カーネーションあらすじ 『薄れゆく希望』 第71回(12月23日放送)

昭和19年4月-結局、安岡髪結い店はパーマ機を供出させられて店を閉店することになったため安岡八重子が春から小原洋裁店で働いていた。

「この頃、中学校が陸軍やら海軍やら勧めて熱心に勧めてよってな…」
八重子が小原家の朝食を準備しながら息子の太郎が海軍に行きたいと言い出したと言った。

「格好ええて勇ましいて…そら子供には“だんじり”の大工方に見えたんやろなあ…ここのお父ちゃんな、昔、大工方でごっつい格好良かったんやで!」
糸子が嬉しそうに泰蔵の事を言った。
「覚えてるわ~泰蔵兄ちゃん、ホンマかっこ良かったわあ」妹達も
「ホンマうちも泰蔵兄ちゃん見て、どんだけ大工方になりたいと思たか」
「大工方の奥さんやのうて?」昌子が糸子に尋ねた。
「そんなんうちが思うかいな」糸子が笑う。
「さすが先生や」昌子達は感心した。
「奥さんになりたがっちゃった子もいてたけどな…どないしてんやろ?」
糸子が料亭を営む同級生・吉田奈津の事を思い出したとき、電話が鳴った。

待ち合わせの喫茶店『太鼓』に着くがすで店は閉店しており貼紙がしてある。
後から到着した奈津が事情を説明した。
「先月、東京で料理やらカフェやら店っちゅう店、全部営業辞めさせられたやろ?
大阪にもその流れが来てしもたんや」

糸子と奈津は吉田屋で話をする事にし、糸子は大広間に通された。
奈津のお茶を渡すまでの所作に糸子は感心してると奈津が糸子を睨んだ。
「何や?」
「いや別に…」

奈津が唐突に話を切り出した。
「この建物と土地…買えへんか?」
「…なんぼで?」
「一万円」
「はあ!?どこにそんな金があんねん!」糸子は金額を聞いてビックリした。
奈津は知る限りの金持ちの人間に持ちかけたが全部断われたと糸子に説明した。

糸子「…その一万円はまけられへんけ」
奈津「店の借金が…そんだけあるさかい…」
糸子「え!?…あんた一万円も借金もためてもたんか!?」
奈津「しゃあないやろ!材料の根はどんどん上がんのに客の払いはどんどん悪なっていって
どないもなれへんかったんやうちのせいちゃうわ!」
糸子「ア…アホか!そこをどないか知恵絞ってヤリクリすんのが女将の仕事やろ!?
一万円て…今更言うたかて遅いわ!助けちゃりたいけど助けちゃれるかほんなもん!」奈津「助けてくれなんか言うてへんわ!ウチが一言でも言うたか?」
糸子「そもそもあんたがうちに話があるって電話かけてきたんや」
奈津「うちは商売の話をしてるだけや。買われへんやったらお金ないから買われへんちゅうたらええだけやんか!なんでうちがあんたに説教されなあかんねん!」
糸子と奈津はしばらく睨みあうが糸子が先に口を開いた。

糸子「うちは金がないからこの店買われへん」
奈津「ほうけ、ほな帰り」奈津は顎で帰るように出口を指した。
糸子は荷物を拾い上げ部屋を出て行くと奈津は力が抜けたように座り込んだ。

店の裏庭の小さな畑で野菜の手入れをしている八重子に糸子は愚痴を言い始めた。
「あっこまでのアホやと思てなかった…借金一万円て」
「せやけどアホやちゅたらかわいそうや…お父ちゃんも早う亡くなって、旦那さんも逃げてしもて、お母ちゃんがまた体弱いやろ?奈っちゃん、誰にも頼る事できんとたった1人であの店守って来たんやし」八重子が奈津の事をフォローする。
「せやけど…なんで頼れへんかってんて。…それが悔しいて」
「そこが奈っちゃんなんやなあ」

夜― 糸子は神戸の祖母・松坂貞子に電話をして料理屋を買わないかを尋ねるも『今は要らない』と断われてしまう。縫い子や妹達は新聞に掲載されている『昆虫の食べ方』を読んではしゃいでいた。糸子はそれを隣の部屋で寝転びながら聞いていた。
>どこもひもじい暮らししてんのに…そら料理屋なんかいらんわな。
「何か手ぇないかな…」

翌日、糸子はソロバンで計算中の昌子に甘い声で話しかけた。
「昌ちゃん~あんな~モノは相談やけどな~」
「料理屋は買いませんよ」昌子はそろばんから目を離さず即答する。
「なんで知ってんの?」
「八重子さんから聞きました」
「いや、そらまあ、こんな時に料理屋買おうとは思わんけどな…一人、縫い子雇おうか?」
「無理です。八重子さんまでいっぱいいっぱいカッツカツです!!」
「堪忍な!!」糸子はニコリと笑顔を見せると店を走って出て行った。
>あのアホだけは見捨てるわけにはいかんねん。

糸子が料亭・吉田屋に到着すると玄関から男性が出てきて糸子に話しかけてくる。
「お宅もいかれたんけ?なんぼ貸しちゃってん?」
「え?」
「逃げてもうてら。女将とばあさん、きれいに消えてしもてら…」
男は店と土地が軍の工場に買い取られたことを糸子に教えた。
「なんぼで売れた?」糸子は借金を返せたのか心配になった。
「そら知らんけど、えらい買い叩かれたんやないか?このご時世や…せやけど痛いのう…うっとこも500円も踏み倒されてもうた」男は悔しそうに言った。
するともう1人男性が走ってやってきた。
「逃げよったか?」現れた男は糸子と話していた男に質問した。
「ああ中空っぽや」
「まだその辺、いてんのかちゃうんけ?ヨレヨレのばあさんいちゃったやろ?」
糸子は店の玄関に近づき空っぽの店の中を覗いた。

「こんボケが!!アホか!!どあほが!!」
糸子は大声で叫びながら扉を叩いた。
男2人は慌てて扉を叩き続ける糸子を止める。
「ここはもう軍のものなんやで!!壊したらえらいこっちゃ!」
「ボケ!!逃げてどないすんや!」糸子はそのまま泣き崩れてしまう。


【NHK カーネーション第71回 感想・レビュー】

いきなり借金まみれの奈っちゃん…なんか先々週くらいまでは、物凄い儲かってますみたいになっていた気がしたんですが。八重子さんが言うとおり、父ちゃん亡くなるし亭主は逃げるし…カワイソすぎる。もう玉枝さんとこにも出入りしていないんでしょうかね?
で、その一万円て、この時代では、どのくらいの金額なんでしょう。
あれだけ儲かってる糸子ですら仰天する額ですから…1億円くらいかな?
とにかく雲隠れしてしまった奈津、これからどうするんでしょうか。