カーネーション あらすじ 『鮮やかな態度』 第121回(2月25日放送)

昭和40年3月、隣で靴屋を営でいる木岡美代が糸子を訪ねて店にやって来た。
「糸ちゃん、忙しいとこ悪いな。…あんな『アイビー』って分かるけ?…なんや最近若い男の子らがな、『アイビーの何ちゃらって靴置いてるか?』言うてよう聞きにくるんやし」
「ああ、ローファーちゅうヤツちゃうけ?」
そう言って糸子は、木岡美代にファッション誌を見せた。
「この靴がローファーでアイビーちゅうんはこの格好の名前や」
「…格好に名前があるんかいな」美代は糸子の説明に驚く。
>昭和40年、木岡のおばちゃんが聞きに来るくらいアイビーはこの頃大流行です。
>さぞかし北村は景気ええやろ思たら

― 心斎橋の優子の店
優子がスタッフと開店準備をしている横で北村は糸子にぼやいた。
「あのままアイビーやっちゃあったらよ、今頃もっと儲かっちゃったのに…」
「あんたアイビーやっとんたんちゃうんけ?」糸子は目をパチクリさせた。
「…やっちゃあるよ。せやけど半分だけや。あとの半分は例のデザイナー育成計画につぎ込んでよ~損こいたさかいチャラなってもうた…」
「アホやなあ…しょうもない欲かくからやろ?」
「これからやど…つぎ込んだ分は元取れんかったけど、期待の星、そこおるがな!」
北村は優子をみて不敵な笑みを浮かべた。。
「…まずはオートクチュールできっちり実績積んでやな!『小原優子』ちゅう名前が一流デザイナーとして売れる様になったらそこが勝負や!
やったんど~プレタポルテ!「ユウコ・オハラ・コレクション』言うてよ!」
北村は嬉しそうに立ち上がって両手を高く突き上げた。

>毎度、北村の話はおもろいけど…
「現実味がないよってな。アホらしいて聞いてられんわ」
― オハラ洋装店での休憩中、糸子はお茶を入れながら昌子と恵に話した。
糸子の話に昌子はうなずくが恵は疑問をなげかけた。
「いや、せやけど…そないに現実味のない話でもないんとちゃいますやろか?」
「エ?」昌子と糸子が意外そうな顔をして恵を見た。
「優ちゃんかて直ちゃんかて、そこで見てたら何や頼りないかもしれませんけど…最年少で装麗賞取ったり、東京の百貨店で人気店はったり…あれかてほんまの事なんですよ?
もっと信用してあげはってもええんとちゃいますやろか」
「…けど、よう信じんわ。あんな“いけず”と“いこじ”そんなたいしたもんちゃうで?
…ほんでな一番下が…アホ。ハハハハ(笑)」糸子が笑った。
「“いけず”と“いこじ”と…アホ!ハハハハ!こら、よろしいわ!(笑)」
昌子と恵は糸子につられて笑っているところに聡子がデザイン画を持ってやってきた。
「お母ちゃん、村山さんのデザイン描けたんやけど…」
聡子が持って来たデザイン画には短いスカートの服が描かれていた。
「また!?」糸子は丈を短くして客を怒らせたことを指摘するが、それでも短くしたいと聡子伝えた。
「まあ…デザインちゅうんはどれが正解てないよってな…あんたがこない短したいんちゅうやったら短てもええんかもしらんけど…」
>ほんな事はなんぼ考えてもわからんよってお客さんに聞いてみる事にしました。

店に訪れた女性客の村山は聡子のデザインを見るとスカートの丈がちょっと短すぎると指摘して、困惑の表情を浮かべた。その様子を後ろで見ていた糸子が村山に迫った。
「ほんでも!その短すぎるちゅうんは恥ずかしいちゅう事?」
「あ…うん、そうです…」
「恥ずかしいのは嫌やけど、ホンマはこんなん、はいてみたい思てる?」
「…あ…ホンマは思てます」村山は照れくさそうに答えた。
「ホンマ!?ホンマは脚やら膝出して歩きたい思てるちゅうこと!?」
糸子は思わず声が大きくなる。
「シィー!!!」糸子が大きな声をだしたので村山は慌てた。
>はあ~!!せやったんや!

