カーネーション あらすじ 『ライバル』 第100回(2月1日放送)

― 昭和30年2月、アメリカ商会の前で木之元親子と直子が最近の歌手について熱く議論をしていた。
「そら、わしは断然江利チエミやのう…」
「なんで!?ひばりちゃんやろ!?ごっつ歌うまいやん!」
「僕は雪村いづみやな…」
3人が盛り上がっていると優子が肩を落として帰って来た。
「優ちゃん、お帰り!…今日、卒業式やったんけ?」
「うん…」優子は力なく返事をした。
「うちも来月中学卒業やで。聡子も小学校卒業やしな」直子が会話に割って入ろうとする。
「どや?お母ちゃん美大受けんの許してくれたけ?」
優子は首を強く横に振ると走って行ってしまうのだった。

「かわいそうに…」栄作の長男・志郎が優子の後姿を見ながら言った。
「引っ掛かったらあかんで?…あないしてなしみたっれた顔さえ見したら、ちやほやしてもらえる思てんやさかい」直子が木之元親子に注意を促す。
「…せやけど、かわいそうやないけ…あんなけ美大行きとうて勉強がんばってなのになあ」
「甘ったれなんや。本気で画家になる気もないくせに…お姉ちゃんはおじいちゃんに可愛がられすぎてアホになったんや。ウチは誰にも可愛がられんかったさかい賢うなったんや」
そういうと直子は意気揚々と自宅へ帰るのだった。
「…善ちゃんのせいや」木之元栄作はポツリと呟いた。

糸子は(図工だけ5)は1か2という直子の成績表を見てため息をついた。
一方で優子の成績表は5と4で埋め尽くされていた。
>優子が受けたがっていた受験日は明後日でした
>とっと受けに行かせちゃった方がどんだけ気ぃ楽かしらん…
>けど…あかんここは辛抱のしどころや
体育のみ5で残りはほぼ1の三女・聡子の成績表を見て糸子は吹き出してしまう。
「見た?なあこれ、見た?(笑)」糸子は善作や勝の写真に成績表を見せた。

夜中の0時を回った頃、優子が仕事中の糸子の元にやってきた。
「お母ちゃん、どうしたらええか…うち、もうわからへん!」
「『どないしたらええん?』て、この期に及んでお母ちゃんに聞く事ちゃうやろ?」
「『急に受けたらあかん』言われて…一体ウチはどないしたらええんよ!?」
甘えな!自分がどないしたいかやろ!?
ほんなもんお母ちゃんの知った事とちゃうわ!自分で考え!」
糸子は一喝すると涙を流す優子に構わず作業を続けた。
直子は階段でその様子を聞いているのだった。

― 早朝、優子が寝れずにいると襖が開いて千代が鞄をもってきた。
「行ちょいで。東京、試験受けちょいで。…受けんかったら悔いが残るやろ?
お母ちゃんにはおばあちゃんが言うといてあげるよって」
千代はやさしく言って鞄とお握りが入った弁当を優子に渡した。
その2人のやりとりを隣の部屋で糸子は聞いていた。

「え?ほな行かしたん?おばあちゃん」
朝食の後片付をした優子が千代に尋ねると千代はうなづいた。
「なんや…あんたもホッとしたんか?お姉ちゃんが試験受けられて(笑)」
千代がつまらなそうにした直子をからかう。
「ホッとなんかしてへんよ!しょうもなあて思ただけや!」直子はムキになって応えた。

>いや~正直ウチはホッとしてました。
>万が一受かってしもたら、またそっから“ひともめ”せんならんのは見えてるけど…
>まあそらそんときや。よかったよかった

― その日の夜、北村を訪ねて優子は組合事務所を訪れる。
「よっしゃ!まず乾杯しようか!無事、卒業、おめでとう!(笑)」
北村は優子のグラスにジュースを注ぎながら上機嫌で言った。
「…おおきに。おっちゃん」
「食えよ!食え!ほら一日大阪駅でボケーッとしちゃっあたら腹も減っちゃあるやろ?」
優子は何も返答せずに黙っていた。

「…ほんで…どないしたんよ?何で東京行けへんかってん?明日試験やろ?」
「お母ちゃんが『受けたらあかん』て…」
「別にお前が美大に行くちゅう事に反対してるんとちゃうんちゃうけ?」
「分かってる。うちが本気で画家になるになるちゅう覚悟がないんが許さへんやと思う」
「…なら本気みせたれよ」
「お母ちゃんに言われて初めて判ったんやけどな…うちなやっぱり本気ちゃうんや」

優子は小さい頃から絵を描く度に糸子に褒められていた事を北村に話した。
「美大に行ったら…お母ちゃんにまた誉めてもらえる思たんやけど…」
「そらのう…それだけでは誉めてくれへんやろ」北村は腕組みをした。

「そんなん誉めてほしいんやったらよ『洋裁屋継いじゃるわ』ちゅうたらええねん」
「せやからそれは嫌や!」
「あの鬼のおかんもちっとは誉めてくれるど!『あんたは親孝行やな』言うてよ」
「ウチは親孝行なんかしたい訳ちゃう…認めて欲しいんや!もっと本気でウチの事を!」
「…面倒くさいのう!お前ら!何や!もう飲め飲…未成年か…もう食え!」
「ふーん、どうしたら認めてもらえるんやろ?」
優子は北村が用意した寿司を食べながら呟いた。
>その夜遅く優子は北村に送られて帰って来ました。

1階から聞こえる北村と千代達が飲んで盛り上がる声と糸子が操るミシンの音を優子は布団の中で聞いていた。その優子の姿を直子は見ていた。
>結局その年の4月、優子は大阪の洋裁専門学校に通い始めました。

「うわあ!!こんな上等なん!高かったやろ?」
糸子から卒業祝いの鞄をプレゼントされると優子は喜んだ。
「まあな、けど一つエエのん買うといたら、どこにでも使えるよって」
「ホンマおおきに!」

その様子を覗いていた直子は、糸子に貰ったばかりの自分の卒業祝いの赤い鞄を落とした。


【NHK カーネーション第100回 感想・レビュー】

ほっしゃん、今日もいい味出してますね~。
3人の成績表、恐ろしかったですね~。なんでしょうか…あれは(笑)
直子の成績も笑えましたが『賢くなるように』とつけた聡子の成績なんて体育いがいほとんど1って…その成績表見ても動じない糸子が凄いです。
美大の受験をやめた優子が洋裁専門学校へ行く事になった経緯とかが全くすっとばされていたのが残念ですが、最後の鞄を貰うシーンを見る限りわだかまりは無いようですね。
一方、直子が優子に対して対抗意識を持つ理由がやっとわかりました。
直子は糸子が忙しい時期に産まれた子なんですよね…気づくの遅すぎかも(汗)