カーネーションあらすじ 『切なる願い』 第66回(12月17日放送)

昭和18年4月-長女・優子が嬉しそうに善作のいる部屋の襖を開けた。
「今日から学校け?どれ!もっとおじいちゃんに見してえなあ
ほう~この頃の小学生はそんな学校へ行くんけ?」善作は感心して優子の服を見た。
「そうや、お母さんがこさえてくれてんで」
「せやけど、何かブカブカやな…」
「お母ちゃんがこんでええって言うたんすぐ大きなるさかいって」

― 朝食を食べ終えた善作は優子を膝に抱えて糸子を叱った。
「大きなったらまたこさえちゃったらエエやないか!」
善作の話をうるさそうに聞いていた糸子は、今度は優子の髪形について尋ねてみた。
「毎朝、おさげをするのが面倒だから優子の髪、オカッパにしてええ?」
「あかん!勝手に切ってみ…承知せんど!…なあ優子ちゃん」

食器を片付けながら糸子は愚痴をこぼした。
「ちょっと元気になったからって朝からガミガミガミガミ…
ほんまヨレヨレ寝とってくれるぐらい大人しいて丁度良かったわ!」

「温泉?」善作は遊びに来た履物屋・木岡保男に聞き返した。
保男は弟が絶賛した石川県にある温泉の話をした。
「そらええがな。行こや!」話を聞いた善作は上機嫌に言った。
「いや、ほやけど石川県やどちょっと遠いで…まだそんな体無理きかんやろ?」
「家でじーっとしたら気がめいって具合悪い!温泉が疥癬に効くんなら一石二鳥や!」
周りの人間も誘って行こうと盛り上がる2人を千代は横で心配そうに見ていた。

「温泉!?あかんあかん!まだ治った訳ちゃうのに。ここでそんな無茶したら前と同じ事なるんやで?」千代から話を聞くと糸子は、早速善作に注意を促しに部屋に向かう。
「お父ちゃん、あかんで温泉なんか…」
地図やガイドブックなどを広げ幸せそうに善作は寝ていた。

― 糸子は木岡履物店から戻ると店で善作が仕事をしていたので驚いた。
「お父ちゃん!何してんの!?」
「衣料切符の張り付けや」
「ええて。そんなんせんでも…寝ときて!」
「かめへん。これが俺の仕事や」善作は作業を続けた。
善作は元通りにまでは行かないまでも、だいぶ顔も手つきもしっかりしてきていた。

>すっかりその気になってるもんを無理ヤリ止めさしてもええ事かもなあ…
「しゃあない」糸子は善作が旅行に着ていく国民服を新たに縫う事にした。
>まあせめてものお守りの代わりや

―旅行当日の朝、保男や栄作達が善作を迎えに小原洋装店にやって来た。
「おはようさん!」善作は既に準備が出来ていてご機嫌で栄作達に挨拶をする。
「え?これ新品け?」栄作が善作の着ていた国民服を見て驚いた。
「糸子が縫いよってん」得意そうな顔をする善作。
「お父ちゃんの旅行の為にけ?孝行な事すんのう!」
「これ純毛らしいで」善作はニヤッと笑みを見せる。
「え?純毛!?今時純毛なんかないでなあ!」
「持つべきもんは洋裁やの娘やのう!」保男も感心した。

台所で水筒の準備をしてる糸子の元へ善作が現れる。
「何や…ご…ごっついええなあ、ぬくいし…まだちゃんと言うてなかったさかい…」
善作は照れながら言いづらそうにしていた。
「何?」
「せやから礼や。服の…」
「ああ…お父ちゃんに礼なんか言われたらこそばゆい!(笑)」
糸子は今しがた入れ終えた水筒を善作に渡した。
「お茶ちゃう…お水や。お父ちゃんの大好きなお米で出来たお水」
「お前!こんなもん持っとんたんけ!?」善作は味見をして驚いた。
「取っといたんや」糸子は得意顔をした。
「おおきに。おおきにやで糸子!…おーい!ごっつええ選別もろたで!」
善作が水筒を見せに栄作達のところへ嬉しそうに行ってしまう。
「言えるやんか『おおきに』て…酒には素直に『おおきに』言いよった。
やっぱしうちが作った服より酒のが嬉しいんやろか…」台所に一人残った糸子は呟いた。

― 善作達が旅行に行った後、糸子は店の帳簿(?)に書いてある字に気がついた。
『オハラ洋裁店店主小原糸子』
ハルから善作の字であることを聞いた糸子はその夜、自室で書いてある文字を見つめる。
「お父ちゃん、いつの間に…こんなん書いたんや」
糸子はその文字を見ると初めて認めてもらったような気がするのだった。
その時、戸を叩く音がする。

「小原さん、電報です」
糸子は受け取った電報をゆっくり開くと…
『ゼンサクキトクスグコイ ヤマギワオンセン』と書かれていた。
電報の内容に糸子は驚くが慌てないように自問自答する。
>落ち着け…まずどうする?
>「すぐこい」ちゅうから朝一番の電車で…せや旅館の住所聞いておこ。


糸子は店を出て隣の木岡履物店へ向かおうとした。すると木岡美代がフラフラと一人ぼんやりした表情で歩いていた。
「おばちゃん?」糸子の声で美代は我に帰った。
「小原さん、温泉行っちゃってるのになんでや?うち今しゃべっちゃった…」
美代がかなり動揺していたので糸子は勘が働く。
「…なんて?お父ちゃん…何て言うたん?」
「『糸子をよろしゅう頼む』て…」美代が恐る恐る伝えた。

「待って…お父ちゃん!行かんといてお父ちゃん!」
糸子には道の向こうに透き通った善作がが見えた。善作の幻は糸子を見て笑っている。
「待って…待って…行かんといて…お父ちゃん!!」
糸子は泣きながら善作の幻が見える方向へ走り出すが幻は消えてしまう。

「お父ちゃん!待ってぇー!!」
昭和18年4月27日、小原善作 享年59歳


【NHK カーネーション第66回 感想・レビュー】

裏の裏みたいな展開です。
助かると思ってましたが突然の善作亡霊登場と享年表示…絶句とはこの事です。
せっかく天気がいい土曜日なのになんだか晴れない気分に(笑)
はぁ~なんだか切なすぎ。
…にしても、幻はやりすぎじゃないのかな?
ジェダイの騎士やないんやから…もうね、フォースと一体化しちゃったかと思いましたよ。(スターウォーズ知らない人はゴメンなさい)
サブタイトルの『切なる願い』って、八重子さんの事をさしてると思っていたんですが違いましたね。いやいや、本当にまさかの展開でした。