昭和20年10月―
「進駐軍や〜進駐軍が来よったでー!」
木岡保男が大きな声を発しながら小原洋裁店に入って来ると店に来ていた栄作や美代は談笑を止めて慌てて家に帰った。
「ラジオ消し!お勝手閉め!」糸子は縫い子に指示を出すと自らもカーテンで店を閉じた。
静まり返ってしまった商店街に進駐軍の2人がゆっくり歩いてきた。
「商店街てここのこと?」
「でも全然店開いてないね」
2人は木岡履物店の戸を叩いたが保男と美代は応じず玄関で身を隠していた。
糸子の店の戸も叩くが糸子達も箒などを持って静かに身を隠している。
その時「オギャー!」赤ん坊の聡子が泣き出してしまう。
「赤ん坊の声だ。やっぱり人は住んでいるのだ(笑)」
「ハロー!誰かいませんか?」
声をかけるも中からは返答が無かったので二人は帰ろうとした。
「しょうがない今日は返ろう…日本の絵はがき欲しかったのにな」
すると商店街に直子と優子がケンカしながら帰ってしまう。
進駐軍の2人はケンカを止めよとするが糸子と街中の人間は誤解し2人を取り囲んでしまう。
「直子にやられたとこ痛い!見て!」優子はおでこを糸子に見せた。
「知らん」糸子はぶっきらぼうに答えた。
優子と直子は、そのまま黙ってチョコレートを食べた。
>進駐軍ていざ来てみたらそない言う程怖いものやのうて…
>アメリカの珍しい物をようさん持ち込んでくれるし、日本の物をよう買うてくれるし
>結構ありがたい人らでした。
糸子は再び闇市に栄作と訪れ、米と服を物々交換していた。
まだまだ品不足だったため残りの生地で作った物でも良い値がつくのだった。
小原洋装店は他の工場からも余りの生地を払い下げてもらい着る物に仕上げて行った。
そんなある日―
「こんにちわ…」サエが様子を伺いながら店に入ってきた。
「サエ…」糸子は入ってきた客がサエだとわかると抱きついた。
「あんた無事やったんか!?」
「無事や無事や!糸ちゃんも元気で!店かてそのまんまやんか!」
糸子とサエはお互いの事を話し二人共涙を拭っていた。
「…けど糸ちゃんの事やさかい、早速ジャンジャカ洋服こさえてるかと思ってた」
「まだまだや。世間はまだオシャレどころないで。みんな今日一日の御飯かて食べられるかどうかなのに…」糸子は涙を拭いながら言った。
「何言うてんやん!そやからこそやん!うちかて今日ここにシャレたスカートでもあったら三日くらい御飯抜きでも買うちゃろ思て来たやんで!」
「なんで?」
「なんでて…糸ちゃん、あんたはええ商売人かもしれんけど、女心に疎いとこあんなあ…街ようみてみ増えてるやろ?」
「何がや?」
「男や…若い男が戻って来てる!もうウチなんかどんだけオシャレの血が騒いでいるか!
こないだ五軒街かてだんじり曳いちゃってたやろ?うっとこの街も警察のおとがめ聞かんと曳いちゃった。あれと一緒や。男がだんじり曳かんならんように女はオシャレせんならんねん」サエの迫力に圧倒されて糸子は、とりあえずうなずいた。
サエが帰った後、糸子は難しい顔で腕組みをしミシンを見ていた。
「あああーー!」
「どないしたん姉ちゃん…」糸子の奇声に妹・静子が心配して声をかけた。
糸子は洋服に出来そうな生地がどこにもないことに悩んでいた。
すると一人の女性が洋服を求めて店にやってきた。
しかし店に洋服がないとわかると残念そうに帰って行ってしまう。
「はああ〜!…もうええ!!とりあえずこんでこさえちゃる!」
>ズボン下の生地でこさえたブラウスと軍服生地のスカート
>こんなんまだまだ『オシャレ』ちゅえるもんとはちゃうけど…
しかし店先に作った洋服をディスプレイしていると女性達が集まってきた。
「売り物!?これ売り物!?」
>ほんまや。サエの言うた通りでした。
その後、糸子達は店で洋服の注文を受けることにした。
早速、店で注文を終えた長谷ヤス子は奥の糸子に声をかけた。
「小原さん!注文したよって頼んどくわな。はよ作ってや」
「おおきに。がんばります」糸子は笑顔でヤス子に応えた。
>長谷さんとこは息子が三人とも出征したちゅうてたな…
>あの息子らどうなったんやろ…ああ、縫いたい!
>ホンマにええ服を縫うてこの人らに着せちゃりたい!
【NHK カーネーション第77回 感想・レビュー】
昨日からか、はたまたその前からか判りませんが…オープニング少しだけ変わりましたね。
よく見てないのですが最後『カーネーションの花』が咲くところで今まで一体だった人形の周りに子供の人形が3体囲んでました。
『後編に入った!』って感じがして、ちょっと感動です(笑)
さて、今日は新年2発目のカーネーションですね。
なんでか知りませんが昨日から闇市に通っていますが…前に世間の目がとか言っていたのはもう平気なのでしょうか?
とにかく楽しそうな市場で、もつ?が美味しそう。
今日は直子と優子がチョコレートを食べるシーンもありましたが、服装だけでなく、食べ物なんかも近代的になっていくんでしょうね。
まあ、今日もウォーミングアップ的な印象でした。