カーネーション あらすじ 『あなたの愛は生きています』 第147回(3月27日放送)



平成17年5月、完成した2階のサロンを糸子は見渡した。
電気をつけたりバーカウンターに立ってみたり糸子は楽しそうに一通り行うとベランダから町を見下ろした。

「孝ちゃん!エエ事思いついたわ!着物のリフォーム教室やろよ!二階で!
あないエエのでけてしもたら勿体ななってきた。人呼んで使おうよ!」
糸子は興奮しながら孝枝に提案した。
「…よ~う見てから言うてください…いつやるんですか?」
孝枝はスケジュール帳を広げて見せた。
>やるちゅうたらやるんや!

― オハラ洋装店の2階(サロン)に次々と女性達がやってくる。
京都呉服屋の栄之助も2人の女性客を連れてサロンに現れた。
「皆さん、撫子の会へようこそいらっしゃいました。講師のオハライトコです。
どうぞよろしゅうお願いします」
大勢集まった生徒達の前で糸子が挨拶をすると拍手が起こった。
「ある日、押し入れを引っくり返していたら古い着物が山程出て来ました。洋服は捨てられても着物ちゅうんは捨てられないもんです。せやけど着るかちゅうたら、なかなか機会もない。そないしてタンスの肥やしになってる着物がどこのお宅にもようさんあるんとちゃうかと思います。…そこであちらを見て下さい」
糸子が後ろ指すと洋服を着た3体のマネキンが姿をあらわした。
「ほんでこれが…」糸子は教室の前にあった布をとるとドレスが現れる。
「わぁー!すごーい!」生徒達は歓声をあげる。
「ウチの一張羅やった着物をバラしてこさえたドレスです。着物の反物と洋服の生地は幅が違います。しかも模様が入っているよって洋服にすんのは大変、難しい。私も随分頭を使うてやっとみつけたやり方があります。言うたら企業秘密みたいなもんやけど、ほんなせこい事言うてたら日本中のタンスに肥やしが増えて行くばっかしです。一日も早う一枚でも多く着物が生き返ってくれる方がずっと嬉しい。実はうちの父親は呉服屋やったんです」

― 着物のリフォームする実技が始まると女性達がハサミを持って糸子に訴えてくる。
「あきませんわ先生!着物にハサミ入れるなんて、なかなかできひんもんなんですね」
「ハハハハ!わかるけどな!」糸子は笑った。
「そこが着物の不思議いうヤツですな。どんだけお金持ちのお客さんでも着物いうたら
絶対そない祖末にしはりませんもん!」教室を脇から見ていた栄之助が言った。

― 撫子会が終わると糸子と栄之助はサロンで酒を酌み交わしていた。
「ところでどないや譲…ちょっとは元気になったか?」糸子が栄之助に尋ねた。
「…お袋さんが亡くなられた時よりも今回の方がだいぶ参ってますわ」
「…ほな連れてき。あんた、今度。な!」

― 栄之助は撫子会の後に言われたとおりオハラ洋装店に譲を連れて来た。
「はれ!来たか!フフフ(笑)」譲の顔をみて糸子は笑った。
「先生!すんません…いや先生の顔見たら(泣)」譲は涙目になっていた。
「大の男が、かなんな~ほら!…これ台拭きやな」
糸子は、間違えて台拭きを渡しそうになってしまう。
「台拭きでエエんちゃいますか?」栄之助が糸子に進言した。
糸子は台拭きを譲に渡すと譲は顔を拭いた。

― 3人は席に座り酒を飲んでいた。
「お袋ん時かて堪えていた筈やけど…今回程と違いましたわ。年のせいですやろか?」
譲が糸子に質問するが糸子は一人で会社と家族を守る事になった不安と怖さに堪えているのだと指摘する。
「その通りです…」譲が糸子の言葉を聞いてうなだれた。
「…けど、そら誰もが通らんならん道なんやで?」糸子は善作達の写真を見た。
糸子は譲と同じように栄之助泣いている事に気がついた。
「いつか僕も通らなアカンのですやろか?」栄之助がか細い声で言った。
「そらアンタのお父ちゃんらかて不死身やないやろしな」
「何や切ないですね…」
「自分のお父ちゃんの事を思い出してみ!会長、確か65,66歳や…その歳で大事な奥さん先立たれてどんだけ寂しいか!…ほんでもアホ息子と社員らの為にどないか立ち上がって最後の最後まで支えてくれはったんや!あの立派なお父ちゃん見習うてやっていき!」
糸子がハッパをかけるが譲がすねるような声を出す
「…無理です。僕そんな強ないですもん!」
「アホか!(笑)ほんなん誰かて強ないわ!弱てもどないか繋いで繋いでやっていくしかないんや!皆そうや!ウチのボーイフレンド見てみ?91人もおるがな。
群れたりごまかしたり慰めおうたりしているうちに人間はやっていけるんや!アンタ等がやっていけん訳ないがな。心配しな!」
すると栄之助が席を立ち上がり糸子に頭を下げた。
「いつかウチの奥さんが先死んでしもたら僕も先生のボーイフレンド入れてください」
「…アンタ、その時ウチなんぼやねん?」
「130歳くらい」
「ハハハハハハ!まあ飲み!…しっかりしいや!アホぼんらが!(笑)」

― オハラ洋装店で譲と糸子達はカステラを食べていた。
「これ昔、金箔貼っちゃあったやつちゃいます?」孝枝が質問した。
「そうです」喪服を着た譲が答えた。
「…余計なもん貼らんかて十分価値あんでなあ。おいしいわ!」
糸子は美味しそうにカステラを口に運んだ。
「…納骨はあんじょう済んだか?」
「はい、おかげさんで」
譲は糸子の質問に頭を下げた。
>なあ、譲…キラキラを剥がされてむき出しになってしもた40男の本性は
>アンタが思てるよりもっとずっと綺麗なんやで


【NHK カーネーション第147回 感想・レビュー】

台拭きを渡すシーン、ちょっと笑いました。こういう古典的な笑い、結構好きです。
さて、今週終わるとは思えないような、のんびりとしたお話です。
しかし、これがまた金箔カステラがまたいい感じに使われてましたね~。
息子がいない糸子にとっては、譲や栄之助を息子のように思っているような感じが暖かいです。実際はどうだったんでしょうかね。
そして90歳越えても尚、新しい事にチャレンジしたり、自分のノウハウを惜しげもなく伝えたり…このドラマのモデルとなった小篠綾子さんは、本当に素晴らしい人だったと思います。
今週、ドラマが終わったら小篠綾子さんの伝記とか読んでみます。