― 糸子は続いて心斎橋でクラブを営むサエに尋ねてみる事にした。
「そら女ちゅうんは自分の綺麗な所はできるだけ見せたいもんやさかい当たり前やんか」
「はあ…」サエの回答に糸子は頷く。
「ウチかて糸ちゃんに初めてこさえてもろたイブニングドレス…あれ背中がシャーって開いてたやんか?あれ着れた時嬉しかったよってなあ…『ひゃ~こんなに背中見せてええもんなんや』て思た。出したいとこ出してもろたで~てごっつ嬉しかったで~」
>短いスカート…短いスカート…ほんなけ若い子内心はきたがってるとしたら…

― 優子の心斎橋の店では、開店を祝うパーティが催され続々と客が現れる。
「あんたな。短いスカートこさえ」糸子は北村をつかまえると伝えた。
「はあ?」
「明日から、すぐ始め!こさえられるだけこさえ!騙された思てな…中途半端に短いのはあかんで?ごっついごっつい短いやつや!絶対売れる!」糸子は北村を凄みのある顔で迫った。

― パーティの終了後、北村は聡子が着た丈の短いスカートに驚く。
「な…なんじゃこりゃ!!おい!!」
「この丈や」糸子は聡子のスカートを指した。
「いや…この!!もうええ!着替え!」北村は聡子の脚をまともに見れずに混乱する。
「パリでは『ミニ・ジュップ』ちゅうんや、短いスカートの事。
春のパリコレでクレージュが発表したんや源太が言うちゃあた。『冬までシャネル着てた女の子らが春に一斉に変わった。見事にみんなこの丈はいちゃあった』て」
派手な服装でパーティに参列していた直子が北村に説明した。
「…恐ろしい事やけどな…時代が変わった。…これからな、日本の女の子らは脚出すで、出しまくるで…嫁に行けんかて…いや、そもそも嫁になんか行かんでエエんや…」
「なんじゃ!お前怖い言い方すんなよ~」北村は肘で糸子をこずいた。
「正直、ウチもちょっと怖い…見たこともない時代がくるんやさかいな。
けどな…これだけは確かや!…短いスカートは流行る!」糸子が力強く言うと
聡子、直子、優子とで北村を取り囲んで催眠術のように言葉を発した。
「こさえ…こさえ…こさえ…こさえ…」

― 昭和41年(1966)4月、若い女性達が短いスカートをはいて歩く様になっていた。
「どないや?儲かったけ?」喫茶店“太鼓”で糸子は嬉しそうに北村に尋ねた。
「儲かったわい!おかげさんで…ぼろ儲けや」北村は不満そうに答える。
「…何やうれしないんけ?」
「嬉しいけどよ…歩きにくくてしゃあないど!」
「ヒヒヒヒ!困っとる困っとるおっさんが!(笑)」

「時代は、どんどん変わってやんで。女の子は脚出してええ…オヤジに怒られたてかめへん。嫁に行かれへんかてかめへん!…そういう時代やねん…さっさと頭きりかえな取り残されてしまうで?」糸子が短いスカートの流行を嫌がる北村に説明した。
パリン!!糸子達の席の横を通った女性客が北村が落としたサングラスを踏んでしまった。
「あ~!!あ~!!!」
>昭和41年、若い女の子の脚が北村の時代を踏みつぶして行きました。


【NHK カーネーション第121回 感想・レビュー】

久しぶりに木岡のおっちゃんの奥さん(木岡美代)が出てきましたね。
糸子にアイビーの靴がローファーと聞いて早速、最後の方のシーンで店の前に『大流行!ローファーあります』って(笑)
娘達の成長と共に時代の流れを読む糸子、なんだか痛快な内容でした。今日は笑えるシーンが多かったように思えます。
ほっしゃんが糸子と3姉妹に囲まれて「こさえ~こさえ~」と言われて脅える所や糸子が途中で3姉妹について昌子と恵に言っていた例えも笑えました。(優子:イケズ→意地悪・優しくない/直子:意固地→素直ではない/聡子:アホ→賢くない)
予告にも映ってましたが、来週、主役交代のようで、なんだか少しだけ寂しい気持ちがします。