カーネーションあらすじ 『移りゆく日々』 第42回(11月19日放送)

昭和9年(1934年)年が明けて2月が経っていた―
結局、うちの生活は何も変わってません。
相変わらず店には毎日ごっついお客さんが押し寄せて来て
それにおわれてる間に一日が終わります。

糸子は昼をゆっくり食べる暇もないほど忙しく、お握りを急いで口に入れると客からの注文を取り始める。末松店主はそんな糸子の様子を満足そうに眺めていた。

― 小原呉服店では善作が年配のお弟子さんに謡の稽古をしていた
「…せやから稽古今日が最後っちゅうことで」稽古終わりに善作はお弟子さんに謝った。
「そらしゃあない気にしな…謡やめて何かやるんか?」
「いやもう…綺麗さっぱり千秋楽や」善作は笑顔を見せた。

― 木岡履物店では保男が隠れて家を出ようとすると妻・美代に見つかってしまう。
「あんた!また飲みに行くんちゃうやろな?ええ加減にしいや!毎晩毎晩!」
「今日だけはな今日だけは行かせてくれ!善ちゃんがな!」
「善ちゃんが何や!言うてみ!!」美代は保男に恐ろしい形相で迫った。
しばらくして木岡保男は隣の木之元電気店に上機嫌で現れた。
「毎度!鬼も頼めば人食わず!理由を話したら小遣いまでくれよった(笑)」
栄作と保男は店内の大きな荷物を見て「善ちゃんのためや」と互いに笑いあった。

― 料亭吉田屋。
吉田奈津が忙しそうに廊下を歩いていると
「今日も別嬪さんや!ホンマやで!」一室から男と女の声が聞こえてきた。
奈津がその一室の襖を開けると亭主・康夫と芸妓2人が楽しそうに話していた。
「アンタ!この忙しいのに何してんの!…あんたら竹の間でお客さん待ってんやで」
奈津は亭主と芸妓2人を叱り付け、玄関に客を出迎えに行く。
「おまたせしました。いらっしゃい…」奈津はやって来た客を見て目を丸くした。
「こんばんわ!」安岡泰蔵が奈津に挨拶をする。
「え!あっ!なに?うちになんか用?」奈津はしどろもどろになって泰蔵に尋ねた。
「いや今晩、小原さんにここに呼ばれてるよって」
「ああ!そうか!すんません!あがってください」奈津は泰蔵を善作達の部屋に案内した。

奈津が襖を閉めると部屋から善作が皆に挨拶する声が聞こえてきた。
「これでみんなそろたな!えぇー今日はみんなにご足労かけてホンマ申し訳ない!」
奈津は廊下に誰もいないことを確認すると襖を少し開け部屋を覗きはじめた。
「集まってもろたんは他でもない!これまでのお世話になった岸和田の商店街、五軒街の皆さんにお礼と一つ頼みたい事があっての事です!」
「その前に善ちゃん、それ何よ?」奥中が善作の隣にある大きい風呂敷について尋ねた。
「それを今からしゃべんのやないかい!
エヘン!この小原善作!岸和田商店街で呉服店を開いて22年、皆さんのお力添えが…」
「若女将!若女将!梅乃間にお客さんがお借りです」
後ろから仲居が伝えてきたので奈津は仕方なく客の見送りのため玄関に向かった。

「おおきにまたよろしゅう」
「アンタようやってんな!おやっさん死んでもうてなあ!ワシにできることあったら何でも言うてくれ!」客は奈津に伝えると酔いすぎなのか足を縺れさせて転んでしまう。
「酔っ払いが!!何もせんでええからはよ帰ってくれ!」
奈津は愚痴をこぼしながら善作達の部屋の前に行き、再び部屋を覗いた。
しかし部屋は盛り上がっていて善作の挨拶は既に終わった後だった。
「…終わってしもうてる…なんやったんやろ話…」

― 小原呉服店の朝、糸子や静子達が出かける様子を善作は布団の中から聞いていた。
「朝や…今日やろ?せやけどなあんた…」ハルが横になっている善作に話しかけた。
「言うな…ワシが決めた事や…好きな様にさしてくれ」善作はゆっくりと体を起した。

バリバリと小原呉服店に張ってあった張り紙を善作は剥がし始めた。
全ての張り紙を剥がし終わると屋根にある“小原呉服店”の看板を愛おしそうにじーっと見ていた。千代は店の中から涙目で善作の様子を見ていた。

― 夕方になり糸子が仕事から帰ってきた。
「おっちゃん!ただいま!」隣の木岡保男に糸子は挨拶した。
「お!…おう…」保男はよそよそしく返事をすると逃げるように店の中に消えた。
糸子は不思議に思ったが、小原呉服店の様子に驚いて保男の事など吹き飛んでしまう。
小原呉服店に張られていた張り紙はなく、看板も外されていた。
「え?…看板どこ行ってん…」
玄関に入ると入り口に大きな板状の荷物が布を被って置いてあった。
「ん?何これ?」
糸子は荷物も気になったが家の中が静まり返っている事に不安を感じた。
「おばあちゃん?おかあちゃん?…皆どこいってんねな」
台所を覗くと祖母・ハルが料理をしていたので糸子は大声で呼んだ。
「おばあちゃん!」
「なんや!帰っちゃったんか!ああびっくりした」
「何べんも呼んだわ!」
「そうか?油の音で聞こえなんだ」
「もう!…どないしたん!?皆どこいったん!?なんで家の中空っぽなん!?」
「まあ落ち着き…」
「…なにがあったん?」糸子は今度はゆっくり尋ねた。
「あんな。今日からウチとあんたの2人っきりや!」
「…え?」
パチパチと油の音だけが響いていた。


【NHK カーネーション第42回 感想・レビュー】

めでたく末松商店は繁盛しました。
板尾店主の表情がどうも深すぎで…店が繁盛してもなんか余裕なんですよね。
前もって予想していたかのような感じで(笑)
前々回、本屋から帰ってきた所でさり気なく金庫をチェックしてましたけど、実は本屋に行ったのは糸子のテストだったかもって思ってます。
着実に板尾店主は糸子の腕とか人間性とかやる気とか評価していたから『いつか繁盛させてくれるんちゃうか?』みたいなことで…だから賃金も高い?…私の妄想ですが。

それはそうと、いきなりの展開でした。
なんか荷物がでてきた時は『ひょっとして?』と中身を推察して流石善作!やるときはやる!と思っていたのですが…まさかの家族全員雲隠れ(笑)
どこに行ったんでしょうかね…
あ、そうそう奈津の旦那が登場してましたね。なにやら浮気性っぽい男のようでしたが…