カーネーション あらすじ 『あなたの愛は生きています』 第148回(3月28日放送)


― 平成15年12月、店に糸子と同じ年齢の女性がやってきていた。
「ホンマにこんな頼もしい事ないで!同い年の人がまだ現役でデザイナーやってんやて」
「ほうか?ハハハハ!」
「ウチもまだまだやれるちゅう気にならし!」
「いや、まだまだどころちゃう!これからや!うちらこれから!」
2人が盛り上がっている最中、優子からの電話が鳴った。
電話に出た孝枝は糸子の来週の水曜日のスケジュールについて尋ねられるが、糸子のスケジュールと体を考えると無理はさせられないと言って断わり電話を切った。
「任しといて、ごっつええの作るよって!」
糸子が客の女性と握手して別れると今度は糸子の携帯電話が鳴った。
「優子?来週の水曜?何で?うんうんうん…よっしゃ!行っちゃるわ!」
糸子と優子の電話のやりとりを聞いていた孝枝、浩二、篠山がコケた。

― 昼休み、糸子達が昼食を摂る横で糸子の薬の準備をしながら孝枝は愚痴を言っていた。
「要はね、アホらしなるわけですよ!こっちが先生の体心配しながらどないか仕事まわして行こ思て必死になって組んでのにね!大体、優子さんらかて本気で先生の体の事なんか考えてないと思うんですよ!先生と一緒!事仕事んなったら全部頭から飛んでまうんですわ!」
糸子とスタッフ(フミ子、篠山、浩二)は黙々と昼食を摂っている。
「ようわかりましたわ!親子揃て好きなだけ仕事しはったらええんですよ!
もう何がどないなろうともウチ、知りませんよって!」
孝枝は薬と水を糸子のテーブルの横に置くと部屋を出て行った。
「…えらい怒ってるやんか?」糸子が小さな声で篠山達に言った。
「そらそうですわ!」
「ちょっと後で機嫌とっといてよ!」
「しりませんよ~」スタッフは糸子に背を向けた。
>優子から頼まれたんは東京の病院での講演でした
>元は優子が引き受けてたんがどないしても都合が悪なってしもたそうです

― 東京の病院にあるカフェで糸子と孝枝は院長、看護師長たちと座っていた。
「すいませんな、年寄りが代わりで」糸子が言った。
「より含蓄があるお話が聞けると皆大喜びしてますよ!(笑)」
「そうです先生!この川上なんて…」看護師が横にいる女性を見た。
「今日一日、お手伝いさせていただきます川上と申します」
川上と名乗った女性は丁寧に糸子に挨拶をした。
「私の前の看護師長をやっていた者なんですけど優子さんから先生に代わられたって言ったらボランティアでいいから手伝わせて欲しいって(笑)」
「実は以前、岸和田に住んでた事があるんです。当時の友達が先生がなさった病院でのファッションショーの新聞記事を送ってくれまして、もう感動しました!」
川上は目を輝かせながら糸子に言った。

― 病院の講演会場に糸子が現れると盛大な拍手が起こった。
「皆さん、はじめまして。小原糸子でございます」
そして糸子はゆっくりと講演の話をはじめた。

― 講演が終了し、糸子が休憩していると優子から今から向かうと連絡が入る。
孝枝は優子をロビーへ迎えに行き、糸子と同席していた院長達も糸子に礼を言うと部屋を後にした。部屋には糸子と川上だけになった。
「では先生、タクシーのお時間になりましたら、お迎えに参ります。
それまでどうぞごゆっくりなさってください。では」
茶を入れ終えると川上は部屋を出ようとする。
「はれ?せっかくやさかいお話しましょうな」
糸子は川上を止めた。
「…お疲れじゃないですか?」
「体がくたびれたよって余計お宅みたいな人と話したいんですわ」
「ありがとうございます!」
川上は礼を糸子に言うと席に座った。

「すばらしいお話でした。何度も涙が出ました。その岸和田の看護婦長様にも是非一度お目にかかってみたいです。医療の現場に私も40年ほど携わって参りましたので…」
川上は講演の感想を糸子に伝える。
「一度、来て見張ったらよろしいねんウチが紹介しますわ(笑)」

「岸和田にはいつ頃までいはったんですか?」
「あ…私は…24歳までです」一瞬、川上が返答に躊躇した。
「24歳まで住んではった割には岸和田弁が出ませんね?ウチの娘らはそれぞれ出て長い割りにちっとも岸和田弁が抜けませんわ(笑)」
「はい。それは、あの…私は10歳まで長崎におりましたので…」
長崎という単語に糸子は若干動揺し、川上から視線を逸らした。

「先生、実は…私の死んだ父がいっとき先生の所でお世話になっておりました」
「…お…お宅…どちらさん?」
「はい。…私は…周防龍一の娘でございます…」
それを聞いた糸子は硬直する。
糸子のいる階に到着した優子も川上の告白を部屋の入り口で聞いて立ちすくむ。
予想だにしない告白に糸子の目からはポロポロと涙が滴り落ちる。
「はっ!…申し訳ありません!…失礼いたしました!!」
糸子の様子を見て川上は立ち上がり頭を下げると逃げるように部屋を出て行く。
部屋の外で優子とバッタリ会うが軽く会釈しそのまま部屋を後にした。
優子は川上の後を追った。

「…先生?」
孝枝は部屋で一人泣いている糸子に気がつくと慌てて駆け寄り糸子の背中を摩った。

― 病院のベンチでは、川上が幼い頃の事(弟が優子をこずいた)を優子に謝っていた。
「いつぞやは…弟が失礼しました」
「こちらこそ…母が…申し訳ありませんでした…」優子も頭を下げた。
「…いいえ。人を憎むというのは…苦しいものです。私にとってただ一つ救いだったのは父の相手が先生だったという事でした。憎むのに当たらない方だと…何時頃からかある程度年をとってから思うようになりました」川上は涙目になっていた。
「…それでも汚い感情が全くなかったかと言えばウソになります。…でも、それも…さっき先生の目を見て消えました…先生もずっと思い続けてきて下さったんだと…思いました」
優子と川上は泣きだしてしまう。
そして糸子も泣きじゃくっていた。
>長い長い記憶を持ってる…それが年寄りの醍醐味とも言える
>守り続けて闇にうちに葬るはずやったもんがうっかり開いてまう事もある
>老いぼれた体にとどろく事打ちのめす事、容赦のうて

>ほんでも…これを見る為に生きて来たような気もする。


【NHK カーネーション第148回 感想・レビュー】

糸子は90歳を越えているのに元気ですね~
で、糸子が90歳越えて今回優子がでてきて思ったわけです。優子は今何歳と?
そしたら優子68歳らしいんですよね…ちょっと無理ありすぎでは(笑)
それよりも、いやいや凄い展開でした。
まさか周防さんの娘が出てくるとは…これは実話なんでしょうか。
『長崎にいた』と聞いた糸子の動揺ぶりが良かったです。
見ているこっちも『お、お宅どちら様?』と聞きたくなってしまうくらいでした(笑)
糸子が最後、川上を前に号泣した理由については、サッパリ判りませんが、いろいろな感情が溢れてきたんでしょうな…そんな印象でした。