カーネーション あらすじ 『宣言』 第136回(3月14日放送)

糸子はベッドの上の小さなテーブルで服をデザインしていた。
デザイン画の脇には栄之助達が置いていったハートの手紙があった。
糸子は、少し悩んでから河瀬譲の店に電話をかけた。
「どうも先生!こんにちわ!」譲るではなく譲の父親が電話に出た。
「あ!社長」
「あいにくね譲は外に出てるんですわ!」
「そうですか。こないだ譲が面白い言い方してたんですわ攻撃が一番の…なんちゃら」
「ああ!攻撃は最大の防御ですか。ハハハ(笑)」
譲の父は、譲るが帰って来たら電話させると糸子に伝えた。

― 夜、里香と糸子がテレビ観ていた。
「ほれ、アンタも早う寝、明日も早いで!」糸子はテレビのスイッチを切った。
糸子は横に置いてある電話をチラリと見たが様子はなかった。
里香が糸子に確認してから部屋の明かりを消すと電話が鳴った。
「つけて!電気つけて!」糸子は受話器を慌てて取った。
「糸子先生ですか?夜分遅なってすんませ~ん。『攻撃は最大の防御』です先生。
…何や親父が答えてしもたそうですけどハハハハ!」譲の笑い声が聞こえる。
「ハハハ…」
「そやけど嬉しいわ~先生が僕に電話くれるなんか初めてでやん!ハハハ!」
「…あんなあ…譲、うちな、やるわ!自分のブランド始めるわ!」

― 譲、栄之助、高山の3人は興奮しながら店に駆け込むとベッドに横たわる糸子に驚いた。
「先生!?どないしたんですか!?」
「…骨折や。階段から落ちてな…」
「はあ!?何で言うてくれへんのですか!?」
「言うてどないなるもんでもないがな…
今日はそんなんで来たんとちゃうやろ!?さっさと始めよう!」
「ああ…はい!」3人は慌ててメモの準備をする。
「…とりあえず発表の日を決めたんや。7月20日」
「半年後ですか!?」栄之助が糸子の提案に驚いた。
「うん!やると決めたらちんたらしたかてしゃあない!」
「でも先生…この脚ホンマ大丈夫なんですか?」譲が糸子の脚の状態を心配する。
「これはひと月で治る。ウチは風邪でも仕事してたら治るしな。心配要らん。
娘らのブランド作り手伝うたよってなんぼかは要領は分かってる。
けど、そらあんたの方がプロやろからこっから先の段取りなんかを固めてもろてええか?」
譲の横に座る商社勤めの高山に糸子は確認した。
「はい!わかりました!考えておきます!」
譲や高山がプランについて話し合う姿を糸子は楽しそうに見るのだった。

― 優子と直子も糸子の家に駆け込んだ。
「だんじりはな、重たいやろ?重たいもんが走り出したら今度、止まらんのやな。
誰が何ちゅうたかて止まらん…周りは余計な心配せんと見といたらエエ!」
糸子は東京から慌てて訪ねてきた直子と優子にタンカを切った。
「…プレタはな、ホンマに大変な商売なんやで?」
「ウチらでさえ、こんなけヒィヒィ言うてんや!耐えられる訳ないやん!」
優子と直子はプレタがどれ程過酷な仕事かを伝え、考え直すように説得するが
「もう決めてしもた!」糸子は2人の言う事に耳を貸さない。

「…引退してくれちゅうてんのに何でまたブランドなんか始めんねん!」
「心配かけるけどやな…堪忍な。ウチは、やっぱしこういう風にしか生きられへん!そら、どんだけ大変な仕事かうちかてよう知ってる。せやさかい、始めてしもてから、まあ落ち着かんし、ヒヤヒヤもソワソワもしてるわ…けど…久しぶりになんちゅうかオモロいんや!
夜寝るんが惜しいて朝起きるんが楽しみでな。こんなんいつぶりやろか…フフフ(笑)」
楽しそうに話す母の姿に直子は呆れるが優子は糸子に提案を持ちかけた。
「お母ちゃん…ほな、うちと一緒にやろ?」
「は?」糸子は優子を見た。
「ウチのブランドの中にシルバー向けのラインを作ってやな、そこの専属デザイナーとしてお母ちゃんを立てるんや!それやったらウチの販売網でやれる。売り出しにそこまで苦労せんでええし、失敗のリスクかて少ない!」
「ええやん!それ!…そないしお母ちゃん」直子が優子の案に賛成する。
「ふーん…いや、ええわ!」
「なんで!?」2人は意外そうに糸子を見る。
「せやかてあんたほんな敵に塩送るような真似したらアカンて!」
「敵!?」優子と直子は糸子の言ったセリフに驚いた。
「ウチかて、アンタらみたいな商売敵からほんな情け受けた無い。このオモロさはな…自分の身銭切ってこそなんや!自分の体で崖っぷち立たん事には絶対ここまでオモロない!」
「オモロなかってええやん!72やで!?」直子が勢いよく立ち上がった。
「いいや!ウチはオモロないと嫌や!オモロいん諦めて生きてなんかおれるかいな!!
あんたらも72になったらわかるわ!フフフ、ハハハハ…イテテテ」

― 夕方、優子は里香がいる二階の部屋を訪れる。
「里香…色々おばあちゃんの手伝いしてくれてるんだって?…ありがとね」
「別に…自分のおばあちゃんだし、お礼なんか言われる筋合いないし…」
里香は優子の方を振り向かずに返答した。
「親としては…複雑な所なんだけど…たまたま今、アンタがここにいてくれたのは本当に助かったわ。…でも高校は行かなきゃだめだからね、それだけは覚えてて。
おばあちゃんだって自分の為にあんたがあんたが高校に戻らずにここにいるなんて絶対望んでない。それはわかるでしょ?」
その質問に里香は返答しない。
「…じゃあ、ママ…とりあえず今日は…帰るから。おばあちゃんをよろしくね…」

早朝6時、目覚まし時計がなるが里香は止めた。すると今度は電話が鳴った。
「起きや!朝やで!!!」受話器から糸子の元気な声が鳴り響いた。
「…わかってるよ~」里香は布団の中で面倒くさそうに応えた。

― キッチンで里香が朝食を準備するのを糸子は監督していた。
「ほれ!みそ汁、煮上がってしもてるがな~気をつけちゅうたやろ?」
「ああ、もううるさいな~ちょっと黙っててよ~」
「かき混ぜな!」
「分かってる!今やろうとしたじゃん!」

― 2人は朝のドラマを観ながら並んで朝食をとっていた。
「ここで終わりかいな!どないなるやろな?」
糸子と里香はドラマがいいところで終わったことに仲良く不満の声を漏らした。
>>さあ、だんじりは走り出しました。もう止まりません。

【NHK カーネーション第136回 感想・レビュー】

今日は、再び助走期間のような内容でしたが、文字にしてみると不思議と味わいがあるような気がします。特に糸子が自分の事を“だんじり”と例えるところ等素晴らしいかと。
昔は、ミシン=だんじりだったのに。
糸子が最後まで走りきろうと決心したという解釈でいいのかな?
それに2人の売れっ子デザイナーの娘を敵と表現するところも糸子らしくて良かったです。
確かに夏木さんになってキャラ少し変わった感じもしますが、芯の部分ではそれほどブレてないと思います。
年を重ねてもオモロくなければ嫌だ…なんだか糸子のメッセージが心にささるセリフでした。夜寝るのが惜しくて、朝起きるのが楽しみ…そして糸子のオモロさというのはリスクが伴わなければならない…非常にタメになります。