい大将は気に入ってるけどな…お客らの顔が全然違う。やっぱしあんたが相手してるときの方がずーと嬉しそうやったし…楽しそうやったで」
「ふーん（嬉）」糸子は満足そうに笑った。
糸子と川本は喫茶店を出た。
「ゴチソウさんでした」糸子が川本に礼を言った。
「またちょくちょく顔みにくるよって」
そういい残すと川本は笑顔で帰っていった。
残った糸子は一人不思議そうな顔して呟いた「…なんで？」
「今度の店、ぎょうさん賃金出るな！セーラー服てほんな堅い商売なんかな？」
食事中の糸子にハルが言ったが糸子は気を失いかけていた。
「姉ちゃん！無理し過ぎや。体壊すで？」静子が糸子を起した。
「うるさいな～ほんなこというなら…あんたかてもうちょっと…ZZZ」
「手伝うたらどうやっていいたい？」
「うん…けどそれより眠い…もうちょっと寝るわ」糸子はそのまま横に倒れこんだ。
確かに無理が体にたたってきました。
せやけどここが踏ん張りどころなんや、小原洋裁店をひらくまで負ける訳にはいけへん！
店主に呼ばれて糸子が店に出ると生地を裁断してあげた客・長谷ヤス子が来ていた。
「せやあの人や。こないだおおきになあ！」ヤス子が糸子に礼を言った。
「こちらこそ…あれ？」糸子はヤス子が洋服を着ている事に気がついた。
「そやねん！見てーでけてん！」ヤス子は嬉しそうに回ってみせた。
ヤス子は完成した洋服を見て自分達も作りたいという近所の二人の主婦を紹介した。
早速糸子はヤス子が連れて来た二名の生地を選び裁断を始めた。
ヤス子達が終始大騒ぎだったため、奥の縫い子達も糸子の作業に注目した。
「何？」
「ようわからなんけど何や小原さん洋服の裁断やっちゃるみたいやで？」
店主や縫い子達が注目する中、糸子は2人の生地選びと裁断を終わらせた。
「おおきに！できたら着てくるわ！」ヤス子達は大満足で帰っていった。
「あんた、あんな腕もってちゃったんけ？」店主が糸子に尋ねた。
「…まあ一応洋裁師ですやさかい」
「まあ客もあんだけ喜んじゃったちゅう事はええおまけになったかもしれんけど…そやけど、あんなんで簡単に繁盛する思うなよ？商売ちゅうのはそない…」
縫い子達が喋っている店主を押しのけた。
「もう定時ですよって！ちょっとええ？小原さん！」縫い子達は糸子を取り囲んだ。
「小原さん！うちにもあれやって！洋服縫いたいんやし！」
「大将、生地代払うしええやろ？」
「…まあ…そら、ええけど」
その次の日から1日3回の休憩時間に縫い子達は一斉に糸子の所に集まって順番に生地を買って行く様になった。昼も夜も働いていて辛そうな糸子を縫い子達は気遣い、糸子の作業分を皆で分担するようになった。そのおかげで糸子は夜、ゆっくり寝られるようになりその分ますます店の方をがんばれる様になった。
「ご近所さん、連れて来てん！」
ヤス子と2名の主婦は新しく近所の人達を店に連れて来た。
おばちゃんちゅうんらは凄い人で、いっぺん気に入ったらどんどん横に広げてくれる
…と思っていたらどっこい横だけやのうて
「これなうちの娘や…この子もな洋服縫いたいよってな」
なんとおばちゃんは縦にも強い！
縦縦縦横横横横、繋がって繋がってあっちゅう間に店はお客さんでいっぱいになりました。
暇な時に糸子が相手にしていた猫（にゃー）と鳴いた。
【NHK カーネーション第40回 感想・レビュー】
気がつけば季節が冬なのでしょうか？
「寒い寒い」って糸子が登場してましたね～生地屋に勤めてどのくらい経ったのかな？
突然川本が訪ねて来るのは、いいとして、糸子の母・千代、オモロすぎです。
「いやぁ～！！」ガツン！って窓に頭ぶつけてるし（笑）
何をそんなにテンションあげてんのでしょうか？
この家族では次女の静子が一番まともに見えてしまいます（笑）
それにしても早くも二店舗目が繁盛してしまいました。
板尾店主も糸子にもう少し説教や嫌味を言いたかったのでは？
猫、可愛かったです。嬉しいのか寂しいのか・・・はたまた関係ないのかは知りませんが・・・とっても素敵な終わり方だと思いました。
