カーネーションあらすじ 『秘密』 第59回(12月09日放送)

「菊乃!」善作と糸子は同じ名前を同時に口にした。
「お父ちゃん、知っとんけ?」店名まで知っていた善作に糸子は尋ねる。
「いやいや知らん!知らんがな(笑)」善作は逃げる様に部屋から出て行った

糸子は女性と写る写真の勝を見ながら歌舞伎座での“かけ声”や買い物に付き合う姿を思い返していた。
それまで見た事の無い色んな顔を知った糸子は平たく言えば惚れ直したのだったが…
>けど…よう考えたらそれはウチが知らん間に遊び慣れしちゃったってこっちゃ

糸子は歌舞伎を見に行った日を悪い方に妄想して一人ぐったりしていた。
「先生?気分でも悪いんですか?」
机に前のめりで寝ていた糸子を昌子が心配した。
「あれ?紅は?もうさすんやめたんですか?」
顔を上げた糸子の唇を見て昌子は尋ねた。

糸子は昌子の質問に答えず、だるそうに昌子に質問する。
「歌舞伎見に行った日あったろ?あの晩、大将、包み何個もっていたか覚えてるか?」
「覚えてませんて」
「なんやそんな気ぃしてきたんやきゅうに…」
そして糸子は歌舞伎に行った日の事をさらに悪い想像を膨らませていくのだった。

糸子は二階に行き、勝の背広から出てきた写真をまじまじとみた。
>ホンマにに別嬪やな…こんな別嬪が好きでなんでうちと結婚したんやろ?
『こいつの仕事っぷり惚れ惚れするなすんのう思っちゃったんやし』
糸子は初めて同じ部屋で寝た晩の勝が言った台詞を思い出して写真を床に叩き付けた。
>要するにや…うちは女として好かれちゃったわけちゃうんや!
>ただの稼ぎ手として見込まれちゃっただけや
>ほっといても嫁はせっせと稼ぎよる!自分は何ぼでも外で別嬪と遊べる
>ほんで、うちをだいじにしてくれちゃった。そんだけや!
買ってもらったストールを箱に投げ入れ押し入れに押し込んだ。

糸子が一階の店に戻ると昌子が怒っていた。
「先生!どこ行っちゃったんですか!この忙しいときに…」
「分かってる!どうせうちは仕事しか能ないよって!今日から飛ばすでぇ~!」

糸子がミシン台に座り作業を始めると善作と木之元栄作が見せに現れた。
「おい!糸子!勝君、まだ大阪にいてるらしいぞ!」
「知り合いにその辺の情報通がいててな、何でもそいつに聞いたら教えてくれんやし」
「勝君、年明けまでは内地にいてんやて(笑)」善作と栄作は笑顔で糸子に伝えたが
「へぇ~」糸子は興味なさそうに返事をするだけだった。
「明日面会に行っちゃやろやないか!正月の餅差し入れできたらなあ(笑)」
「いやあ~それは無理ちゃうか、さすがにな(笑)」
「うちは行けへんで!!」糸子が大きな声を出した。
「…なんでや?」善作が目をぱちくりさせる。

「なんでて。何でて…お父ちゃんこそなんでや!?ウチの親父なら『あの婿なにしとんや!』てもっと腹立てもええんちゃうんか!?」
「…ああ、あんなもん…たいした事やないわ。そこにいてんやったらな小言の一言でも言うちゃろかちゅう気にもなるけどな(笑)相手は出征してしもてんやで、これから大事な…」

「関係ないわ!そんなもん!」糸子は再び大きな声を張り上げた。
「わめくな!男の浮気にひとつやふたつで!」善作も大きな声を出す。
「浮気!?やっぱり浮気しちゃったんですか大将!?」奥から昌子が慌ててやってきた。
善作は目をぱちくりさせ誤魔化そうとした。

「まあまあ糸ちゃん、男の浮気のひとつやふたつ…」栄作が絶句してしまった善作を庇おうとするが糸子が鬼の形相で栄作を睨んだので栄作も言葉を途中で止めた。
>男っちゅうもんがわかった!ようわかった!
糸子は店を飛び出すと川原で思いきり石を川に投げ入れた。
そしてそのまま奈津の家に押しかけた。

「なんや…またうちに余計な事、言いに来たんけ?」
糸子の待つ部屋にきた奈津は糸子を見てため息をついた。
「旦那が芸妓と逃げたくらいうちは蚊にさされた程も気にしてへんねん」
「逃げた!?旦那が!?ホンマけ!?…知らんかった」糸子は目を大きくした。
「…ほな何しに来たんよ?用ないんやったら帰りよこっちは忙しいのに」

菊乃という女性を知っていた奈津に糸子は勝が浮気をしていた事を報告した。
「男らがな『口揃えて男の浮気の一つや二つどうちゅうことない』って言いよったんや。
急にがっしり円でも組むみたいに旦那をかばいよんのが腹立ったんや!
あいつら誰かの浮気をどうっちゅう事ない事にしといたら自分の浮気もどうっちゅう事ない事になる思てんや。その根性が気に食わんねん!みんなでホンマの事をどないかねじ曲げたろかちゅうな。うちら、女らは絶対そんなことせえへんやんか!?」
糸子は奈津に自分の気持ちを訴えたが
「知らんわ、ほんなこと。あんたの旦那の浮気やろ?自分で考えりよ」と奈津は言った。

「ほんで、あんたの旦那はなんちゅうてんよ?」
「それが出征してしもてな…」
「ハッ!尚更もうどうでもええ話やんか!しゃっきとしいや!」
奈津は糸子を部屋から追い出した。
>これや!これでええ。うちと奈津、女同士はこれでええんや。

吉田屋からの帰り道、糸子は勘助の兄・泰蔵が向こうからやってくるのが見えた。
糸子は泰蔵と目が合ったので軽く会釈をすると泰蔵も軽く会釈した。

糸子は、顔を上げると雪が降ってきたことに気がついた。


【NHK カーネーション第59回 感想・レビュー】

勝さん、浮気していたという疑惑はますます深まりました。
途中途中で糸子が悪い方向に想像を膨らませていくシーンがありますが、あれが真実であれば勝、相当な悪い男です。というか善作が何で知っていたかという疑問もあります。
つるんで悪さしていたんでしょうかね。
浮気というキーワードが出てきて、悪い妄想に苦しむもドロドロしないところが良かったです。「要するぅにぃ~」って糸子のナレーションも笑えましたし、勝どうこうではなく、糸子が男のズルイ考え方みたいな物に腹を立てるという所が糸子らしい。
そして、同じ境遇の奈津に「旦那がいないなら、どうでもいい話」と切り捨てられるのが心地よかったです。
奈津の「しゃっきとしぃや!」は、「頑張れ」って意味がこもってるような感じがしました。そんな、糸子が終始怒っている回でしたが最後の雪のシーンがなんだか切ない終わり方でこれまた良くありませんでした?