カーネーションあらすじ 『果報者』 第44回(11月22日放送)

「いただきます!」糸子は注文した“ぜんざい”を美味しそうに口に頬張った。

「実はな、お前がこの前まで働いていたロイヤルゆう店あるやろ?」
糸子の叔父・松坂正一は、岸和田に仕事でやってきたときに、たまたま見つけた紳士服店“ロイヤル”に市場調査で入ったことを話し始め、その時に川本と出合ったと話した。

「色々話しているうちに婦人服の話になった。『実はうちにごっつええ職人が一人こないだまで働いてたっていいよる』と。へぇ〜岸和田にそんな腕のええのんがって
…よう聞いたら、なんやお前の事やないかハハハ!」正一は豪快に笑った。

「…そういうことか。そんで2人揃って来てくれたん?
そやけど堪忍。うちロイヤルに戻られへんわ。
やっと小原洋裁店の看板あげたとこやし、他の店の職人やるきはないねん」
糸子は申し訳なさそうに断わった。
「いやいやいや違うそんな話と違う」正一と川本は笑った。
「ほな何の話?」
「いや、何の話って…まあ…その…」正一は言葉に詰まった。
「あんたの顔をな見に来たんやし。…あんな小原さん!わしは…わしは小原さんと…!」
川本が急に体を乗り出した。
「まだあかん!せいたたらあかん!ものには順序があるやろ?
今日は様子見ということやったろ?」正一が小声で興奮する川本を制した。
「…すんません」川本はゆっくりと姿勢をただした。

― 「命短し~恋せよ乙女~♪」
小原洋裁店で仕事をしていると勘助と平吉が歌いながらやってきた。
「聞いたで糸やん?結婚申し込まれちゃったらしいの?」勘助が嬉しそうに言った。
「はあ?何、訳分からん言うてんよ?」糸子は作業中の手を止めた。
「お前な、少しは察しちゃれよ?あいつ小原にべた惚れやないか!」平助が言った。
「アホ!そういうのゲスの勘ぐりちゅうんや」糸子は勘助からちまきを奪いながら言った。
「アホはどっちじゃ!今日きてたお前のおっちゃんいてるやろ?
こないだうちの店でお前の親父とも会うちゃったんじゃ!」平吉は勝ち誇った表情をした。

平吉の話によると一週間程まえのこと…
糸子の父・善作は平吉の働く店にやってきて正一に愛想よく挨拶した。
「どや新しい仕事?」正一が善作に尋ねた。
「おかげさんでどうにかこうにかやらせてもらってます(笑)」
小原の親父、エラいぺこぺこしてんな〜相手どこのエラいさんや!(平吉)
「とにかく、ええ青年で家柄も申し分ない!それよりも何よりも糸子ゆう娘を理解しとう!」正一は善作に糸子にとって素晴らしい話だと川本との縁談をすすめた。
「前向きに考えてやってもらえんやろか、頼む!」
正一が頭を下げると善作は20回くらい頭をさげ、支払いでもどっちが支払いをするかで譲り合いでもめていたと平吉は説明した。

なんやそら。うちの知らんとこで何でそんな勝手に話が進んでんよ。
うちはまだ結婚なんかさらさらする気ないのに。
「おかわり!」糸子はブスッとしんがら茶碗を祖母・ハルに出した。
「もうあらへん。あんたも帳簿毎日見てるやろ?
ちょっともお金入らへんのにご飯だけ食べ放題ちゅうわけにはいかん!」

翌日、糸子は売上を上げるために安岡髪結い店にチラシを置かせてもらうために訪ねる。
玉枝と八重子が糸子の結婚話に盛り上がっている事に疲れる糸子だったが、店に置いていたチラシが減ってないことも糸子を脱力させた。
なんで他の店あんだけ繁盛させられたのに自分の店になったら途端にあかんねん
『稼がな!』って欲かくやろか?…そやけどか稼がんわけにはいかへんしな~
そうか!そらようみたらまだまだや。…こんな中途半端な店構えで客は来えへんわ。
糸子は小原洋裁店の概観をみながら心斎橋の洋裁屋を想像した。

そもそも何やねんこれ…いるか?いらんわな?
「切っちゃろ!」糸子は店の格子窓をのこぎりで切り始めた。
「とうとう店壊すんけ?もう潰れたんか?お気の毒」
吉田奈津が芸妓・駒子と店にやってきた
「…何や珍しいな。一緒に来たんけ?」糸子は作業を止めて尋ねた。
「うちが今日糸ちゃんのとこ行くいうたら若女将あうちも行くて」駒子が言った。
「別に服作りに来たんとちゃうさかい…勘違いしなや」
奈津の言い方にカチンときた糸子はのこぎり振り上げた。

「なんや呉服のまんまやんか…洋裁屋やったら店かてもっとしゃれてらな」
小原洋裁店の中に入った奈津は店内を見渡すと言った。
「わかってるわ!」糸子はつい今しがた思った事を指摘され頭にくる。
「…あんた、…結婚すんけ?」奈津は糸子に質問した。
「は?せえへんわ!」
「ウソや。勘助が言うたったで勘助が。平吉の店にあんたの親戚と男が来て…」
「せえへんちゅうたろやろ!勘助のしゃべりがぁ…クチ、のりで貼り合わせちゃろか」
「どっちゃでもええけどあんた…祝言だけはウチで挙げや。他の料理屋で挙げたら承知せえへんで!ほんなことしたら末代まで恨んじゃるよってな!そんだけや。ほなな」
そういい残すと奈津は店を出て行ってしまう。
「…なあ、ずっと気になってんやけど…糸ちゃんと若女将は仲ええんけ?悪いんけ?」
駒子が糸子に尋ねるが糸子は『さあ?』と首を捻る。

― 小原洋裁店にあった格子窓は、大きなガラスが入りショウウィンドウとなり洋服が飾られるようになった。川本に開店祝いで貰った赤いカーネーションも飾られていた。
それにしても松坂のおっちゃんと川本さん…おとうちゃんと松坂のおっちゃん。
奈津と駒ちゃん…この頃、珍しい2人づれが多いなぁ
人っちゅうんはうちの知らんとこで、案外つながってるもんなんやな。



【NHK カーネーション第44回 感想・レビュー】

なんと正一が川本を糸子の結婚相手にするべく動いていたとは…予想外。
しかも家柄も申し分ないって…笑福亭鶴瓶の息子ってのが頭をよぎってしまいましたよ。
イキナリな展開ですね。キヨサブ祖父ちゃんと善作も仲良く話しているシーンが映るし。
そもそもなんで正一は糸子の結婚話をあんなに進めたがっているんでしょうか?
家柄的なお話?それとも純粋に川本に惚れてる?

奈津が最後に店にやってきて、『ウチで祝言挙げなさい』みたいな事を言っていたんですが…あれって奈津なりに祝福したいって気持ちですよね?
なんだか善作と似てる(笑)