カーネーションあらすじ 『切なる願い』 第61回(12月12日放送)

「どないしたん!?」糸子が一階に下りると善作の服に火がついていた。

千代とハルが叫ぶ中、善作は必死に衣服についた火を振り払ろうしているが火の勢いは増すばかりだった。
糸子は台所に向かい水を桶に汲むと善作に浴びせ、そして布団をかぶせ火を消した。
隣に住む木岡保男が慌てて駆けつけてきた。
「おっちゃん!リアカー貸して!お父ちゃん病院に運ぶ!」
そして意識がない善作をリアカーに乗せて糸子、保男、栄作で病院に運ぶのだった。

糸子達は善作の治療が終わるのを病室の外で待っていた。
「糸ちゃん、あんた着替え!」栄作の妻・美代が風呂敷を糸子に差し出した。
「え?」
「この寒いのに体ビショビショで。風邪でもひいてお腹の子に触ったらどないすんねん!」
「ホンマや…ビシャビシャや…体震える思た」糸子は力なく笑った。

治療を終えた医者が糸子達に善作の容態を説明し始めた。
「すぐに命がどうこうちゅうことはない。
せやけど、やけど自体はヒドい…ひと月は絶対安静や」
「…ちゃんと治りますか?」糸子が質問した。
「今はまだなんとも言われへん。とにかく安静と養生や」
「しっかり看病しますよって!どうか治しちゃって下さい!お願いします!」
栄作と保男も糸子と一緒に頭を下げた。

「あともう一個いいですか?…妊婦が火事見たらお腹の子にアザができるちゅうんはホンマですか?火事だけやのうて火消しまでしてしもうたんです」糸子が不安そうに質問する。
「迷信や、医学的にはありえんこっちゃ」
「せやけど先生!昔からようそない言います!」美代が言った。
「迷信や余計な心配さしちゃったらあかん、あんたはその体でようお父ちゃん助けた。しょうもない事を気にせんと元気な子を産み」
医者にそういわれるも糸子の不安は消えないでいた。

明け方、糸子達は治療を終え体中を包帯で巻いた善作を連れて帰り布団に寝かせた。
その姿をみて千代は泣いてた。

朝になると糸子はテキパキと家の修理に奔走する。
割れたガラス戸を修理してもらっていると糸子は陣痛がきてしまう。

糸子は(ボヤ騒ぎで)眠れなかったハルを寝かせようと静子に布団を敷くように指示した。
「静!おばあちゃんの布団、お父ちゃん隣にしくんやで?」
「お父ちゃんの隣?」
「こっちの部屋、うちが今からお産で使うさかいな」
「は?お産?今から?」静子は驚くあまり聞き返してしまう。

産婆が来たころには戸に新しいガラスがはまって畳も新しくなっていた。

「あれ?誰かお客さんか?」
糸子の部屋にお茶を運ぶ昌子に千代が声をかけた。
「はあ、産婆さんですわ」
「産婆さん?」
千代は一階で陣痛の痛みでうずくまっている糸子を発見する。
「あんた!そんな。はよ、布団に寝な!歩けるか!?」
「かめへん…お母ちゃんは今、お父ちゃんの事だけ見ておいて…」
糸子は痛みに耐えながら千代に伝える。
「いや、そやけど…」
「ええから、そないして!!!!」
そして糸子は痛みをこらえながら階段を昇った。
なんでもかんでも自分の力でやってきたとおもっていた糸子だったが
>お父ちゃん、勝さん、おばあちゃん。うちなあ…
「心細いわ…」糸子は痛みに耐えながら呟いた

深夜-二階の出産の様子を善作は一階の布団の中で聞いていた。
うぶ声が聞こえたので善作は隣で寝ていた千代を起こす。
「いや!産まれたあ!」
目を覚ました千代は二階から聞こえる赤ん坊の声に興奮しそのまま二階へ。
「い…うう…ああ…」置いていかれた善作は悲しそうに唸ることしかできなかった。

生まれてきた赤ん坊を見て静子達が嬉しそうに会話していた。
天井をみながら呆然としていた糸子は産婆に告白する。
「先生…正直に言うて下さい…ウチ、火事みてしもたんです」
「アハハハ!後で起きて自分で見てみ」産婆は笑う。
ゆっくりと隣で寝ている赤ん坊の顔を見るとアザ等はなく可愛い顔だった。

「お父ちゃん、かいらしい女の子やで」
静子が一階で寝ている善作の部屋に赤ん坊を抱いてやってきた。
「また女の子やと思てるやろ?」糸子が善作に問いかけた。
善作は小さくうなづいた。
「思てんの!?(笑)」糸子達は善作の返答に笑った。
静子はよく見えるよう赤ん坊を善作に近づけると隣で寝ていたハルも起きた。
「産まれたん?・・・見せて!ちょっよ見せて!よう生まれてきたなあ」
ハルは静子に抱かれた赤ん坊を見ると喜んだ。
その様子を見ていた糸子は善作が自分を見ていることに気がつく。
そして糸子は赤ん坊の誕生を泣いて喜ぶ家族を見て思った。
>こんな夜に産まれて来た。
>ほんだけであんた一生分の手柄やでちゅう気がしました。


【NHK カーネーション第61回 感想・レビュー】

今までも善作を演じる小林薫さんの演技は素晴らしいんですが今日は特に物凄かった…
セリフは「熱っ!熱っ!」くらいしかないし、大火傷だから顔とか動かない…けど僅かな表情だけど上手い事伝わってくるから不思議です。
最後の赤ん坊を見る善作と糸子が『目で会話』みたいになっているんですが、喋らなくてもなんだか伝わってくるんですよね~『でかした!』とか『ようやった!』とかが(笑)
あとお祖母ちゃん、今まで無かったけど相当落ち込むことに…けど子供が産まれて最後元気になっていてよかったです。