カーネーション あらすじ 『自信』 第109回(2月11日放送)

すっかり風邪が治った直子に千代は斉藤、吉村、小沢、直子が写る写真を見せてもらう。
「ウチはホンマの本気で学校入るまで『自分を天才や』と思ちゃあったんやけどな…この子らに会うてちょっと焦った」直子は千代に照れくさそうに言った。
「ホンマ凄いんや!この三人。それぞれウチに無いもん持ってる」
「源太君もかいな?」千代は楽しそうに尋ねた。
「源太、凄いで!授業でこういうデザイン画描かされるやろ?その線がごっつい綺麗なんや…その線見てるだけで、こいつの作る服、ごっついええんやろなあて思わされるんやし」
「楽しみやな~みんな立派な洋裁師になりねんやろなあ…」
「うん。せやな…なるやろな」

直子の見舞いから帰ってきた千代はカバンから東京土産を机に並べていた。
「え!?5000円全部使うたん?何に5000円も使うんよ?観光も何もしてへんやろ!?」
糸子は驚くが千代は平然としていた。
「まあなあ…次から次からお友達が見舞いに来はるやんか
うなぎやらお寿司やらとってたらあっちゅう間に…」
「学生なんかにウナギなんか食べさせんでもええのに…」
優子が残念そうに千代に言うが糸子が小声で止めた。
「優子…言うても無駄」
糸子と優子は千代が喋っていたがそのままその場を立ち去った。

>優子が店に出始めてひと月、まあ仕事ぶりもボツボツさまになってきました。
>若いお客さんらは、むしろ優子の方が打ち解けやすいようです。
「せんせい、お願いします!」接客していた優子が糸子を呼んだ。
「いらっしゃい~こんにちわ!」店の奥から現れた糸子が客に挨拶をする。
「お客さん、おめでたなんですって!」
「そら、おめでとうございます!何ヶ月?」
「おおきに。4ヶ月なんです」若い女性客が幸せそうな表情を浮かべる。
「今度、お友達の結婚式に出るさかい、それ用にサックドレスを作りたいそうです」
「なるほど~ほな、あんた、採寸さしてもらい」
糸子に指示された優子は採寸のためカーテンで仕切られた部屋に女性客を連れて行く。
「優子、あんた…デザインやってみるか?…サックドレスやったらできるやろ?」
糸子は優子を呼び、小声で確認した。
「はい!できます!自信あります!」優子は真剣な顔で返事をした。
「ほな、やり」
「はい!」

−夜遅く、優子の部屋をあけると優子はデザインを描いていた。
床には何枚もデザイン画が散らかっている。
「どうや?見せてみ」糸子が心配そうに尋ねた。
「大丈夫。完成してから見せるから」
糸子はうなずくと襖を静かに閉めた。
>とにかく真面目で何でも完璧にやりたがりよんのはええけど

― 翌朝、昨日の客が出産後も着たいと言っていると優子は悩んでいた。
「お腹が大きいときに着るんやったらこっちやけど…戻ってからだったらこっちなんや」
「あんたな頭で考え過ぎなや…そらお客さんはお腹も大きなるし声もするし痩せもする。
考えだしたらきりないんや」糸子は朝食を食べながら優子に助言した。
「…ほなどうしたらええの?」
「お客さんの気持ちになったらわかるがな…そら来月着るときに一番よう似合うて嬉しいようこさえたらええんや…お産が済んでも着たいてそら今は思うかもしれへんけど
そん時はもうサックドレスかて廃れてるかもしらへんやないか?」
「せっかく作るもんが一回で終わりなんて嫌や!ずーっと大事に着て欲しい」
「あんたが決める事ちゃう!」糸子は優子を睨むと再び御飯を口に入れた。

― 数日後、優子が店頭で完成したサックドレスの準備をしているとに客を待っていると
先日の妊婦の客が店に訪れた。
「はれ、痩せました?」優子が女性客の外見が変化している事に気がついた。
「うん、そうなんや…つわりがヒドうてな」
その返答に優子は固まってしまう。
「ちゃうやろ…まあそらそんなとこ出て来てもうてもうしわけないなあ!」
糸子は見ていられず助け舟を出した。
>お客が痩せた事で優子の計算がややこしうなってしもたようでした。

「先生!ウチがしますよって」糸子が女性客の採寸を測ろうとしたので優子は慌てて言った。「さっさとすましや。お腹の子に障ったらえらいこっちゃで!わかってんのか!」
糸子は優子のお尻を叩いた。
優子と女性客は採寸し直すため別室に行き45分経過するころようやく出て来た。
しかし女性客は部屋から出るとめまいを起して倒れてしまう。
糸子や優子は慌てるが女性は完全に気を失っていた。

― 部屋の布団に寝かせた女性客に優子は手をついて頭を下げた。
「ホンマに…申し訳ありませんでした」
「なんで謝るん?倒れたんはウチの勝手やんか…
丁寧にやってくれたから時間がかかっただけやろ?」女性は少し笑った。
「おおきに。ホンマ…すんませんでした」優子は涙を流しながら再び頭を下げた。

― 女性を迎えに来た母親にオハラ洋装店のスタッフ全員で頭を下げて謝った。
「気にせんといてて。こっちこそ世話かけて堪忍やで…」母親がすまなそうに言った。
「おおきに。お大事にしてください」糸子は丁寧に何度も頭を下げた。
>たまたま優しいお客さんやったんは優子にとって良かったんか、わるかったんか…
>『厳しいお客で油絞られた方がためになったんちゃうけ』ちゅう気もするけど…
「ああ~よかったあ…よかった…」
糸子は一人で安堵の溜め息を吐いた。

「すんませんでした」店に戻ると優子は昌子に謝った。
「まあまあ。そらそない一足飛びに一人前にならへんて」昌子が笑って言った。
「みんな失敗しながらちょこっとずつあがって行くもんやよってなあ?」
松田恵も優子を慰めると店の電話が鳴った。
「縫い子かてな最初から何でも上手いこと行く子ほど伸びへんねん。
はじめのうちは失敗して置いた方がええんやて」
昌子が優しく優子を励ましすと、落ち込んでいた優子の表情が明るくなった。

「はれ直ちゃん。どないしたん?…え?ええどういう事?」
電話にでた松田恵があわてた様子で直子の名前を口にした。
「直子がどないしたん?」
「…何や直ちゃんがごっつい賞とったらしいわ!」
松田恵が優子に伝えると優子の表情が一気にこわばってしまうのだった。


【NHK カーネーション第109回 感想・レビュー】

優子の真面目な性格が早速、裏目に出てしまう回でした。
前回、東京の言葉を「きしょい」と指摘され、ちゃんと岸和田弁に戻っていたのが笑えます。「岸和田が普通じゃないのよ~」とか直子に言っていたのに(笑)
でも妊婦さんを確かに45分以上、立たせたままにするのは駄目ですね。
糸子や昌ちゃん、恵さんも最初は心配するけど店が忙しくて忘れてしまうのもどうかと思います。でも迎えにきた母親(だと思う)に店員総出で謝っていた時に千代も後ろで一緒に謝っていたのが、良かったです。
あと直子は、ちゃんと友人を尊敬してるところが素晴らしかった。
だから、ごっつい賞も取れたんでしょうね。