カーネーション あらすじ 『揺れる心』 第89回(1月19日放送)

北村の工場で婦人服の指導を始める日、糸子は朝食を食べながら昌子に工場の監督についての意見を言っていた。
「腕だけやなくて勘も大事。こっちの言う事スパーンと分かってくれる人やったらええけど…なんぼ説明したかてわからんオッサンやったら難儀やでぇ〜」

― 心斎橋の外れにある北村の工場に糸子は入ったが誰もいない。
「はれ!ほんまにええもんやな。へへへ」
工場に置いてあるミシンが三浦の説明どおりの品物だという事に上機嫌になる。
「うん?止まってんで…こういうことをな、きちっとしとかなあかんねん」
糸子は椅子の上に乗り、壁掛け時計のネジを巻いていると工場に誰かが入ってくる。
「おはようございます」
振り返ると周防が立っていたので糸子は動揺し時計を壊してしまう。
「あー!ああ…」

「監督や。周防龍一いうて…元々テーラーの…」北村は糸子に周防を紹介しようとした。
「知ってます。前にうちの店手伝うてもうたことあるよって」糸子は無愛想に答える。
「ほんまけ?お前、何で言わへんのよ!」
「はあ…まあ…」周防は曖昧な返答をした。
「まあ、ええわ、ほな早速やけど売りもんの服の話をはじめてええけ?
単刀直入に言うどあんたが流行らせた服、水玉のやつや!あれ作ってくれ」
「…お宅、婦人服なめてますんか?よう考えて下さい。ホンマにあれでええんか?」
「…あかんのけ?」
「ちっ!」糸子は舌打ちをすると婦人服のケッチブックを広げた。
「一から勉強してもらいましょうか!」

「…ほんでこの流れが戦争に入ったらこうなる…紳士もんに近づくんです」
婦人服のスクラップ写真を北村と周防に見せながら流行の移り変わりを糸子は説明する。
「水玉の服は昭和21年の春から夏にかけて確かに流行りました。けど二年も前の話です」
「いや、せやけど二年前くらい…あかんのけ?」
「もう犬でも食いません…婦人服にはな“流行”ちゅう厳しい厳しい掟がありますんや!婦人服を始めるんやったらその掟の前に土下座するつもりでやらんとあきませんで!」
糸子が資料で北村の胸を叩いて詰め寄った。
「わかった!わかった!わいはもう余計な事は言えへん!後あんじょうやってくれ!」
「肝心な話はこっからです!」
「わし肝心な話あかん!あいつあいつ!肝心な話ものごっつう好きやから!頼んだで!」
北村は逃げる様に工場を出て行ってしまう。
「あのう…そいでこいからどげんなっとですか?」周防が質問してきた。
「えっと…それは…えーっと、とにかく今はディオールです」
写真を見せて世界がフランスのブランドに注目している事を説明した。

― 翌日、朝食を摂りながら昌子が質問してきた。
「先生、どないやったんですか?昨日、工場の監督良さそうな人でした?」
「…まあまあやな…勘がええしな…話も通じやすいし、苦労はせえへんわ」
「良かったですね」
「…あの…あれやで?…周防さん…ちゅうてな…」
「周防さん!?」
「覚えてるか?だいぶ前に店をちょろっと手伝ってもろたことあるやろ?」
「当たり前やないですか!」千代と昌子は会いたいと言い出す。

工場へ出勤するため家を出た糸子は自問自答した。
>ウチ、さっき…周防さんに会うた事皆に隠そうとした?
「なんでや?」
>後ろめたかったからや
「何がや?何も後ろめたない事なんか…」
>いや、ある。ごっつう後ろめたい事が心の奥の方に…
パチン!糸子は自分の右頬を思いきり叩いた。
>あー!何考えてんや!あかん!あかん!あかん!あかん!何度も右頬を叩いた
「仕事や!仕事!!」

糸子が工場に着くと周防は時計を修理していた。
「おはようございます」糸子は気まずそうに挨拶をした。
「顔…ここんにきなんか赤うなっとですよ…誰かに叩かれたと?」
「いやいやいや…大丈夫です」糸子は頬を手で隠した。
>ああ…やりにくい

糸子は婦人服の型紙の説明を周防にする。
>いや、ほんでもこの人仕事はやりやすい
糸子が針をとろうと手をのばすと周防の手にあたる。
>やっぱしやりにくい

休憩時間、三味線を弾いている周防に糸子はお茶を出した。
「周防さん、なんで工場の監督なんか引き受けたんですか?」
周防はどの工場でも背広を作る事は変わらないからと説明した。
「北村さんが給料ば結構くれるって言うたけん」
そして婦人服の勉強をするのも面白い事だと思ったと周防は加えた。
「へえ~婦人服に興味がありますか?」
「フフ…そいと、小原さんが指導に来るって聞いたけん」
それを聞いた糸子は硬直してしまう。


【NHK カーネーション第89回 感想・レビュー】

最後の糸子のフリーズ状態、面白すぎです。
「え?」って感じではなく、『脳みそ停止』のような感じが素晴らしいです(笑)
ほっしゃんの「あいつ(周防)、肝心な話、ものごっつう好き!」って逃げる台詞も秀逸でした。肝心な話がすごい好きな人って…(笑)。いや~こういうセンスは前作『おひさま』には無かったですもんね。
それにしても周防さんは、もう糸子にアタックするって決めているんでしょうか?
しれっとあんな事、言ったりして…それとも単に天然な人?
2年ぶりの再会だったと思うんですが、アレですね…もう方言には慣れたみたいですね。