カーネーション あらすじ 『あなたを守りたい』 第111回(2月14日放送)

店に警察が来ているとは知らず直子は電話で松田に優子への伝言を頼んだ。

「こんな事、一生に一回しか言わへんけどな…小さい頃からウチの目の前には姉ちゃんがいつも姉ちゃんが走ちゃあった。いつか絶対あいつを追い抜かしちゃるて…
ほんでうちも走って来れた。その姉ちゃんに今更岸和田から見守られたかてな迷惑や。
とっとと、またウチを追い越して前走ってくれな困る…」
しかし松田は刑事と糸子に注意がいってしまい伝言は一言も頭に入っていなかった。

「先生!今度はまた何したんですか!?」刑事達が帰ると昌子と松田は糸子に詰め寄った。
「何もしてへんて!天に誓うて何も後ろ暗い事はしてへん!余計な心配せんでエエ!」
その一連の出来事と糸子を優子は心配そうに見ていた。

― 翌日、噂が広がらないように糸子は商業組合の組合長・三浦に会いに行く。
「例のあんたと組んで作った洋服の売れ残り…あれに偽物のディオールのタグつけて売りよったんやなあ。あいつのやりそうなこっちゃ」三浦は頭をかいた。
「またそのタグがなんぼ偽物でも『もっとちゃんと作らんかい』ちゅうぐらい、ちゃっちいんですわ~どこまで詰めも脇も甘いんじゃって…ホンマ腹立って腹立って…」
「そやけどや…堪忍したりや。去年もあいつデカイ失敗して焦ってしもうとったんや…」
「…まあ、あれはウチも痛かったです」
「けどな、あいつの方が傷が深いと思うで…商売人としてはまだ半端もんで信用も人望も薄い。アンタの所と比較したら比べモンにならへんくらい足元モロいんやで」
「…うちはそんな人、失敗させてしもうたんやな」糸子はボソリと言った。
「けど初犯で捕まって良かったやないけ!(笑)これがもし下手して上手い事いったらやで
あいつのこっちゃ、調子に乗って次から次から同じ事を繰り返しよる」
「…どのくらいの罪に問われますやろか?」
「まあ初犯やさかいな…すぐにぶちこまれるようなことは無いと思うで」
糸子はため息をついた。

糸子が帰ると店の前で優子と聡子が爆竹を鳴らしていた。
「何してんや!あんたら!」爆竹の音に驚いた糸子が優子に尋ねた。
「爆竹(笑)。昨日警察来てから気がふせいであかんなちゅう話になってな」
「そしたらが聡子が爆竹しよって言い出して(笑)」千代が言った。
「なんでか知らん『そういう時は爆竹や』いうて」
「買って来てんうちが」
「やってよかったな~スッキリしたわ~」千代と聡子は笑いながら家に入っていった。
すると残った優子が晴れやかな顔で話し始めた。
「お母ちゃん、うちな心入れ替えたよって。明日からまたお客さんの前に立たして下さい。
うちな、この店、小っさい頃からあったもんやさかい、あるんが当たり前に思うてた。…けどちゃうんやな。お母ちゃんらが必死に守って来たさかい、あるんやな。
これからはうちも一緒に守りたいて思てます」そう言うと優子も笑顔で店に消えて行った。

>こういう時にニカッと笑ろて『偉い!お母ちゃん嬉しいで!』ちゅうような事をよう言わんのは…血筋やろか?…血筋やな。
夕食時、晩酌をしていた糸子は横になると善作とハルの写真を見た。
『ちゃう!』善作の声が聞こえた感じがしたので糸子は飛び起きた。

― 昭和34年10月、オハラ洋装店には『本日休業』の貼紙が貼ってあった。
「へえ~あのジャガイモがな~」
「前が直ちゃんで次がジャガイモ君てエライごっつい学年ちゅうこっちゃねえ!」
昌子達が斉藤源太が直子に続いて装麗賞を受賞した記事に興奮していた。
「…ひょっとしてその格好で式に出るつもりちゃうやろな?」
優子が昌子達と一緒に居る派手なドレス姿の直子に確認した。
「そうや?」直子は服装がよく見えるように立った。
「あんたウチの結婚式ぶち壊す気け?」
「はあ?何でウチの格好がアンタの式をぶち壊すんよ?」
「お母ちーゃん!おばあちーゃん!直子がなーあんな格好で式に出るっちゅうんや」
優子は糸子と千代に言いつけるが
「ああ…あかんやろか?」
「うちはだいぶ見慣れて来たけどな…」2人は意外そうな顔をした。
「絶対あかんて!こんなオウムみたいな妹、座っちゃったら何事や思われるやんか!」
「まあええわ…ほな直子、着替えり」
糸子が言うと直子は「嫌やー!」と言って逃げる様に店を飛び出した。

すると直子は店の前に袴姿で立ち尽くす北村に気がついた。
「おっちゃん!…どないしたん?」
「ゆ…優子がよ…今日、招待してくれちゃあたんやけどよ…なんかやっぱり遠慮しとった方がええかな思って、代わりにこれや…まあよろしゅう言うといてや」
北村は持っていた紙袋を直子に渡すと足早に去ろうとする。
「ちょっと!何でや!?何で式出えへんの!?」直子が北村の手を掴む。
「お…お前、話、聞いてへんのかよ!?ワイは優子の式に出れる立場ちゃうねんて!」
「姉ちゃん!北村のおっちゃんがよう分からん事言うてん!」
直子が立ち去ろうとする北村の手を引っ張りながら優子を呼んだ。
「おっちゃん!」中から出てきた優子が北村に驚いた。
「何や今日の式、出えへんとか言うてんやん…」直子が優子に説明した。
「何言うてんや!おっちゃんが式に出てくれんかったらウチは嫌や!」
「ワイは…お前に迷惑かけたないのや!」
「なんの迷惑かけんねん!そんな寂しい事言わんとってよ!」
「わいかて出たいよ!それは!」
「おっちゃん出て欲しいねん!」
2人は泣きながら抱き合った。
>そんな茶番が今日もまた繰り返されて…

八重子と玉枝も店にやってきた。
糸子が店の戸に鍵をしていると横にいた北村が小さい声で尋ねてきた。
「なあ…わい、ホンマに行ってええんけ?」
「ウチに聞くなボケ!」糸子が一蹴した。
「行こ!おっちゃん!」北村の手を聡子と着物に着替えた直子が引っ張った。
「もう~そこまで言うんやったらのう」
その姿をみた糸子がうんざりした顔で呟く。
「あ~あ~茶番茶番」


【NHK カーネーション第111回 感想・レビュー】

案外、ほっしゃんの逮捕劇があっさり終わって、暗い雰囲気にならずに良かったです。
冒頭の直子の伝言は、『やっぱりか』という感じがしてホッとしました。
昨日、受賞した直子が優子に言ったのはハッパかけてたんですね。
優子も結婚式前に一連の糸子の頑張りを見て大人になった感じがして、一気に全てが丸く収まったような感じがしました。優子と直子のやりとりが普通に戻ってたし。オウムみたいな妹って(笑)
なんだか今日の直子は冒頭の伝言シーン、源太を祝福するシーン、北村を引き止めるシーン、どれも、今までの変人直子と違いまともな感じがして泣けた。