カーネーションあらすじ 『いつも想う』 第53回(12月02日放送)

勝の代わりに実家を継いだ勝の弟・川本亘(わたる)は、糸子と勝の頼みを快諾する。
「困ったときはお互い様や。ウチもちっこい坊主が2人いてるさかい、かいらし赤ん坊がいっちゃったら喜びよるやろ」
「すんません、暮れの忙しいときに」糸子は頭を下げた。
糸子は勝よりずっと跡取りに相応しい亘をみて、勝が婿養子に来たがった理由を理解した。

糸子は寝ていた直子の顔を見て、置いて行く事を不憫に思った。
勝も顔覗き込み寝ている直子に別れを告げ2人は亘の家を出る。
「ほなよろしゅうお願いします」糸子は亘夫婦に頭を下げた。
「気ぃついけて」夫婦に見送られ糸子達が数歩歩き出すと直子の泣き声が聞こえた。
「起きた」糸子は慌てて亘の家に戻ろうとするが亘の妻に止められる。
「お母ちゃんらの顔見たら余計離れられん様になるんとちゃうか」
「そや合わん方がええ」勝も亘の妻に同意した。

岸和田に帰っても耳の奥に直子の泣き声が残っていた。
「はあ…」糸子はため息をついた。
「ただいま~優ちゃんのお帰りやで~」店の入り口に善作と娘・優子が帰ってきた。
「おかえり」糸子とハルが出迎える。
「ほれ優ちゃん今日は何見に行ったんやったかいな?」善作が嬉しそうに優子に言った。
「歌舞伎!」優子は明るく答えた。
「そやなあ~そんで優ちゃんは誰が気に入ったんやかいな?」
「春太郎!」優子は再び元気に答えた。
「…何やて?ちょっと見せてみ!」糸子はプログラムの裏の春田朗の写真に気づいた。
「ええ芝居やったで。脂の乗り切った役者ちゅうのはこういうことをいうんやろな」
善作が満足そうに感想を述べたが糸子は苦々しく善作を注意した。
「子供に何見せてんよ?春太郎なんか見せんといて」

夕食時-歌舞伎の真似をする優子を縫い子達は大絶賛していた。
会話は中村春太郎がタラシかどうかに発展し、大盛り上がりになっていた。
しかし、糸子は一人浮かない顔で御飯を食べるのだった。

翌日も糸子は縫い子・昌子の話を聞いている間もぼーっとしていた。
「先生!聞いてました?今のうちの話」昌子が尋ねた。
「…きいてなかった」
糸子は直子の事が心配になり仕事が手につかない状態だったが勝も同じだった。

そして、とうとう三日目の夜-
「どこ行くん?」糸子は出かけ支度をしている勝に尋ねた。
「…直子の顔みてくる…パッと顔をみてくるだけや。今夜中に帰る」
「…ウチも行く!」糸子は立ち上がった。

吹雪の中、2人は暗い森を抜け、ようやく亘の家にたどり着く。
「おーい!おーい!」勝は戸を叩いて亘を呼んだ。
糸子は玄関脇に置いてある壊れたガラクタが目に入った。
「…ひょっとして、これ直子が?」
玄関の灯りがつき、弟の亘が現れた。
「兄ちゃん?…どないしたん?」
勝と糸子は亘の顔にアザがあることに気がついた。
「ちょっと直子の顔を見に来たんや」勝が笑顔で言った。
「今、ちょうど寝付いたとこや…ようやっと直ちゃんも慣れてきたとこや。
万が一にも目覚まして親の顔なんか見てしもたら元の木阿弥でまた手つけられへんようになら…すまんけど今日はこのまま帰ってくれ」亘は申し訳なさそうに言った。

糸子と勝は仕方なく、吹雪の中、元来た道を戻った。
森の中を歩いていると勝の泣き声が聞こえて糸子は驚いた。
この万年上機嫌の人が泣いてます。
人の親になるっちゅうことはどっか哀れな事なんやな。


翌朝、糸子と勝は縫い子達と朝食を食べていた。
「で、結局、昨日は何時に帰って来たん?」静子が糸子に尋ねた。
「昨日ちゃう、今朝の4時や…」糸子はだるそうに答えた。
「何で大将だけここ霜焼けになってんやろ?先生どうもなってへんのに…」
昌子が亘の顔が真っ赤になっている事を指摘した。
「ふん?なんでやろな?(笑)」勝は笑って誤魔化した。
あんた、ダラダラ涙流しとったからや。

― 12月17日、生地問屋の河瀬が上機嫌で小原洋装店に生地を運び入れいていた。
「正真正銘こんで売れ切りや!おおきにな!恩に着るで!
まさか売り切るとは思わんかったけどな!これでなんとか年越せら(笑)」
「大将、またすぐそこにお客さん来るさかい生地置いたらさっさと帰ってや」
糸子は河瀬を注意したが河瀬は気にも留めずに笑顔で店を後にする。
「ははは!さすが繁盛してる店は言う事がちゃうの(笑)」

糸子が夜もほとんど寝ずに残りの仕事を終わらせた12月31日-
勝と糸子は直子を預けた亘の家へ向かった。
家に着く途中で女中が直子をあやしているところに遭遇する。
「直ちゃん…直ちゃん!直子!」糸子は直子を女中から受け取ると幸せそうに抱きしめた。
「わしも!…わしも代わってくれ」勝も直子を抱っこしたいと糸子に伝えたが
「嫌や」糸子はあっさり断わり、直子の感触を感じていた。

正月、初詣に神社にやってきた糸子、勝、優子、直子。
「またおった」勝は糸子が作った服を着た人をみて嬉しそうに糸子に教えた。
「よっしゃ!こんで8人目!」
その後、せっかくめかしこんだということで糸子達は小原洋装店の前で家族写真をともらうことになった。


【NHK カーネーション第53回 感想・レビュー】

生地問屋・河瀬の大将の侍女が初めて笑顔で登場してましたね。
2度、直子を預かっても1日もたなかった河瀬、調子よすぎ(笑)
今日も猛獣直子を中心に話が展開しますが、勝が子煩悩だったことが新鮮でした。
しかも弟できすぎ(笑)
アザだらけの顔をしていても何も言わない、兄夫婦が吹雪の中、顔を見にきても追い返す…できた弟です。大晦日まで預かる覚悟をしていた弟の覚悟なんでしょうね。
そういえば勝は良い家柄とか正一叔父さんが言っていたのを思い出しました。