カーネーション あらすじ 『あなたの愛は生きています』 第146回(3月26日放送)



― 平成17年4月、オハラ洋装店二階、孝枝が大きい箱を運ぼうとしていた。
「重た!!…これ何やろ?」孝枝は箱の蓋を開け中を確認した。
「ああ、そら神戸箱やな…」
孝枝の横で昔の書類やデザイン画を整理していた糸子が孝枝に教えた。
「オモロいもんばっかりようさん入っていますわ」
糸子は心斎橋百貨店の制服をデザインした時の絵を破った。
「誰がそないピアノ欲しかったんですか?(笑)」
続いて孝枝は服に貼ってあった『ピアノ買うて』と書かれた紙を見つけた。
「娘らや(笑)ピアノ習いに行かせてしもたら三人揃て毎日ホンマにうるさくてな」
>古いもんを全部捨てる事にしました。何でかちゅうたら…
糸子は訪れた設計士に2階を1部屋にし、酒が飲めるバーを作るように依頼した。

「二階を改装!?何でまた今頃ほんなこと言い出したん?」
孝枝からの電話の内容に優子は驚いた。
「何や前々から思てたそうですわ。『ようさんお客がだんじり見に来てくれるさかい』」
「ほんな年に一回のことのために改装までせんでも…」
「言い出したら聞きませんから(笑)」
孝枝は優子に2階に残っていた優子の物を捨てずにこれから送ると伝える。

― 糸子は居間で新聞記者のインタビューに応じていた。
「へえ~2階を改装~つまりサロンのようにされるということですか?」
記者が糸子の
「そうです。設計は高崎信彦先生にしてもらう事になりました…先生もあれですわ。例のウチのボーイフレンドの1人で」
「88人の?」
「いや、今は91人なんです。ウチが91やさかいハハハハ!(笑)」
「年の数だけ増えて行くんですねえ」
「そうです。人の輪ほどありがたいもんないですわ…ウチかて人生がどないかもんかよう分かってませんけど…たった一つ、自信もって言える事があるんです」
「はい何でしょう?」記者が手帳にメモをする準備をした。
「ウチが何かをして成功した時は必ず自分やのうて相手のためを思てした時なんです…欲かいて自分のためにした時は全部失敗しました。そら見事に(笑)」
「それはつまり『与うるは受くるより幸いなり』っていうやつですか?」
「なにそれ?」
「聖書の言葉です」
「それですわ!あげんのはもらうよりずっと得や。ホンマにそない思います」

― 翌日、『娘達への遺言:与うるは受くるより幸いなり』と書かれた糸子のインタビューの記事が掲載された新聞を見て孝枝は感心していた。
「はぁ~!エエ言葉やなあ…」
その横では糸子がイライラしていた。
「もぉー!まだけ!?ウナギ!ちょっと遅すぎんでな~」
「いや電話してまだ15分ですよ?」
篠山真が諭すが糸子は我慢ができないと浩二に店に電話で催促するように言う。
「恥ずかしい!新聞にこないええ格好言うて…」
その様子を見ていた孝枝が呆れた。
「そらせや!こんなん人一倍欲深い人間やないと言わんで!初めから欲ないような人はこんな事考えんでええんや。欲深いからこそ散々痛い目におうたあげくにたどりつくんやないか!
…あ~!ウナギ~早う来いや!」
>あれ(病院でのファッションショー)から4年、ウチには二つ手柄がります。
>1つはオハライトコで紳士物のラインを立ち上げた事。
>これもボーイフレンドらが応援してくれて、ひとまず順調にいってます。
>もう一つは…奈津を老人ホームに放り込むんに成功した事です。
居間に設けられていた写真スペースにはショー終了後に院長室で撮った奈津と龍村と糸子の写真が飾られていた。

糸子が病院に診察で訪れると龍村と偶然出会った。
龍村は奈津が先日病院に診察で来ていたことを糸子に教えると病院を後にした。
すると続けて龍村を捜していた香川と出会う。
「また逃げられてしもた…あの人はワインとゴルフのことしか頭にないんやさかい」
香川は糸子の前で龍村の愚痴をこぼした。
>『何で今更小原の猿の世話にならなあかんねん』そない言うて渋る奈津を
>根気よう説得してくれたんもあの人やったさかいウチももう悪口言えません

― 朝、目覚めた糸子は二階の窓を開け、ラジオ体操をして朝食を鼻歌まじりで作る。
仏壇に供え物をして挨拶をし、朝食を食べながら朝ドラを見る。
ドラマを観終え興奮した糸子は開店前、店を掃除をしている孝枝に話しかける。
「どないなんやろな?優のお父ちゃん!とうとう家売ってまうで!?」
「…まあ一家離散ちゃいますか?」掃除しながら孝枝がそっけない返答をする。
「せやけどウチの話もドラマにならんかいな!」
「なりませんて!なんべんも聞きましたて!」
「もう一階テレビの人に聞いといて!試しに」
「先生!しつこい!」

― 糸子は何も無くなった二階の畳に大の字になって寝る。
そして、別の日、二階の改修作業が始まる。
「何や切ないもんですね…思い出のある部屋が壊される」
「ほうか?90過ぎたら思い出なんぞもうどうでもええで。それより今とこれからや!」
改修作業の一部を見終えた糸子と孝枝は店に戻った。
「なあ、浩ちゃん、お昼なにしよう!?…肉、食べたいわ!」
「また肉!?先生控えなさいて言われてるやないですか?」
孝枝が注意を促すが糸子はヒレカツが食べたいと言い出す。
「いいですね~」篠山がヒレカツの言葉に反応した。
「浩ちゃん!あれどこのやった!?こなだいのごっつい美味しいの!
ほら佐々木さんがこうてきてくれたやんか?あ~ヘレカツ食べたいな~」


【NHK カーネーション第146回 感想・レビュー】

最終週の初回ですが、二階の整理からスタートします。
90歳を越えて尚、だんじりを見に来る客のために家を改修するという心意気が素敵。
神戸箱、心斎橋百貨店の制服のデザイン画、ピアノ買うての紙…どれも懐かしいですね。
「思い出は90歳過ぎたらどうでもいい、それよりもこれから(お昼御飯)」という糸子のセリフは、なんだか安心できるセリフだと思いました。糸子は断捨離(だんしゃり)を極めたのでしょうかね(笑)
とにかく、改築される前に糸子が一人で二階の畳に大の字で寝転ぶシーンが印象的でした。
毎日朝から同じような生活を送り、今を楽しんで生きるという感じが、糸子の最後の時間を感じさせます。
『ヘレカツー食べたいー!』って叫ぶお祖母ちゃんって、なんか微笑ましいです。