昭和23年-久しぶりに小原家に来た叔父、松坂正一が仏壇に手をあわせていた。
「前に岸和田来たのはいつだったんかいな…光子の祝言か?」
「あれが去年の春だったさかい…ちょうど一年ぶりや」糸子が正一の質問に答えた。
「早いな~ハッハッハ(笑)…あ、これ」
正一は糸子と千代に勇の祝言の写真を見せた。
「あれ~ええ写真でけたな!ほんまよさそうなお嫁さんやんか」
千代は写真に写る勇と花嫁を見て嬉しそうに言った。
「ここの娘らもみんな見事に片付いて…ようやったな糸子、たいしたモンや!」
「そやけど娘がいっぱんに嫁いでしまちゅうんは寂しいもんです…」
「糸子がおるやないか?」
「糸子は…これは息子ですから」千代が正一に言うと2人は笑った。
ドタドタドタ!
「何や?」2階から音が聞こえたので正一は天井を見る。
「ちょっとすんません…」糸子は席を外して2階へ。
2階では優子と直子が喧嘩をしていた。
「ウチが先や!」「ウチが使うんや!」
糸子はツカツカと歩み寄って2人の頬をつねった。
「痛ててて!」
「次ケンカしたら家から放り出すて言わんかったか!?」
「おっちゃん、さいなら」優子と直子はブスッとした顔で正一を見送った。
「ハハハ!お前ら仲ようせいや。なあ!」正一は笑って直子達の頭を撫でた。
「お兄様、これ荷物になるけど、お供えして下さい、お父様のご仏前に」
千代は大きな風呂敷に包まれた荷物を正一に渡した。
>神戸のおじいちゃんは去年の冬に亡くなりました。
>戦争からこっちお祝い事と不幸が入れ子になって物事も月日のどんどん過ぎていきます。
>うちもあっちゅう間に35や…『諸行無常』っちゅうやつやなあ…
糸子は優子と直子がゴミをぶつけあっていることに気が着く。
「あんたらほんまに何回いうたらわかるんや!!」
優子、直子、聡子が幼稚園、小学校から帰ってくると糸子は手がつけられないので、その日も安岡美容院で髪を切ってもらうことにした。
>子供らの頭がドングリになるくらいはよしとせな
>とにかくこの頃の店の忙しさちゅうたらただごとではありません。
>ミシンも縫い子も増やして休みなしで働いても追いつかない程の注文の量です。
>戦争で焼けた跡の始末が済んで、そこにオシャレの花がどんどん咲き始めてるちゅうとこでしょうか
大きな荷物を持った奈津と帰り道に会った八重子の息子・太郎は荷物を代わりに持った。
「おおきに。…あんた、お父ちゃんにように似てるな」
奈津は太郎を見て懐かしそうに言うと散髪を終えた優子達が太郎を取り囲んだ。
「うちが荷物持つ!」「うちが先や!」そこでもケンカをしてしまう姉妹だった。
「え?組合長?…なんで組合長がうちを料理屋に呼び出すんや?」
糸子は経理の松田恵に質問をした。
「なんか先生に話したい事があるそうでうわ」松田は事務的に答える。
「…そやけど忘年会も新年会も一度も行ってないしな…」
「うちが謝っておきましたさかい…ほら行ってきてください」
「しばかれたらどないすんねん!」
「このままやったらずーと待ってますよあの人」
料理屋に着き、組合長がいる部屋を廊下から覗いてると北村が後ろから声をかけてきた。
「久しぶりやんけ」
「…あ~…北村さん!」糸子は苦心して名前を思い出した。
「すっとでてけえへんけ!…組合長、来ましたで~!」北村は部屋にいる三浦に声をかけた。
「ご無沙汰してすんません」糸子は部屋に入り組合長の三浦に挨拶をした。
「久しぶりやな。すまんな忙しいとこ呼び出して」
「こちらこそすみません。色々誘ってもうてたのに…うっとこがちっこい店でして…」
「そら、あんたももう一国一城の主や…けど何やな事務所の方にも、顔を出さなんだんは誰ぞ会いとうない奴でもおったんか?」
「………」糸子は言い当てられ言葉を失ってしまう。
「やっぱりそうか(笑)」
「堪忍です!」
「こいつか?」三浦は昔糸子に酒を飲ませた北村を指差した。
「いえ!滅相も!」
「ほな何ぞ商売敵でもおったんか?」
「ほんなんもいてないんですけど…どうぞ」糸子は三浦に酒を注いだ。
「なあ小原はん…この北村に…手ぇ貸しちゃってくれんか?」
「は?」糸子はわけがわからず北村をちらりと見た。
【NHK カーネーション第87回 感想・レビュー】
昨日の盛り上がりを終えて今日からは再び商売編というところでしょうか。
知らない間に神戸のお祖父ちゃんが亡くなっていたり、勇君や妹が全員嫁に行っていたり…月曜日にやるはずだったのかな?という冒頭でした。
ひと段落するとすぐに話の中心が子供に行くのは鉄板なのでしょうかね?
そんな子供達の憧れの太郎君、奈津に惚れちゃったみたいな描写が!
かなりの年齢差ですが…奈津は町では知らない人がいないというくらいの別嬪さんらしいから仕方ないのかなという気もします。
さて、明日からの『ほっしゃん助ける編』に期待です。
意外にほっしゃんの演技上手くないですか?