カーネーションあらすじ 『愛する力』 第84回(1月13日放送)

糸子の夫・勝が使用していた部屋で背広を作っていた周防は休憩して背伸びをした。
窓から店の前で糸子と木岡、木之元が楽しそうに会話している場面を見て微笑する。

「え?そら見間違えちゃう?」糸子は木岡と木之元から聞いた話に耳を疑った。
「いや…」木岡保男は力強く首を横に振る。
「…あんな別嬪、そうおらんよって…まず見間違えへんで」
吉田屋の若女将、糸子の同級生である吉田奈津が男を相手にする商売をしていたという目撃情報を聞き、仕事に集中できず糸子は呆けていた。
すると2階から降りてきた周防が糸子に話しかけた。
「…ボタンの事ばってん…ちょっと二階にはちょうどよかとがなかごたるけん
買いに行きたかとですけどここん来やったらどこに売っととですかね?」
「は?」糸子は言ってる意味がわからず聞き返した。
「ボ・タ・ン…どこに・売っとっとですか?」周防はゆっくりと糸子に伝えた。
「それやったら闇市ですわ…」

>おっちゃんらの言う事なんかアテにはならんけど…絶対ありえんとも言えん
周防を闇市に連れてきた糸子は足を引きずる若い男に目が留まった。
男は闇市で商売している派手な2人組の女性と会話をしていた。
>そいつが男前なんが気になりました。
>奈津のアホは救いようの無い面食いやったからです。

糸子はその男の後をつけることにした。その糸子を周防もつける。
男は草むらに建っていた汚い小屋に入って行った。
糸子が外から様子を伺っていると中から女性の声が聞こえる。
「ええかげんにしいや!このごくつぶし!」

引き返そうとした糸子は後ろにいた周防に気がついた。
「あ…すんません。あのボタン買うて先帰っといてください」
「どげんしたとですか?」周防は心配そうに尋ねた。
「…」糸子は何も答えなかったので周防は戻ろうとする。
「あの…もしうちが飛び出していきそうになったら止めてもらえませんか?」
「飛び出す?」
「その…そこから出て来る相手によってはうち飛び出してまうかもしれへんやけど
今日は止めといた方がええと思うんです。前もウチそんで失敗してるよって。
ウチが頭に血ぃ昇ってしもて怒鳴りまくってしもて…相手逃げてしもて…」

『ガラガラガラ…』
糸子が周防に説明していると小屋の戸が開き中から派手な格好をした女性が現れた。
「奈津…」糸子は奈津の姿に目を丸くした。
奈津は糸子と目があったが直ぐに視線をそらした。

『バチン!』糸子は奈津の頬を思いいきり平手打ちをする。
「あんた…何してんや?あんた一体何してんや!?
借金残して夜逃げして何やってんや!何やこの格好!言うてみ!言うてみ!」
奈津を押し倒した糸子は馬乗りになり奈津を叩いた。
「小原さん!」周防は慌てて糸子を止める。
「関係ないやろ…あんたに!あんたになんか関係ない!!関係ない!!」
今度は奈津が手に持っていたハンドバックで糸子を叩く。周防が糸子を庇った。
「二度と来んな!あんたなんか…あんたなんか何も関係ないんや!!」
奈津は走り去ってしまう。

― 翌朝、普段と変わらず周防が小原洋装店に出勤してくる。
「昨日はすんませんでした」糸子は周防に頭をさげた。
周防は何事も無かったかの様に仕事を続けた。

サエが水玉のワンピースを着て上機嫌で店にやって来て、女優と見間違えられた事を楽しそうに話していた。しかし糸子は真顔で作業を続けていた。
「…なあ糸ちゃん、聞いてよ」
「うち忙しいんやて…」
その時2階からトイレのために降りてきた周防を見てサエは興奮した。
「ちょっと!あれ誰!?」
「職人さんや…」糸子は面倒くさそうに答えた。
「職人さん!?職人さんて!?」
「うるさい!」
>周防さん、お宅が思てくれた通りです。うちは夢を作りたかったんです。
>戦争で受けた傷をわすれた新しく生まれ変わる…そういう夢です。
>服に託したうちの夢は女の人らに届いたと思てます。

>ほんでも服は服です…知れてます。
>ホンマにどん底におる人を助けたいと思たら服とちゃう…
>この自分の手しかないんや…

>力を下さい…怖いけど…

糸子はミシンのハンドルを力強く握って静かに呟いた。
「がんばりますよって」

「こんにちわ…あんなぁ、おばちゃんいてるけ?」
糸子は安岡髪結店を訪れて仕事中の八重子に声をかけた。
「話があるんや…」


【NHK カーネーション第84回 感想・レビュー】

変わり果てた奈津を見た糸子、自分でも予想していた通り飛び出していくところが可愛いです。周防さんも『ちょっとは我慢しろ!』って思うんじゃないかな(笑)
奈津が汚い小屋で『このごくつぶし』と叫んでいるところをみると、糸子の言うとおり“どん底”かもしれません。
それにしても、サエとの対比させた糸子のナレーションが絶妙でした。
糸子の洋服で明るくなったサエと派手な洋服を着て“どん底”から抜け出せない奈津。
いよいよ明日は久しぶりに糸子と玉枝が絡みますね。
玉枝は糸子と会話をしない間に善作やハル、勝が亡くなった事は知っているんでしょうか。