「上にいてるけど…なあどないしたんや?」
八重子は接客中の客に断わりをいれ、糸子に理由を尋ねた。
「心配せんといて。ちょっと頼み事があってな」
糸子は八重子に微笑むと、そのまま二階の玉枝の部屋へ向かった。
「はれまあ…糸ちゃんか」
玉枝は糸子を見ると寝ながら弱くか細い声で言った。
「うん…」糸子は寝ている玉枝の横に腰を下ろした。
「あんたんとこ…お父ちゃん亡くなったんやてなあ」
「うん…あと旦那さんとおばあちゃんも。。。」糸子
「ようさんしんだな…」
「おばちゃん…助けてほしいんや」
糸子は奈津の事情を説明すると玉枝の目が大きく開いた。
「体、売ってるちゅうことけ?」
「あの子…戦争中に店の借金で首が回らんようになって…
お母ちゃん連れて夜逃げしよったんや…どこいってもうたかわからんかったけど…
こないだ闇市でみつけた。おばちゃんこの通りや!奈津を助けちゃってくれ!」
糸子は涙を零しながら頭を深く頭を下げた。
「…なんでうちに言うねん?」
「オバちゃんにしか救えへんのよ…奈津は昔からおばちゃんにだけ弱いとこ見せるんや」
「今のうちに人救う余裕なんぞあるかいな…あほらし。あるかいなそんなもん(笑)」
玉枝はそういうと糸子に背中を向け、帰るように伝えた。
糸子がどうすれば判らないうちに何日か経過したある日、八重子からの電話が鳴る。
「どないしたん?…今から?!行こ!行く!迎えに行くわ!今すぐ!」
玉枝は奈津と話しに行くと言い出し、太郎に背負われながら糸子と奈津が暮らす闇市の奥の小屋へ向かった。
小屋に着くと太郎と糸子を離れたところ残し、玉枝は戸を叩いた。
すると、中から出てきた奈津は玉枝の体をかるく突き飛ばした。
それを見た太郎が慌てて飛び出そうとするが糸子が止める。
「出てったらあかん!」
2人が目を話した隙に玉枝は小屋の中へ入っていた。
玉枝は奈津の母親が亡くなったか尋ねた。
コクリと奈津はうなづいた。
「大変やったな…勘助と……泰蔵もなあ…」
「嫌や!嫌や!嫌ー!!」奈津は両耳を押さえ涙を流した。
「しんどかったなあ…あんたもたった1人でつらかったなあ…」
玉枝は奈津の背中を優しく擦った。
小屋から出てきた玉枝は再び太郎におぶられて帰ることに。
奈津は何も言わずに玉枝が落とした杖を糸子に渡した。
― 周防は頼まれた背広の仕事を無事、予定通り終了させた。
明日から小原洋装店に出勤しなくなることに糸子の母・千代は残念がる。
「ほんまにお世話になりました…ホンマにおおきに」
周防を見送る糸子は笑顔で礼を言った。
「ちっとは役にたったですか?」
「はい。周防さんが思てるよりもっと。うち…周防さんに助けてもろたんです」
「良かった…嫌われたかて思うとった」周防はホッとしたような表情を浮かべた。
「なんで?」
「なんか最後の方…喋ってくれんごとになったけん」
「…あぁ。フフ。ほな…おおきに」
糸子は一人で納得すると理由は言わず含み笑いをした。
「お元気で!」糸子は店を後にする周防に大きな声で言った。
周防は頭を下げていってしまう。
>喋れんようになったんは好きになってまいそうやったからです。
>さいなら…もう二度と会いませんように
【NHK カーネーション第85回 感想・レビュー】
詰め込みすぎというか…この内容で60分くらいにして欲しいと感じました。
だって糸子が周防さんを意識して喋らないようにしていたのって、最後のスイカ(?)寒天を食べてるときくらいしか無いんですよね。
周防「最後のほう喋ってくれなかった」
糸子「…ああ、フフフ。」←物凄い演技だっただけに残念。
奈津に気を取られて周防に惚れそうになっちゃってる事に気が着きませんでいたよ(笑)
玉枝と糸子の久しぶりに会話をするシーンも良かったですけど…玉枝が急に「奈津と話する!」となったのも理由みたいなものが欲しかったです。電話が鳴って『え!?いきなり?』って思ったのは私だけではないはず。
その奈津が泰蔵の事を聞いて拒絶反応を起してしまうシーンはグッときましたね~。
泰蔵兄ちゃんが最後の心の支えだったように思えて切なかったです。